塩沢宗馬、水彩画の個展 [絵の周辺と展覧会]
塩沢宗馬氏の絵は、かつては身近にあった懐かしさに満ちた、そして初めて訪れても親近感を覚えるような、優しくて少し淋しい風景。そんな「ふるさと」を目の前に見せてくれる。
そのシオザワ君(塩沢宗馬氏)の絵に出会ったのは去年の秋。
その後、何度かの個展や展覧会に足を運んだ。何冊か出ている彼の本も、もちろんいろいろと参考にはなるが、やはり原画の魅力は大きい。だから出かける。
そのシオザワ君の個展がこの秋と、来年の年明け早々に開かれる。
まずそのご案内
─────────────────────────────────────
『塩沢宗馬 水彩画展』
会期:2009年11月18日(水)〜11月24日(火)
*最終日は午後3時閉場
会場:高崎スズラン・地下1階・美術工芸サロン
高崎市宮元町13-1 Tel. 027-326-1111
DMハガキから
“秋の京都から近江八幡・冬の氷見や出雲崎、新潟などとともに
身近な上州の風景を詩情豊かな水彩画で表現した新作個展”
─────────────────────────────────────
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『ふるさとの情景を描く 塩沢宗馬 風景画展』
会期:2010年1月2日(土)〜1月8日(金)
*最終日は午後5時閉場
会場:丸善・日本橋店・3Fギャラリー
東京都中央区日本橋2-3-10 Tel. 03-6214-2001
DMハガキから
“名もないローカル鉄道や路線バスを乗り継いで、絵を描き
続けてまいりました。どんな土地にもそこに暮らす人々の
うみだす、心打たれるふるさとの情景があります。そんな
風景を水彩にたくして描いた約40点を展示致します。
*おもなスケッチ取材地
留萌本線・釧網本線・近江鉄道・都営荒川線・京福電鉄・
上信電鉄・JR信越線・伊豆急行など
─────────────────────────────────────
さて、
学生時代の友人でもあるシオザワ君が絵を描いている、という話は他の友人からも聞いていた。去年の個展の案内も、その「他の友人」から教えてもらったものである。そして久しぶりに会った友人の「変わりの無さ」に驚きながら、会場で眼にしたシオザワ君の絵に、目が惹き付けられた。ここで私の眠っていた絵心に火が点いたのである。
オレもひとつ描いてみるか!と思うのはたやすい。これまで眠りっぱなしだった絵の才も、あれこれ突っつけば何かのはずみで眼を覚ますかも知れない。(いや、そもそも才があったか?というのはさておいて)
それにしても、ただただ絵の具を塗ることが楽しかったほんの僅かな時期を過ぎれば、あとは喘いで登る山道の連続である。覚悟の上とはいえ、もう少し若い頃に火が点いていればなぁ、と嘆息する。
塩沢宗馬氏の絵に引き付けられる理由、それは作家の心の内にしっかりと捉えられた風景の存在感、そしてそれを示し表わす眼の持つ力である。
他の誰でもなくその作家が、確かにその場所で感じた感情の起伏・感動、それが両の目で静かに見ることを通して、紙の上に定着されている。
しっかり見ることがすべての始まりなのだ、と思わせてくれる。
そして、目線がふらつかない的確な構図、歯切れの良いタッチ、行き過ぎない省略、落着いた色彩、それらの具体的なファクターの魅力も大きい。
しっかり見ること、これは言うは易しい。「その場で見て感じた思い」は、目の前の光景を素直に描けば自ずと定着できるものではない。このあたりは写真でも同じことが言えるが、そのシーンの何に反応し惹きつけられたのか?その整理というかある種の抽象がきちんとしていないと、凡庸な光景になってしまう。
一年間、描き続けて(まだ一年、、、)いつも感じるワタシの絵の最大の課題はここにある。
もちろん、水彩画の入門書や技法書を読んでも、このいちばん肝心なところは教えてくれない。
つまるところ、この「対象の捉え方」の個人差こそ絵を描く醍醐味なのだと思う。同じ料理も人によって味わい方が違うように、同じ光景を前にしても、そこから受ける感覚は人それぞれみな違う。
その違いを、まずははっきりと自覚する訓練、それがスタートなのだろう。テクニックはそれに従うものである。
