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Perikanの絵の具 [水彩画とスケッチ]

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 Perikanの固形透明水彩絵の具。この絵の具との付き合いは長い。いったい何セットを買っただろう?と言っても、その昔にもっぱら広告のラフスケッチを描くのに使うばかりで、いわゆる水彩画はほとんど描いていない。
 先月の末に友人の水彩画の個展を見た。根が単純なワタシは、いとも簡単に影響されて、この使い古した絵の具を携えてスケッチに。

 それにしても、もう何年もいや十年以上もしまい込んであったのに、水を垂らせばすぐに使える、たいしたものだ。五年、いや三年も経つと使い物にならなくなってしまうパソコンの周辺機器とは大違い。

 通い慣れた近所の公園にちょっと面白い坂道があって、そこを通りがかるとカメラを向けていた。定点観測的に撮った写真は季節の様々を見せてくれて、それはそれで面白い。それに、何度もファインダーで覗いているから、だいたいの絵柄は分かっている。
 まずは、その場所を描こう。撮ると描くとでは、どこがどう違うのか、そのあたりも良く分かるはずだ。
 カメラは、シャッターを押せばひとまずは何かが写ってくれる。が、スケッチは何かを描かない限り何も始まらない。当たり前のことに嬉しさを覚えながら2Bと4Bの三菱ユニを走らせる。

 いいなぁ、鉛筆の感触は。などと思いながら、さて最初の線はどこにどの程度の強さで描くか?描く範囲はどのあたりまでにするか?もちろん初めから迷いっぱなし。

 それでも、鉛筆のもち方、線の走らせかた、強弱の付け方、いろんなことがだんだんと思い出されてくる。人間の脳みそは大昔の感触もかすかな記憶として留めておいてくれるらしい、有り難い。

 彩度の少し落ちてきた桜の枝を描きながら、"オマエの水彩は要領が良すぎる、もう少し下手に描け"と、高校の美術部にいたころ、顧問の先生から言われたことを思い出した。要するに、もっとちゃんと見なさい!ということだ。今日も、要領が良すぎるのかなぁ?いやいや、そのレベルのずっと手前?さてさて

 鉛筆でひととおりのかたちを描いたあと、さて、色は明るいところからつけるのか?いや暗い部分だったかな?と、昔の記憶を手繰りながら、まぁ練習だから失敗したらまた描きなおせば良い、と塗りはじめる。明暗のバランスは、もちろん目を細めて確かめる、懐かしいなぁ。

 固形絵の具を溶き、紙のうえに色をのせる。緊張と楽しさが入り交じった湧くわくする一瞬。思った通りの色の出方に安堵するときと、あっ!まずい!と慌てるとき、これも昔と変わらない。

 ちょっとした木陰のこの場所、蚊の攻撃に耐えながら二十分間のお絵描き。このあと、場所をかえてもう一枚。のんびりとした時の流れる日曜日、朝のスケッチだった。

 さてと、これからワタシの風景の見方は、どう変わるのか?いや、あまり変わらないのか?もう少し描いてみないことには、なんとも分からない。
タグ:水彩画
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akipon

朝のスケッチですか、僕もそんな優雅な
休日を過ごしてみたいです。 過去の記憶
を思い出しながらの作業も良い感じですね。
思い出と過去の記憶を同時に楽しむ感じ
でしょうか。
by akipon (2008-10-07 08:07) 

こぎん

透明水彩・・・憧れです。
さらさら~~と描けたら・・・いいな~って思います。
描くっていうのは、写すというカメラよりも・・・より深く観察しますよね。
奥入瀬で見た、あのおじさんのように・・・e-g-gさんも幸せな時間が訪れますね!
by こぎん (2008-10-07 08:42) 

e-g-g

◎akiponさん
描いたり塗ったり、だれでも持っている経験ですから、
ちょっと手を動かすと自然に思い出しますね。
優雅な休日、、、う~ん
akiponさんも、いずれお子さんとスケッチなんていう日が
来るかもしれませんよ。

◎こぎんさん
>さらさら~~と描けたら・・・
ワタシも激しく思います!
とにかく、なかなか上手くはいかない、、、

奥入瀬のおじさん、刺激になりましたよ、
でも、あんなふうにサマになるには、何十年もかかりそう。。。

by e-g-g (2008-10-08 12:18) 

e-g-g

◎xml_xslさん

◎Krauseさん

◎cheeさん

◎takemoviesさん

◎harryさん

◎カフェオランジュさん

◎一真さん

nice、ありがとうございます。

by e-g-g (2008-10-08 12:23) 

mio

水彩画、難しいです。
中学の頃の美術の先生がいいました。私が描く水彩画は暗いらしいです。
明るい色彩で描かれている絵をみると、うらやましく思ったものです。

by mio (2008-10-08 21:38) 

mamire

わぁ、10年経っても現役の絵の具なんですね。
固形の絵の具って、水をたらしたときからもうイメージが出来上がっていきます。
もう、何年も使ってないけれど、まだ、使えるのかぁ、と思いました。
カビが生えているかも。(^_^;)

by mamire (2008-10-09 00:55) 

