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秋と冬のあいだ [水彩画とスケッチ]

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JR逗子駅から海岸へ向かう道の途中の小さな橋。
日露戦争が終わって凱旋した東郷平八郎にちなんで東郷橋と名付けられた、
と、神奈川県のホームページに書かれている。
こどものころ、
“とーごーさんは えらいひと”と遊びの時に歌った“あの人”である。

その東郷橋からの眺めを描く。
橋は広くはない、車二台がかろうじてすれ違える幅。
この場所でのスケッチはちょっと無理、歩く人にも迷惑だ。
見たままを出来るだけ覚えようとはするものの、
やはり脳内視覚系メモリーの容量も足りない。
なので覚えの写真も撮る。
それでも、都合4回ほどこの橋からの風景を見に行った。
おもに午前中、陽の差す時間を変えて。

このあたりの樹木、といってもほとんど庭木だけれど、
常緑樹が多く紅葉する木はほとんど見当たらない。
それでも、ところどころに黄色く色づいた葉が見える。

まだ冬の兆しはカレンダーの遠くにあり、
秋の柔らかな陽の差しこむ川面の、
もうずっと前のような気がする11月23日の光景。

『秋と冬のあいだ』
F6(39.5×31.5cm) White Watson・水彩
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晩秋の襲 [水彩画とスケッチ]

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12月に入り、しばらく風の強い日が続いた。
この風に負けて楓の葉も落ちてしまったかもしれない、
でも、そろそろ見ておかないと、、、
6日の土曜日、そんなことをつらつら思いながら、
鎌倉は二階堂の奥、獅子舞の谷へ向かう。

紅葉のピークを迎えた枝もあれば、
まだ緑の色素が元気なもの、そして黄と橙色、
そんな色達が重なる。
襲の色目というのも、こんな光景にヒントをもらい、
その洗練の度合いを磨きに磨いて生まれたものだろう。
「紅葉」と名の付いた襲もたくさんあるし。
ちなみに「紅紅葉」の襲は、
・紅・淡朽葉・黄・濃青・淡青・紅、となっている。

逆光越しに浮かび上がる色の輝きは、やはり美しい。
そのなかでも、紅と深緑のコントラストがひときわ目を惹くエリア、
ここが獅子舞の紅葉のハイライトスポット。

みんな無言でカメラのレンズを向ける、
足の踏み場もない、いやレンズの向け場もないほど。
その場の空気を読んだワタシは、何回かシャッターを押し、
あとはじっと立ったまま、ただ葉色を眺める。
とにかくこの状況では、スケッチなんてとても無理、
ボーッと立っているだけでもカメラマンには邪魔かもしれないし。

獅子舞の谷は鎌倉鶴岡八幡宮の北東、二階堂川の源流近くにある。
そこへ向かうにはちょっと山道を歩くけれど、
そろそろお終いの紅葉に好天の土曜日が重なったこの日、
訪れる人はもちろん多い。みんな、秋の終わりを感じたいのだ。

さて、
妙本寺の二天門脇の楓が見頃に、とFacebookに載っていた。
明日か明後日には、、、

『晩秋の襲』
F6(40×31cm) Waterford white・水彩

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鉛筆一本で紅葉を描けるか?鎌倉・妙本寺 [水彩画とスケッチ]

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風は無く陽差しも穏やかな13日、
歩くべきか迷っていたら、いつも遅れるバスがちょうど来てしまった。
鎌倉へは歩ける距離、せっかくの“歩くチャンス”だったのに・・・
そして比企が谷の妙本寺に向かう。

“二天門脇の楓が見事に紅葉!”と、
この二日前のFacebook情報を頼りに行ったにも関わらず、
お目当ての楓はものの見事に葉が落ちていた。
たった二日でこうなってしまうのが、この季節なのだ!
と納得するのにしばしの時間がかかる。
まぁ、去年は最高の色を見させてもらったのだけど。

気を取り直して奥の祖師堂へ向かう、
といってもほんの数十歩で着いてしまう距離、
二天門からはたぶん50メートルも離れていない。
こちらの方は、ほぼ盛りの最後といった色合いである。

さて、この紅葉を鉛筆だけで描こう!
と、やや無謀な企みを抱きスケッチブックを取り出す。
が、後ろの祖師堂と楓の葉のコントラストはどうにか描けるが、
肝心の紅葉の様子は鉛筆の黒一色では如何ともしがたい。

そんなこんなで、“その場でスケッチ完成”は早々と諦めて、
覚えの写真を何枚か撮って終了。
描くという点では、なんとなく物足りなさも残ったけれど、
ま、こんな日もある。

帰宅後、思いついて色鉛筆で彩色してみる。
このスケッチを元に水彩画をあらたに描いても良いのだけれど、
その前に、ササッと色も付けてみよう、そう考えたのが甘かった。