そんなことをつらつらと考えながら、シオザワ君の絵を見る。
「そこ」に確かに立っている(いや座っている?)絵描きの眼が感じられる。(私も早くそういった「しっかりした眼」を持ちたいが)
ともかく、そういった「絵を見る快感」は素敵だ。シオザワ君の絵は、昔からの友人だからというだけでなく、ごくごく素直に見て素敵な水彩画と思う。
“懐かしいふるさとをもっともっと描きたい”とシオザワ君は話す。その「ふるさとの絵」をこれからも見られるのは幸せなことだ。もちろん、私も描くけれど。
もし関心を持たれる方がいましたら、お出かけください。きっと気持ちが和みます。
*
今日(27日)はシオザワ君と一緒に、ある画家の個展*を見に行った。原宿の表参道の会場は実に盛況だった。優しく伸びやかな作品の数々は気持ちの良いものだった。そして、そこにも「絵描きの眼」はちゃんとあった。よし、頑張ろう!
*竹内喜久江 水彩・パステル画展 〜ヨーロッパの旅〜
港区北青山のギャラリー・コンセプト21にて、会期は明日(28日)まで
そのシオザワ君(塩沢宗馬氏)の絵に出会ったのは去年の秋。
その後、何度かの個展や展覧会に足を運んだ。何冊か出ている彼の本も、もちろんいろいろと参考にはなるが、やはり原画の魅力は大きい。だから出かける。
そのシオザワ君の個展がこの秋と、来年の年明け早々に開かれる。
まずそのご案内
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『塩沢宗馬 水彩画展』
会期:2009年11月18日(水)〜11月24日(火)
*最終日は午後3時閉場
会場:高崎スズラン・地下1階・美術工芸サロン
高崎市宮元町13-1 Tel. 027-326-1111
DMハガキから
“秋の京都から近江八幡・冬の氷見や出雲崎、新潟などとともに
身近な上州の風景を詩情豊かな水彩画で表現した新作個展”
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『ふるさとの情景を描く 塩沢宗馬 風景画展』
会期:2010年1月2日(土)〜1月8日(金)
*最終日は午後5時閉場
会場:丸善・日本橋店・3Fギャラリー
東京都中央区日本橋2-3-10 Tel. 03-6214-2001
DMハガキから
“名もないローカル鉄道や路線バスを乗り継いで、絵を描き
続けてまいりました。どんな土地にもそこに暮らす人々の
うみだす、心打たれるふるさとの情景があります。そんな
風景を水彩にたくして描いた約40点を展示致します。
*おもなスケッチ取材地
留萌本線・釧網本線・近江鉄道・都営荒川線・京福電鉄・
上信電鉄・JR信越線・伊豆急行など
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さて、
学生時代の友人でもあるシオザワ君が絵を描いている、という話は他の友人からも聞いていた。去年の個展の案内も、その「他の友人」から教えてもらったものである。そして久しぶりに会った友人の「変わりの無さ」に驚きながら、会場で眼にしたシオザワ君の絵に、目が惹き付けられた。ここで私の眠っていた絵心に火が点いたのである。
オレもひとつ描いてみるか!と思うのはたやすい。これまで眠りっぱなしだった絵の才も、あれこれ突っつけば何かのはずみで眼を覚ますかも知れない。(いや、そもそも才があったか?というのはさておいて)
それにしても、ただただ絵の具を塗ることが楽しかったほんの僅かな時期を過ぎれば、あとは喘いで登る山道の連続である。覚悟の上とはいえ、もう少し若い頃に火が点いていればなぁ、と嘆息する。
塩沢宗馬氏の絵に引き付けられる理由、それは作家の心の内にしっかりと捉えられた風景の存在感、そしてそれを示し表わす眼の持つ力である。
他の誰でもなくその作家が、確かにその場所で感じた感情の起伏・感動、それが両の目で静かに見ることを通して、紙の上に定着されている。
しっかり見ることがすべての始まりなのだ、と思わせてくれる。
そして、目線がふらつかない的確な構図、歯切れの良いタッチ、行き過ぎない省略、落着いた色彩、それらの具体的なファクターの魅力も大きい。
