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春の赤城山麓。 [水彩画とスケッチ]

20090504_akagiyama.jpg

4月26日、利根川で榛名山をスケッチしたあと、赤城山麓へ向かった。

 敷島公園からはボートの浮かぶ池越しに赤城山が垣間見える。ここもスケッチポイントになりそう、さっとメモのようなスケッチを描く。

 さて、これから赤城山。建物の合間に見えかくれする山を目指しながらクルマを走らせる。標高がじわっと上がるころ、富士見村という地名が出てきた。富士見というくらいだから低いはずはない、目的の赤城山はどんなふうに見えるか分らないが、とにかく見晴しは良いだろう。都内近郊の「富士見」はビルが邪魔をして何も見えない、、、という場所が多いけれど。

 市内の家並みがまばらになる頃から高度がぐんぐん上がる。もっと遠いと思っていた赤城山も、これなら近そうだ。
 通常、前橋市内から赤城山へ向かうメインのルートを一本外れた道を走っていたらしい。すれ違うクルマもほとんどなく富士見町内を上っていく。

 山麓らしいカーブの連続を過ぎて、道が緩やかな円弧を描くようになったところで、この風景に出会った。
 畑や山あいの新緑と土の色の光景。遠目にかすかに残る山桜がこの季節らしい。ゆっくりと目の前を横切るトラクターのオレンジ色が目立つ。
 大きな山麓を開いて作られた畑の、広々として開放的な空間が気持ちよい。山に囲まれた谷戸にある畑や田んぼの光景とは、ひと味違う。それにしても水平線が多い、絵になるかな、、、

 赤城山の方は晴れているのに、この畑の界隈はなぜか雲の下。そのせいで、もうひとつぱっとした明るさにならない。ただ、このあと友人の個展会場に行かなければならない。雲が切れて明るい日差しが出てくるまでは、ちょっと待てない。
 それでも描いているあいだに、日が射してくるか?と期待したけれど、結局曇ったままだった。ま、こういうこともある。
 そういえば、かつて広告用の写真撮影のロケでは、カメラマンのアシスタント君が、雲の動きを必死になって追いかけていたなぁ、なんていうことを思い出した。


 クルマでの移動は、たしかに便利で無駄が無いが、なんというか、その場所に溶け込むには不向きと思う。その場所の持っている空気とか情感といったものを受け取る感覚が目覚めにくい。
 さっと来て、そそくさと描いて帰ってしまうには惜しい風景のこういう場所には、ほんとうは電車やバスを乗り継いで、最終的には歩いて来るのが一番なのだろう。
 しかし、さてそうなると、こんどは一日で訪れることのできる場所が限定される、という難点もあるのだけれど。

2009年4月26日・群馬県勢多郡富士見村からの赤城山
F8(45×38cm)ワトソン
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のり

なるほどですね、場の空気や風景の雰囲気をしっかり掴み、心の準備を整えることが大切なのですね。
花屋さんで花を選ぶとき、なかなか決まらず、眺める時間が長いのも、同じようなことなのかもしれないなと今、思っています。
by のり (2009-05-05 09:08) 

masa

うんうん。。
最近駆け足の旅が多くて。。masaも感じています。
その場所を味あうのは自分の足で歩くのがいいですね
かつて釧路湿原を歩いて、その大きさを実感
帰路はmasaが可哀相に見えたのか、親切な方が車に乗せてくれた
あっという間に湿原から脱出してしまって。。。
少し寂しい気持ちになったの思い出しました。
エジプトも再度、自分の足でゆっくり巡ろうと旦那と誓いました!

e-g-gさん
車に自転車を積んで行くのはどうでしょう!!
車だけより親近感湧くのではないのでしょうかね^^

by masa (2009-05-05 17:22) 

いろは

こんばんは^^
お久しぶりでございます。
素敵な水彩画を描かれていらっしやるのですね〜♪
ソフトタッチの絵がe-g-gさんらしいと・・・
穏やかなお人柄が絵にも表れていますね♪
by いろは (2009-05-05 21:37) 

U3

明るい水彩画と紀行文の様な情景が浮かぶ文章。
穏やかな気持ちになれました。
ありがとうございます。
by U3 (2009-05-06 06:07) 

よしあき・ギャラリー

大きなスケールですね。
毎度、お見事ですね。
勉強させていただいています。 ^^
by よしあき・ギャラリー (2009-05-06 07:32) 

ken_jp

関越道を新潟に向かっていると左側に赤城山が見えます。
山の裾野がなだらかな曲線でとても風情があるのを思い出しました。

by ken_jp (2009-05-06 10:22) 

e-g-g

◎のりさん
その場に落ち着いてすっと入っていける感覚でしょうか。
これはその場所の固有の性質と、
もちろん描く人間の思いが何かのはずみで反応しあうのでしょうね、
カメラを向けるときも、そういった感覚はありますが、
私の場合は、描くほうが向いている、と最近気づきました。

by e-g-g (2009-05-06 14:31) 

e-g-g

◎masaさん
“あっという間に湿原から脱出”、、、
う~ん、良くわかりますよ、その気持ち。
いろんな苦労を含めて、旅!
しんどいことの多い山登りが典型的ですね。
ともかく自分の脚で行けるところまで行く、
そこで見えるもの感じられることを心に刻み付ける、
「奥の細道」のような旅が理想なのかもしれません。

