「節絵」ってナニ? 「1:1+√2」って? [絵の周辺と展覧会]
鎌倉で開かれている「節絵展」を訪れた。
節絵って何?なんとなく見当はつくけれど、ほとんど知らない世界。
なにごとも素直な目で見るのがいちばん!と、まずは予備知識を持たずに向かう。
目当ては7月、由比ガ浜で開かれた『すみわたらむ』、
そのときに印象深かった天内純子さんの日本画。
この天内さんはじめ“平面作家”13名と“台座作家”の
計26名の作家の組み合わせによる四季の設え、あるいは新しい床の間とも。
日本家屋の柱を意識したサイズと飾り方、この視点は興味深い。
といっても自宅に柱は無く、それよりなにより床の間もない。
それでも、この小さな世界が折々の日常に
新鮮な空気を届けてくれそうな、そんな予感もする。
(平面作品の実サイズは天地21.7cm×左右9cm)
ところで、短冊にも似た細長い「節絵」のプロポーションは「1:1+√2」の白銀比。
この数字から得られる矩形は仕事でも幾度となく使ってきた。
ところが、それを「白銀比」としてきちんと意識することはほとんど無かった。
何十年もグラフィックデザインの世界にいるが、これではモグリと言われても仕方がない。
気持ちを新たに「節絵」プロジェクトのメンバーの方から詳しい話しを伺い、
初めて知ったことも多々、、、あぁ、ベンキョーせなあかん!
これまで水彩紙の定型を、何とはなしに受け入れてきたけれど、
さてこの白銀比に自分なら何をどう表現するのだろう?
そんな新たな感心が湧いてくる。
12月4日まで・場所は鎌倉彫会館 *Facebookに「節絵展(2016冬春)」有り。
「すみわたらむ」日本画と木彫の二人展。 [絵の周辺と展覧会]
ブログの記事を拝見して訪ねた作品展。
JFさん、ありがとうございました。
明と暗、粗と密、静と動、、、それらはどんな表現にも欠かせない対比の概念。
絵画などの視覚表現はもちろん、音楽でも言葉の世界でも欠かせない。
肝心なのは、お互いがお互いを引き立てる関係になっていること。
対立ではなく対比。
吸い込まれそうな水の波紋、そこに見える静かなエネルギーと情感。
静謐でありながら、はっきりと聞こえる水の音、
これは天内純子さんの日本画(というジャンルも気にならないけれど)。
時に肉感的にも見える木の持つ原始的な生命力、
木はこんなにも雄弁に命を語っているのだよ、
と、目の前に見せてくれる木彫作品。作者は古川葉子さん。
そのお二人の作品の対比が、五感を心地良く刺激する素敵な作品展だった。
心地良い海風が吹き抜ける会場の古民家スタジオも、うってつけの舞台装置だ。
畳に座って、出来ることなら寝そべって見たい、
そんな居心地の良さを感じる展示だった。
なにより「二人展」の意図・意味がはっきりと伝わってくる、これが良かった。
『すみわたらむ 天内純子×古川葉子 日本画・木彫二人展』
鎌倉は由比ガ浜大通りの「古民家スタジオ・イシワタリ」
http://ishiwatari.jimdo.com/
会期は10日(日)まで。
さほど暑くなかった昨日、訪ねて良かった。
“鎌倉からはじまった。PART 3:1951-1965” [絵の周辺と展覧会]
はじめて鎌倉の近代美術館を訪れたのは1961年だったと思う。
開館からまだ十年目、白く輝く建物が眩しかった。
当時通っていた中学の校舎は、たぶん終戦直後の建築と思われる。
いや戦前からあったのかもしれないが、
ともかく、その素っ気ない校舎ばかり見ていた目には、
鎌倉のこの美術館の“近代”はたしかに眩しく映った。
“鎌倉からはじまった。PART 3:1951-1965「鎌倉近代美術館」誕生”
いよいよ今月いっぱいで閉館になる美術館の最後の展示だ。
