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色分けのモンダイ [日々のデザイン]

 三色あるいは四色ボールペンをよく使う。ずっと昔からいろいろと使っている。そういえば、何年か前に“三色ボールペンで読む日本語”という本も目を通した。手帳に何かを書くときは、仕事の要件は赤、プライベートは緑といった具合に。ラフスケッチを描くときにも使う。色を分けながら描くと、ちょっと頭の中が整理されたような気がする。それと、細いボールペンである程度の面積をシャッシャと塗る作業に没頭していると、ふと良いアイデアが浮かんでくることも、ま、無きにしも非ず。ともかく三色・四色ボールペンは便利な筆記具である。

20080421_ballpointpen.jpg

 が、だからといって情報の区分けに赤と緑の色分けが万能ということではない。何らかの理由で色覚に偏りがある場合、赤と緑の見え方に差がないこともある。この色覚、C型・P型・D型・T型の4つのタイプに分けられる。このうちP型とD型では赤と緑がほぼ同じ色に見えてしまう。日本人男性の20人に1人、女性では500人に1人、全国ではおよそ300万人がこのP型とD型で、色弱と呼ばれる。

 個人のメモレベルであれば、いろんな工夫のしようもあるが、たとえば学習や会議によく使われるホワイトボード。赤と緑で色分けすることなど良くある。基本は黒で書いて、注意点などを赤に、そして補足説明を緑にといったように。この「分かりやすい工夫」が、色弱の人にとっては「注意」と「補足」が一緒になってしまう。会議などでは、その流れを掴んでいればなんとかなるかと思うが、咄嗟の判断が必要な場合や不慣れな場面など、困ることもあるだろう。
 テレビのリモコンのデータ送信ボタンの色分けは、ま、ゆっくり落ち着いてやればなんとかなる。ただ、たとえば、それでなくても妙に焦った気分にさせられる駅の券売機でこんな混乱があったら。

 パッケージにせよ平面的なグラフィックにせよ、いやどんな分野のデザインでも、このことは一応は頭に入れておく。いまは色弱模擬フィルタやパソコン上でシミュレートできる便利なソフトもある。
 が、色覚障がい者に分かりやすいように配慮したもの(色覚バリアフリー)が、一般の人にとって分かりやすく美しいものになるとは限らない。「色のユニバーサルデザイン」も難しい。

20080326_itarianfrag.jpg
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anan

e-g-gさん、この問題、薬の色など、結構深刻です。

友人は、白と淡いピンクが識別できず、白を1錠、ピンクを2錠と言われ、困っていました。

色覚障害者は、他人から全くわかりませんから、ひそかに苦しんでいます。
by anan (2008-04-22 13:58) 

narkejp

祖母が全盲でしたので、カセットテープのA面とB面を触って識別する方法を教えたら、喜んでいました。「ありがたい発明だ」と感激しておりました。これは、目でAとBという文字を見るほかに、手で触って区別できるなど、識別要素が複数あったからだと思います。
薬の問題も、錠剤の色と形、大きさなど、識別要素を複数にすることで解決できるのではないかと思います。補足と注意は、書体や文字の大きさ、頭の記号(*や!など)で識別することは可能だと思います。ただ、どちらも当事者にその意識があるかどうかが問題かも(^_^)/

by narkejp (2008-04-22 19:42) 

YASH

信号の青って緑ですよね。
ということはあれが赤と区別しにくい人がたくさんいるということですか…。
少し前からLEDに替えられてますけど、その機会にこういう問題を
見直してほしいですね。
by YASH (2008-04-22 22:22) 

kita

色覚障害者が世の中にこんなに多いとは。
正常者には想像もつかない深刻な問題もあるのでしょうね。
心にとまった指摘でした。
by kita (2008-04-23 09:53) 

三浦半島の住人

モノクロ写真と思いきや、かすかに付いた緑と赤が認識されると、頭のスイッチが入って”国旗だ・・・”と認識されました。不思議なもんですね。
by 三浦半島の住人 (2008-04-24 12:19) 

daland

普段はあまり気にしませんが、色を判別できないと困ることが多いですね。
そういえば免許の更新の時に視力の他に色の検査もやってます。
自分がいつも見ている色が本当の色なのか分かりませんね。
調べることもできませんし。
絵画なんかももしかしたら色のとらえ方が人によって違うのかもしれません。
色の世界って不思議です。

by daland (2008-04-25 13:15) 

e-g-g

コメントを頂いたみなさまへ
まず、色覚はたとえば味覚と同じように個人差があって当然の現象ですから、
「障がい」というのは本当は正確じゃないですね、
血液型の違いに近いともいえると思います。
ただ、現状では「色覚障がい」と言わないと
伝わりにくいので、そのまま使いました。
もう少し正確かつ分かりやすい言葉があると良いのですが。