ところで自転車、いいですね~
実はクルマの屋根に載せるラックもあるんですよ、
ずいぶんと長いこと使ってませんが、引っ張り出してみようかな、、、

by e-g-g (2009-05-06 14:46) 

e-g-g

◎いろはさん
お久しぶりでございます。
また始められたのですね、楽しみにお邪魔します。

絵のほうは去年の秋から始めましたが、
描くことでその場やものをじっくり見るようになりました。
こらえ性が少しは鍛錬される!と思い込んでいます。
ともかく、語りかけてくるものが多く、
今は手当たり次第に描いています。

by e-g-g (2009-05-06 14:57) 

e-g-g

◎U3さん
ご覧いただきまして、ありがとうございます。
これからも、たぶん、描き続けると思いますので、
気が向かれましたら、またお越しください。

◎よしあき・ギャラリーさん
ちょっとこまごまと描き込み過ぎの感があります。
何を描きたかったのかをもっと絞り込んで、
それを浮き上がらせたいですね。

◎ken_jpさん
都心を抜け出して、山が見えてくると、
それだけで気持ちが高揚してきます。
上毛三山、裾野まで含めてよい趣がありますね。

by e-g-g (2009-05-06 15:09) 

HEIJI

赤城山麓・・すでに標高が高い場所のように感じられます。
空が近いような気がしますね!
車やオートバイを遠くに停めて、歩いていくのが一番良いと思います。
でも知らない場所だと、結局近くまで行ってしまって・・・
うーん、なかなか難しいかも。
by HEIJI (2009-05-07 00:00) 

はじ坊

やはりその場の雰囲気の中で、実物を目の前にして描くのが一番ですよね。
でも野外でのスケッチは、条件が厳しいです。
暑かったり、寒かったり、目が疲れたり、風や虫に邪魔されて集中力が続きません。
ある程度描いて、後はじっくり室内で仕上げるe-g-gさんのスタイルが正解ですね。
by はじ坊 (2009-05-07 10:39) 

こぎん

段々畑と石積み・・・日本の風景ですね。
榛名山、赤城山・・・1日に2山制覇 (*^^*)ですね。
by こぎん (2009-05-07 10:52) 

e-g-g

◎HEIJIさん
このあたりの標高は500メートルくらい、
ここからいよいよ山が始まる、という感じでした。
移動手段、結局のところ、組み合わせるモノの選択になるのでしょうね。
車やバイクを置いて、最低でも一キロくらいは歩く、
そんな感じでしょうか。

◎はじ坊さん
あと、立ちっぱなしというのも結構しんどいです。
スケッチ用の椅子を使えば良いのですけどね。

時間をおいて家で仕上げるのは、
全部を現地で描くのとは、たぶん微妙に違うと思います。
こんど、いろいろと試してみたいですね。

◎こぎんさん
あと、妙義山を加えれば上毛三山制覇だったんですよ~

悠々自適の暮らしになったら、
日本中の良き風景を描きに歩き回りたいものです。
そんな日々がやって来るのかどうか、、、
夢のまま終わりそうですけどね。

by e-g-g (2009-05-07 16:14) 

春分

近所の風景に似ているように思います。連休中は赤いトラクターも活躍していました。
まあ見える山はこちらでは男体山ですが、何だか似ています。
by 春分 (2009-05-09 22:09) 

e-g-g

◎春分さん
たぶん、あちらこちらで見られる風景なのでしょう、
それだけに、なんとも安心感のようなものを感じます。
ところで、男体山が望めるとは、うらやましい限りです。
しばらくご無沙汰なので、行きたいですね~

by e-g-g (2009-05-13 10:53) 

e-g-g

◎Krauseさん

◎一真さん

◎sanjinsaiさん

◎xml_xslさん

◎kakasisannpoさん

◎くらいふさん

◎匁さん

◎ponchiさん

◎こぼんさん

◎旅爺さん さん

◎ホシさん

◎cheeさん

◎KAZUYAさん

◎ヨナタンさん

◎watamiさん

◎甘党大王さん

◎mimimomoさん

◎若頭さん

◎甘茶さん

niceを、ありがとうございます。

by e-g-g (2009-05-13 10:55) 

響

なだらかな段々畑ですね。
とっても癒される光景だなー。
by (2009-05-14 23:33) 

e-g-g

◎響さん
トラクターが入れないような棚田とか、
この絵の場所のように、比較的に開けた畑とか、
とにかく、日本人は暮らし方をその土地に沿わせて、
それでずっと歴史を積み重ねてきたのでしょうね、
土の上でちゃんと暮らしたい!そんな気持ちがふっと、、、

by e-g-g (2009-05-18 17:14) 

mamire

赤城山の麓が、私のルーツです。
年に一度、春に訪れるところです。
走る車も少なくて、とってものどか。
幼少を過ごしたところtぴわけでもないけれど、田舎にあこがれるのは流れる血が騒ぐのかもと、絵を拝見して思いました。

by mamire (2009-06-10 15:42) 

e-g-g

◎mamireさん
コメント、ありがとうございます。
そうですか、この方面にルーツが、、、
赤城山は今回はじめて行きましたが、中腹から見る榛名山方面と、
それから利根川沿いの平地の景観が素晴らしかったです。
山に囲まれているのに広々とした印象が気持ちの良いものでした。
私も祖父の代までは典型的な田舎暮らし、
山や田園に憧れる強いDNAは、そうそう簡単には消えませんね。

by e-g-g (2009-06-17 17:21) 

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