週末を避け、できれば晴れて暖かい日に、と思っていたけれど、
ついに、あと半月になってしまった。
そろそろ行かねばきっと後悔するぞ、と訪れた。
予想ほどの混雑は無く、やや混んでいる程度、午前中に行って良かった。
(でも、土日はきっと大混雑と思う)
展示は、草創期の15年間に集められた絵画と彫刻、
その大半は日本人作家のものだが、
コレクション第一号のミノー『コンポジション』も見られた。
80人ほどの作家の作品が、次から次へと目まぐるしく登場する。
松本俊介の『立てる像』(これは見たかった作品のひとつ)も、
ゆっくりと見ることができた。まずは良し。
歩き疲れるることのない適度な広さ、
八幡宮の祝祭的な雰囲気と妙にマッチする近代性、
周囲の環境との調和、とくに池の水の効果は素晴らしい、
そして、なによりその威圧感の無さが好ましかった。
それにしても“技術の粋”の結集であるはずの“近代建築”が
たった65年ほどで使いもにならなくなるとは、、、
正倉院ほど長寿でなくても、もう少し長持ちするやり方は無いのだろうか。
閉館と聞いて急に気にかけるのもどうかとは思うけれど、
美術館としての今後の活動の行方、こちらもいろいろと知りたい。
実際、この美術館の本当の力については、未だよく知らないし。
さて、ほんとうのラストまであとわずか、もういちど、、、かな?
五姓田義松展 [絵の周辺と展覧会]
『没後100年~ 五姓田(ごせだ)義松 ー最後の天才ー』、
先週末、葉山に住む友人の木版画家から“これは凄いぞ!”と知らせがあった展覧会。
NHKの日曜美術館で取り上げていたらしいが、
うっかり見損なってしまったので、正真正銘の初見である。
“ 1855年(安政2年)、江戸に生まれる。英国人報道画家
チャールズ・ワーグマンに10歳の頃より師事、10代後半
には本格的な西洋絵画技術を身につけ販売を開始。明治
政府、皇室の仕事をつとめ、パリでは日本人初のサロン
入選。明治期最高の洋画家である。”(「鑑賞の手引き」より)
タイトルの“最後の天才”という言葉の意味はさておいて、
あるはあるは、展示点数636点!!!
マッチ箱ほどの小さなスケッチから、ほぼ等身大の肖像画まで、
画材も、鉛筆、水彩、油彩、と多様。
とくに目を引かれたのが、
十代後半から二十代にかけての鉛筆画と水彩画。
手当たり次第というと言葉が悪いが、
身の回りのモノや風景、それと人物、さらには動物も、とにかく良く描いている。
そして、そのどれもがスタイルなど気にせずに、
見て感じたことを素直に描き、そして上手い。
もちろん技があるから出来ることではあるけれど、
いったいどんな子ども時代を過ごしたんだろう?と思ったりもする。
思いのほか鮮やかな水彩画の発色にも驚く。
水彩絵の具の色は100年以上経っても褪せないのだろうか???
ただ、重い重い図録の色が悪い!
いま描いたような水彩画の鮮やかさが印刷ではぼけてしまって、、、
まぁ、1800円でこれだけの図版の数だから贅沢は言えないかもしれないけれど。
展示点数が多く、作品保護のため暗めの照明、それとそれなりの混雑、、、
ではあるけれど、久しぶりに収穫の多い展覧会でした。
さぁ、義松の絵にこれだけ刺激されてはたまらない、
もっと描くのだ!と、単純なワタシでした。
『没後100年~ 五姓田義松 ー最後の天才ー』
11月8日まで・神奈川県立歴史博物館 入館料900円、ただし65歳以上は100円!
再び、犬塚勉展。 [絵の周辺と展覧会]
今日が最終日の「犬塚勉展」を、もういちど見てきた。
自然を克明に描いた晩年、そこに至る「変遷」の時代に、
犬塚が自然をどんなふうに捉えていたか?