しっかり見ること、これは言うは易しい。「その場で見て感じた思い」は、目の前の光景を素直に描けば自ずと定着できるものではない。このあたりは写真でも同じことが言えるが、そのシーンの何に反応し惹きつけられたのか?その整理というかある種の抽象がきちんとしていないと、凡庸な光景になってしまう。
一年間、描き続けて(まだ一年、、、)いつも感じるワタシの絵の最大の課題はここにある。
もちろん、水彩画の入門書や技法書を読んでも、このいちばん肝心なところは教えてくれない。
つまるところ、この「対象の捉え方」の個人差こそ絵を描く醍醐味なのだと思う。同じ料理も人によって味わい方が違うように、同じ光景を前にしても、そこから受ける感覚は人それぞれみな違う。
その違いを、まずははっきりと自覚する訓練、それがスタートなのだろう。テクニックはそれに従うものである。
そんなことをつらつらと考えながら、シオザワ君の絵を見る。
「そこ」に確かに立っている(いや座っている?)絵描きの眼が感じられる。(私も早くそういった「しっかりした眼」を持ちたいが)
ともかく、そういった「絵を見る快感」は素敵だ。シオザワ君の絵は、昔からの友人だからというだけでなく、ごくごく素直に見て素敵な水彩画と思う。
“懐かしいふるさとをもっともっと描きたい”とシオザワ君は話す。その「ふるさとの絵」をこれからも見られるのは幸せなことだ。もちろん、私も描くけれど。
もし関心を持たれる方がいましたら、お出かけください。きっと気持ちが和みます。
*
今日(27日)はシオザワ君と一緒に、ある画家の個展*を見に行った。原宿の表参道の会場は実に盛況だった。優しく伸びやかな作品の数々は気持ちの良いものだった。そして、そこにも「絵描きの眼」はちゃんとあった。よし、頑張ろう!
*竹内喜久江 水彩・パステル画展 〜ヨーロッパの旅〜
港区北青山のギャラリー・コンセプト21にて、会期は明日(28日)まで
素晴らしいですね。
励みになります。
by よしあき・ギャラリー (2009-10-28 06:32)
e-g-gさんのやさしいタッチ、穏やかな色使い、私は大好きです。
新しい作品を心待ちにしています。
by mio (2009-10-28 13:43)
叙情的な素敵な水彩画を描かれるご友人ですね。
by すずめ (2009-10-28 15:02)
絵を観る機会の多い秋ですね。
来年年明けに日本橋ですね。忘れないようにしよう。
観に行きたいです。
by HEIJI (2009-10-28 21:59)
芸術って本当に深いですね。でも何を評価するかはその人の感じ方で代わります。今評価されている芸術家も、昔は全く認められず、亡くなってから評価されたりなどあると思います。結局は誰が気づいてくれるかだと思います。要するに自分が如何に自分らしい物を表現出来るかではないでしょうか?逆に他人がいくら評価してくれても、自分が納得できなければそれは自分にとっては駄作でしかありませんからね。自分らしく、自分で納得いく絵を描き続けて下さいね。
by 井上酒店 (2009-10-28 22:55)
素晴らしい友人をお持ちですね。^^
故郷の情景は心の情景でもありますね。
暖かくもあり、もの哀しくもあり、、、
いい作品です。
by 風子 (2009-10-29 17:01)
新年の丸善は行ってみたいなぁ。。
この色使い、しっとり感。。空気まで感じられますね
それも鉄好きには堪らないスケッチポイントです^^
by masa (2009-10-29 23:53)
お互いに惹かれあう絵を描かれるなんて、素敵なお友達ですね。
故郷の情景は、原点なのかもしれないですね。
by ムーミン (2009-10-30 13:45)
◎よしあき・ギャラリーさん
ありがとうございます。
友人の絵ですが、見るたびに励みになると同時に、
あぁ、先は長い、、、と思うのですよ。
◎mioさん
描きたい絵はたくさんあるのです。
が、筆を進めるのは、いろいろと難しいものですね、
◎すずめさん
友人の画風は、ひとつの世界がしっかりと出来上がっています。
機会があって、もしご興味がありましたらご覧になってください。
◎HEIJIさん
今の季節、大規模なものから個展まで、
ほんとうに多いですね~
日本橋、ご都合がつきましたら是非!