実に面倒くさかった。
色鉛筆では描いても描いても、色の面がなかなか埋まらない、
広い面積もサッと塗ることの出来る水彩絵の具の楽さ加減を再認識する。
そのうえ、ある程度描いても、
あの紅葉の華やかさがなかなか現れてこない。
これでもか!と色を重ねるうちに画面はだんだんと濁りはじめる。

描くことに労を惜しんではならない、とは思いつつ、
いや、ちょっと疲労感の残る一枚。

『鎌倉・妙本寺の紅葉』
A4 CANSON SKETCH PAD 色鉛筆

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訃報・岩崎俊一さん [日々の記録]

「21世紀に間にあいました」(トヨタ)
「美しい50歳がふえると、日本は変わると思う」(資生堂)
「年賀状は、贈り物だと思う」(日本郵政)

  こんなコピーを残して、
  かつての仕事仲間の岩崎俊一さんが二十日に逝ってしまった。
  享年67歳
  合掌

折しも、
“谷内六郎の絵と岩崎俊一のコピーで綴る昭和展”
『昭和というたからもの』
この企画展が27日から始まる。(池袋・西武百貨店)

さて、いつごろ行こうか?
カレンダーを眺めながら考えていたところへの訃報。
企画展の案内に添えられた招待状をあらためて読みなおす。



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言葉の力、岩崎俊一の仕事。 [日々の記録]

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12月26日、故岩崎俊一氏の通夜。
会場には元気な頃のスナップ写真と併せて
岩崎さんの仕事の一部がスライドで映しだされていました。
数々の仕事を眺めながら、
もう30年以上も昔のコピーがまったく古くなっていない、
そんな会話をかつての仲間達と話していました。

もういちど岩崎さんの仕事を、思いだそう。

   美しい50歳がふえると、日本は変わると思う。(資生堂)

   つくりたくて、つくりたくて、つくりました。(資生堂)

   髪は弱いものと考える。(資生堂)

   ひとの、幸。(西武百貨店)

   会う、贅沢。(西武百貨店)

   各人停車。(西武百貨店)

   夏は、交差点。(西武百貨店)

   一度、ふられてらっしゃい。(サントリー)

   苦労させて、あげましょか。(サントリー)

   あなたに会えた、お礼です。(サントリー)

   さしあげたのは、時間です。(サントリー)

   テレビは娯楽。ここは極楽。(サントリー)

   バケーションを、ありがとう。(サントリー)

   負けても楽しそうな人には、ずっと勝てない。(セゾン生命)

   自分の欠点を人と一緒に笑えるのは、その人の長所です。(セゾン生命)

   音楽を聴いている。ぼくは生きている。(ソニー・ウォークマン)

   君の前で歌いたい。僕の前で聴いてくれ。(ソニー・リバティ)

   聴こえてくるのは、いのちです。(ソニー・ディスクマン)

   カメラは手に聞いて、つくれ。(ソニー)

   21世紀に間に合いました。(トヨタ・プリウス)

   仕事は人を幸せにできる。(トヨタ・ウィンダム)

   微笑むプレミアム。(トヨタ・レクサス)

   人は、書くことと、消すことで、書いている。(トンボ鉛筆)

   トンボが動いている。人が、何かを生み出している。(トンボ鉛筆)

   ロケットも、文房具から生まれた。(トンボ鉛筆)

   ベストセラーより、ロングセラーを。(明治屋)

   父は1日に1度だけ甘い時間を残した。(明治屋・Myジャム)

   人は、貧しいという理由で死んではいけない。(日本フォスタープラン協会)

   がんばる人の、がんばらない時間。(ドトールコーヒー)

   街の財産、でもある。(セキスイハウス)

   毎日ビールを飲んだ。それでも渇いていた。(キリンビール)

   さ、世代コータイ。(KDDI)

   英語を話せると、10億人と話せる。(ジオス)

   私は父です。私には健康が必要です。(ゼリア新薬)

   朝、めざめたら、疲れていた。何の為の睡眠だったのだろう。(アリナミンA)

   ミゼットを飼おう。(ダイハツ)

   人生は、冬ではなく、春で終わりたい。(東京海上日動サミュエル)

   あなたがいてくれて、ありがとう。(日本財団)

   ひとりを愛せる日本へ。(日本郵政グループ)

   年賀状は、贈り物だと思う。(日本郵便)

   おとなから幸せになろう。(ブライトンホテル)

   少女は無口になった。夏の終わりだった。(パルコ)

   お味噌は、からだと生きていく。(マルコメ)

   父は、君が好きです。ただ、それだけです。(ミキハウス)

   やがて、いのちに変わるもの。(ミツカン)

   かじっていたのは、夢でした。(明治製菓・ミルクチョコレート)

   今日を愛する。(LION)

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