◎ananさん
白とピンクのようにコントラストの弱い組み合わせは、
場面によっては通常でも分かりにくいものですね。
「見え方」については色覚の違いだけでなく、
年齢を重ねていくといろいろ出てきますから
もっともっと関心を持っていきたいものです。

◎narkejpさん
識別のための工夫をいくつか用意するのは
大切なことと思います。
まず、送り手側がその意識を持つことがスタートですね。
ただその上での話しですが、
免責条項的に「配慮しています」となるケースが多いのも事実です。
少ない要素で間違いなく伝える、
モノの設計やデザインの力が試される場面と思います。

◎YASHさん
LEDの信号機が増えて、それにつれて
緑も青化の度合いが強まってますね。
太陽光がダイレクトに当たっても見やすい、消費電力が少ない、
といったメリットが謳われていますが、、
「見え方」という点ではいろいろと問題提起も出ています。

◎kitaさん
色覚もいくつかのタイプに分けられます。
「赤と緑の区別」をつい話題にしがちですが
もっと微妙な違いのタイプもあります。、
何気なく見ていても、実はちょっと色覚が違っていた、
ということもあるかもしれません。

◎三浦半島の住人さん
旗の写真は、色覚の違いとはまったく関係ありませんが、
色の持っている情報性、といったつもりで載せました。
色がないと意味が伝わらないものって意外と多いものですね。

◎dalanddsさん
色の基準はいろいろとありますので、
その見え方もいちおうは特定できるようです。
でも、実感としては
はたしてみんな同じようにみえているのだろうか?
と、ちょっと不安になることもあります。
by e-g-g (2008-04-26 11:38) 

e-g-g

◎一真さん

◎デザイン屋さん

nice、ありがとうございます。
by e-g-g (2008-04-26 11:40) 

e-g-g

◎HEIJI☆さん

◎ハイマンさん

nice、ありがとうございます。
by e-g-g (2008-04-29 11:26) 

響

ずっと近視で苦労してますが
矯正ができるだけまだマシですね。
色が判別できないといろいろ不便ですし
大変ですよね。
by (2008-04-30 12:52) 

e-g-g

◎響さん
私は視力はもともと良いほうですが、現在ローガンです。
ローガンキョーの度数もだんだんと進んでます。
でも、道具でなんとかはなるわけで、
その点で色覚の問題は響さんも書いているとおり、
大変なことと思います。
もっと話題になっても良いテーマと思いますね。
by e-g-g (2008-05-01 20:46) 

e-g-g

◎Nicoli♪さん

nice、ありがとうございます。
by e-g-g (2008-05-01 20:47) 

mamire

e-g-g さま、ご無沙汰していました。
時として、わたしも送りてになることがあります。
心に止めておかなければならない記事になりました。

by mamire (2008-05-01 23:45) 

e-g-g

◎mamireさん
通常、人が受け取る情報の80パーセント以上は
視覚情報といわれています。
それはすべてカタチと色が頼りですから、
やはりそれぞれの分野のクセというか
おおよその特質は頭に入れておいたほうが良いでしょうね。
いろいろ大変ですけど、、、

でも、そうやってコミュニケーションが少しでもスムースになれば、
世の中が明るくなることはたしかです。

by e-g-g (2008-05-03 20:28) 

tak

色弱の人のための色分けの問題は
ほとんど意識していませんでした。

そういえば、最新の自動券売機って、
色の表示って、ほとんどされませんね。
新幹線の指定券を取れるやつですが、
果てしなく続くと思われるほどのツリー型
のメニューが、ほとんど文字で表示されます。

たとえば、のぞみを赤で、こだまを青でとか、
普通席を黒で、グリーン席を緑でとか、
色分け表示すれば、さぞやわかりやすかろう
と思うのですが、そうすると、差別になってしまう
のかもしれないのですね。

なるほど。

ちなみに、ふつうの職業の人は、3色ボールペンって
ほとんど使わないと思います。
(^^;


by tak (2008-05-07 23:55) 

e-g-g

◎takさん
ホームの時刻表などもカラフルになる傾向がありますけど、
色覚のタイプによってはかえって見にくくなるケースも
現実に起きています。

「色分けしたから分かりやすいはず」と
思いこんでしまうのは、これはごく普通の感覚。
表現にもいろいろな気配りが必要です。

そうですか、ふつうの職業の人は三色ボールペン、使いませんか〜
by e-g-g (2008-05-08 14:29) 

e-g-g

◎miopapaさん
お立ち寄り、ありがとうございます。
by e-g-g (2008-05-13 12:42) 

e-g-g

◎sanjinsaiさん
nice、ありがとうございます。

by e-g-g (2008-06-27 23:29) 

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