期待を裏切りません、たぶん。
◎井上酒店さん
>自分らしい物を表現出来るか
これが、いちばん大事ですよね、
そして、いちばん難しくもあり、ですね。
描くこと、書くこと、弾くこと、歌うこと、つくること、、、
表現って、面白いですね。
◎風子さん
ほんとうに貴重な友人です。
音信の無かった時間が圧倒的に長いのですが、
絵のこともその他諸々のことも、
すぐに突っ込んだ話ができる、ありがたいことです。
◎masaさん
『心に残る途中下車の風景』
http://nichibou.shop-pro.jp/?pid=2900768
『途中下車の風景 ローカル鉄道・水彩スケッチ紀行』
http://nichibou.shop-pro.jp/?pid=2901578
(いずれも日貿出版社)という本もあります。
この本、良いですよ、機会がありましたらどうぞ。
◎ムーミンさん
身近に魅力的な絵を描く友人がいる、
これは、ありがたいこと、感謝感謝です。
故郷の情景、大切にしたいですね。
by e-g-g (2009-10-30 20:49)
◎xml_xslさん
◎harryさん
◎ 今造ROWINGTEAMさん
◎Krauseさん
◎akiponさん
◎一真さん
◎watamiさん
◎achamiさん
◎こぼんさん
◎アマデウスさん
◎月夜さん
niceを、ありがとうございます。
by e-g-g (2009-10-30 20:51)
お友達の絵もさることながらe-g-gさんの絵も素晴らしいです。
類は友を呼ぶの言葉通りご縁があったのですね。
これからも沢山の絵を拝見したいものです。
by ミモザ (2009-11-05 21:26)
なんだか潮の香りがしてきそうな絵ですね。
写真では邪魔だと思う電線がいい感じ!
by 響 (2009-11-06 19:50)
こんばんは^^
一応メモリましたが、その期近になったら、リマインドしていただけるとありがたいですね^^
東京のほうです。
by mimimomo (2009-11-06 19:56)
◎ミモザさん
ありがとうございます。
同じデザイン学校に通っていた仲間ですから、
興味や関心事は似通ったものがあるのかもしれません。
私にとっても、良い刺激です。
◎響さん
いい絵でしょ!
>電線がいい感じ!
そうなんですよ、シオザワ君はほんとに電線描きが上手いのです。
“日本から電線がなくなったらどうしよう”と本人は言ってます。
そして私は電線描きの真似をするものの、
すぐに諦めます。
◎mimimomoさん
ありがとうございます。
この個展は、折を見てまたお知らせしたいと思っています。
by e-g-g (2009-11-06 20:12)
こんばんは
この絵良いですね!
感動しますよー 私の好きなタッチです。
by ガマさん (2009-11-13 20:35)
◎ガマさん さん
この絵、良いでしょ!
機会がありましたら、是非ご覧になってください。
お薦めします。
by e-g-g (2009-11-14 19:53)
確かに!
心に訴えかけてくるものがありますよね?
一目で絵とわかるものですが、何故か写真と勘違いしてしまうのは
デッサンが正確だからなのでしょうか?
by 浜松自宅カフェ (2009-12-10 10:28)
◎浜松自宅カフェさん
やはり両の眼できちんと見ている、
ということではないでしょうか?
この「しっかりとした視点」が
彼の絵を好きになった理由のひとつです。
by e-g-g (2009-12-11 17:06)