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(たぶん)10年目の、タンノイ。 [聴く・クラシック音楽]

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 ボイスコイルに電流を流す。内側にある磁石と反応したボ
スコイルの動きが振動板に伝わる。そして空気が振動して音
となる。
 と、理屈では分かっていても、なぜあんなコーン紙から妙
なる楽の音が飛び出すのか、、、

 使いはじめてから、十年を向かえた(と思う)タンノイ。
はじめのうちは、腰の座らないなんとも頼りない音だった。
ショップにCDを持参して、あれほど試聴したのに、失敗か
と思った。それまで聴いていたスピーカーの記憶も、まだ生
々しく残っていたし。

 聞き込むうちに、全体のバランスも良くなり、現在はいた
って快調である。とくに最近は中音域から低音域にかけての
滑らかさが増している。シンフォニーのチェロとコントラバ
スの音の響きが豊かになった。

 タンノイといえば弦!と言われている。たしかに、張りが
あって艶やかな弦楽器の再現にはやはり強いと思う。ヴァイ
オリンのソロも、室内楽も聴く楽しみが増えた。
 打楽器的性格の強いピアノは、たしかにもっと向いたスピ
ーカーがあると思う。でも、クラシックを聴いている分には
さほどの不満は起きない。
 ジャズやロックを本気で聴く気なら、全く傾向の違うセッ
トを揃えるべきだろうし。それに、そちら系統のタイプでは
パヴァロッティのテノールが、ふやけずに潤いのある声で聞
けるかどうか、、、。

 ともかく、バッハも、ベートーヴェンも、グレン・グール
ドも、中島みゆきも、天気予報も、サッカーの中継も、毎朝
の ちりとてちん も、みんなこのタンノイで聴いている。
 難を言えば、普及版のこのスターリングでもそこそこの大
きさ。それとスタイルも決して洗練されているとは言い難い。
最近のトールボーイ型などを見ると、ほんの少し気持ちが動
くこともある。でもしかし、あと十年くらいは頑張ってもら
いたいもの、と思っている。


 タンノイには「オートグラフ」という名機(と言われてい
る)がある。それもタンノイの工場が火災に遭った 1974年
以前のものが良いらしい。そんなオートグラフへの思い入れ
は、たとえば、五味康祐の『音楽巡礼』『西方の音』などに、
たっぷりと語られている。
 若い頃、そんな本を読んで“いつかはオートグラフ”と思
うこともあった。ま、これは様々な条件を熟慮して?ずっと
棚上げだけど。


nice!(7)  コメント(11) 
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kita

e-g-gさん こんばんは。
私もタンノイには思い入れがあります。所有したことはありませんが。
40年ほど前の新入社員時代スピーカが欲しくなり、店頭で当時評判だった日立
のHS500という2wayを聴きました。ところが店員がそばにあったⅢLZを聴かせて
くれました。曲は忘れもしない、アシュケナージの弾くリストの超絶技巧練習曲。
HS500もそこそこ良い音で鳴っているのですが、タンノイと比べると月とスッポン
で、そのあまりの違いにびっくりしたことを覚えています。新入社員では高価すぎ
買うことはできませんでしたが。
スターリングも同じ10インチで、良い音でしょう。

但しこれも昔、吉祥寺の近鉄裏の喫茶店でレクタンギュラーヨーク(だったと思う)
を聴きましたが、高弦がきつく感じました。使いこなしの難しいスピーカなのですね。
五味康祐のオートグラフに関する文章ではホーンがうまく、きつい特性を抑えている
と書いていましてね。本物を聴いてみたいものです。
by kita (2008-02-20 19:35) 

e-g-g

◎takemoviesさん

◎きぃ*さん

niceを、ありがとうございます。
by e-g-g (2008-02-21 17:18) 

e-g-g

◎kitaさん こんにちは
タンノイはファンが多いですね。

私の思い入れはさほど強くはありません。
ずっと聴いて、そして気に入っていた
ヤマハのNS 690が昇天してしまい、
どうせならガラッと違う傾向のもの!
という感じの選択でした。