井上酒店

「パソコンの周辺機器とは大違い」本当ですね。パソコンは便利ですが、サイクルも早く、使えなくなるのに、何年も前の絵の具はその時と変わらず色を出す・・・良いですよね。ある意味エコですね。でも良い趣味?と言って良いのでしょうか?をお持ちですね。ウチの嫁さんも密かに絵を描いていたそうですが、今は全然時間がないと言って書いてません。僕も小さい頃よく、両親と写生をしに行きました。また嫁さんと2人で絵を描くって言う趣味を持つのも良いかも知れませんね。また是非素晴らしい絵を披露して下さいね。楽しみにしてますよ。
by 井上酒店 (2008-10-09 23:17) 

e-g-g

◎mioさん
難しい水彩画、
思い通りの色が出なくてため息ばかりでも、
やはり楽しいですね。
「暗い」も個性、そういった感覚は
なかなか変わるものではありませんね。

◎mamireさん
チューブ入りの絵の具は固まってしまうこともありますからね、
すぐに使える固形絵の具は本当に便利です。
カビも生えてません、強烈防腐剤でも入っているのでしょうか?

◎井上酒店さん
>嫁さんと2人で絵を描くっていう趣味を・・・
いいですね〜、是非!
同じ場所を描いても、まったく違うものを見ていたり、
たぶん、いろんな発見があると思いますよ。

by e-g-g (2008-10-10 18:17) 

HEIJI

使い込んだ感じがいいですねー。
そう、チューブのは固まってしまいますね。このあいだ思い立って画材をひっぱり出してみたんですが・・・ほとんどダメです。
固形の水彩絵の具って知りませんでした。ちょっと使ってみたいです。
by HEIJI (2008-10-11 18:17) 

e-g-g

◎HEIJIさん
固形絵の具は水と筆があれば、どこでも描けるので便利ですよ。
たま~に引っ張り出してきても、ちゃんと使えますから。

絵を描こうなんて思ったのも久しぶり、
もっと使い込んだというところまで、描きたいものです。

by e-g-g (2008-10-12 19:36) 

のすけの母

自分の思いを絵で表現する人、造形で表現する人、歌で表現する人、文章で表現する人……。
私は、絵がダメです。
子どものころは、それでも好きで描いていましたが、だんだん心で描けず頭で描いてしまい、もう描けなくなりました。
だから、自然に絵筆を握れる人がうらやましいです。
私は文章でしか表せないし、それもこの程度……。

e-g-gさんの絵、とても見てみたいです!!

by のすけの母 (2008-10-12 21:41) 

e-g-g

◎のすけの母さん
頭(理性)に溜まった諸々にいちばん影響されるのが絵かもしれません。
いつの間にか「上手く」という観念が染み込みやすいのでしょう。
でも、描いているうちにだんだんと無心になりますよ!
(と、ワタシ自身は願ってます)

ともかく表現することはエキサイティングなこと、
やめられませんね。


by e-g-g (2008-10-14 00:06) 

daland

こんばんは。
Loft やハンズの画材のコーナーへ行くとスケッチ用の水彩のパレットなんか見るのとても楽しい。
思わず手に取ってしまいます。
絵書けたっけ ? 誰かがささやきます。
ふっと我に帰って、元の棚に戻してます。
いつかは描きたい。
by daland (2008-10-19 22:15) 

e-g-g

◎dalandさん
絵、描けますよ!
こんどは元の棚に戻さずに、そのまま買いましょう。

by e-g-g (2008-10-26 18:23) 

e-g-g

◎nice!を押してくださったみなさま、ありがとう。

by e-g-g (2008-10-26 19:05) 

hidechan

e-g-gさん、いただいたコメントを頼りに、ご訪問させていただきました。

>五年、いや三年も経つと使い物にならなくなってしまうパソコンの周辺機器とは大違い

全く同感です。
私も、ペリカンの水彩絵の具を(素人ながら)使っていた時期がありました。
親父の友人の画家の方から、「これを持って歩いて、良い景色や画になりそうな静物があったら、すぐに描け」って・・・

私がいただいたペリカンの絵の具は、e-g-gさんと同じ、丸い絵の具の基本色が確か12色くらいセットされたものでした。

いま、押し入れの中を、あちこち探しています。
by hidechan (2010-10-14 22:45) 

e-g-g

◎hidechanさん
こちらへのコメントも、ありがとうございます。

「ペリカン」との出会いは1970年頃に、
先輩デザイナーから薦められて、それ以来です。
使い方の大半は広告用のラフスケッチを描くためでした。
それも、縮小・拡大自在のコピー機、それとカラーコピーの登場で、
私にとっての役割を終えました。

>「これを持って歩いて、良い景色や画になりそうな静物があったら、すぐに描け」って・・・

これは正しき使い方ですね!
いつも、そうしていたいものです。

時が経ち、今、ようやく本来の使い方をしています。
家で描く場合は、チューブ型の絵の具ですが、
ちょっと出かけるときは、やはり便利ですね。
明日、箱根にハイキングに行く予定ですが、
デイパックの中に入れていくつもりです。
でも、荷物が重くなるなぁ、と思案しつつ。。。
by e-g-g (2010-10-15 12:01) 

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