そのあたりが気になって。
『多摩丘陵(冬)』、『多摩丘陵(春)』、『路の向こう』、
『夕暮れの坂道』、『蛍の棲』などなどの絵たち。(タイトルもいいなぁ)
それらは、たとえば『ひぐらしの鳴く』*あたりとは画風はまったく違うけれど、
目の前の自然や風景に向き合う姿勢に通じるものも見え、
その素直さには共感を覚える。
(*『ひぐらしの鳴く』は上のチケットに使われている作品)
自然の強さ、静けさ、奥深さを感じながら、
それがどこから湧き出てくるのか、
そんなことを一生懸命に掴み取ろうとする姿、
その一端が少し見えてきたように思う。
やはり、出かけて良かった。
*
いろはさんも、今日、ご覧になったようです。
ひょっとしたら接近遭遇していたかもしれません。
犬塚勉展を見る。 [絵の周辺と展覧会]
9月15日、『犬塚勉展 ー純粋なる静寂ー』を見る。
一昨年の夏、テレビでその絵を見たときの衝撃は鮮烈だった。
(NHK ・ 日曜美術館『私は自然になりたい 画家・犬塚勉』)
その放送から日を空けず、奥多摩へ向かってから二年が過ぎ、
今度は東京でまた会えることになった。
タグ:犬塚勉
絵画展のお知らせ『塩沢宗馬 東京ー駅のある風景を描く展』 [絵の周辺と展覧会]
学生時代からの友人、シオザワくんの絵画展が開かれます。
題して『塩沢宗馬 東京ー駅のある風景を描く展』、
丸善での開催は、
ちょうど一年前の『東京こだわりの風景画展』以来です。
DMハガキより:
何気ない日常の風景も絵を通してみたときに、
思わぬ発見があります。いつも無意識に通り
過ぎている東京の駅やそのまわりの情景を心
を込めて描いてみました。近作の奈良や日本
海の絵とともに約40点を展示いたします。
*おもなスケッチ場所:
東京駅・上野駅・有楽町駅・新橋駅・水道橋
駅・御茶ノ水駅・新宿駅・渋谷駅・原宿駅など
会期は2011年8月3日(水)から9日(火)までの7日間、
会場は丸善・日本橋店3Fギャラリー
さ、絵を描こう。 [絵の周辺と展覧会]
昨日までとは比べものにならない日差しの強さ、
関東地方も梅雨が明けたらしい。
青く高い空を眺めていると久しぶりに外でスケッチでも、
否、秋が来て涼しくなってからにしよう。
「絵をおかきになるなら、向こうの原っぱへおいでに
なるといい所がありますよ」と教えられたままにそのほ
うへ行ってみる。
<中略>
包む ー 日本の伝統パッケージ展 [絵の周辺と展覧会]
藁、竹、笹、木、土、紙、それと布、
プラスティック製の容器が登場するまで、ものを包むのはそんな自然素材だった。
江戸や明治の時代の話ではない、
つい50年くらい前まではそういう「包み」が身の回りに溢れていた。
目黒美術館の『包むー日本の伝統パッケージ展』は、
そんな日本の伝統的パッケージの数々を見せてくれる。
脱線工作が面白いー75歳の発言 摺本好作展 [絵の周辺と展覧会]
小学生の頃、そう昭和30年代の話だが、木製の自動車模型をよく作った。
乗用車の側面の形をした板が2枚、(たぶん)ゴム製のタイヤが4個、
それと車軸にするヒューム管(これもたぶん)、そんなパーツがビニールの袋に入っていた。
それを文具店の店先で飽きずに眺めていたものである。
いったいどんな自動車ができるのだろう?と、胸を躍らせながら。
そんな50年以上も昔のことを思い出させてくれる作品展を見た。
脱線工作が面白い ー 75歳の発言
摺本好作展
タグ:摺本好作