でも、ホームユースとしては、
聴き疲れの少ない良いスピーカーと思います。
ときおり、オーディオの「この先」に待ち受けている
泥沼に惹かれることもありますが、
今のところは、、、
by e-g-g (2008-02-21 17:23) 

響

本当にいいスピーカーって使い込んで行くうちに
なじんでいく物なんですね?
車のオーディなどにちょっと凝ったことがあるので
家のオーディオには怖くて手が出せません。
でも、まだメジャーな曲しか知りませんがクラッシクなどを少し聴くので
いいオーディオが欲しいです。
by (2008-02-22 19:26) 

meguropolitan

「オートグラフ」より少し小さい「GRF」を英国から持ち帰った
友人がいます。たしか一方が57年、もう一方が59年のモニター
シルバーが入っているGRFとのこと。譲ってくれた英国人が後に
ステレオにしたため買い足したからだそうです。ユニットはもちろん
ネットワーク、なにより外観が数年ほどしか経ってないのではないの?
というくらい奇麗で驚いたのですが、全くのオリジナルとのこと。
現代的な録音のルネサンス期の音楽のCDでは、つまらない先入観を
いとも簡単に覆されるほどの音場表現や定位、空気感を再現し、
現代のハイファイスピーカーに全く劣らない、と考えを改めました。
ぼくは友人の「GRF」からセピア色の香りを全く感じませんでした。
また、そういった能力の部分以外に、実に威風堂々としているというか
音楽的というか…、素晴らしかったです。ぼくは時に英国の荒涼とした
平野のようなワイルドな味を感じ、そこに現代スピーカーでは得られない
個性をみたような気がしました。で、ロック音楽もいいんですよね。
けっこう現代人の耳にも心地良いハードで粗野な響きを出したりして。
半世紀前のスピーカーは骨董ではなく現役だとぼくは思います。
ただし個体の歴史によるとは思いますが。
それにしても、スピーカーはオーディオ機器の中でも別格な存在なの
でしょうね。音が出てくる、ステレオ再現がされる箱なのですからね!
そしてスピーカーの存在自体が消えたら一番と思う人も多いのですから。
by meguropolitan (2008-02-23 22:06) 

e-g-g

◎響さん オハヨウです
スピーカーの音は使っていくうちに変わりますね。
一日単位でみてもオーディオにスィッチを入れた直後と、
30分くらい経ってからでは変わります。
ワタシは、そんなに神経質に接している方ではありませんが、
躍起になって「良い音」を求めると、泥沼が待ってますヨ〜
by e-g-g (2008-02-24 10:52) 

e-g-g

◎meguropolitanさん 久しぶり
最近、スターリングを見直してるんですよ。
とくに、この三年くらいは良く鳴るなぁ、と。
きっかけは、RCAが1960年代の録音を
SACD化したものを聴いてから。
ジーナ・バッカウアーのラフマニノフのCDですけどね、
そのスタンウェイの低域の鋼鉄のような響きが
まるで生き物のよう。
生演奏では聴けない、再生音楽の強さを感じました。
だから、記事に書いた「ピアノは弱い」というのは
ちょっと説明不足。

GRFとは比べものにならないけれど、
タンノイのDNAって、やっぱりあるのか?
と、思ってますよ。
家庭用として手頃な値段の道具で
ここまで鳴るというのは、
つくりの底力のようなものを感じますね。
by e-g-g (2008-02-24 11:07) 

e-g-g

◎HEIJI☆さん

◎三浦半島の住人さん

いつも、ありがとうございます。
by e-g-g (2008-02-24 11:09) 

e-g-g

◎meguropolitanさん 追伸です
>時に英国の荒涼とした平野のようなワイルドな味を感じ、、、

こういう風に言われるとね〜、
いろいろと想像の連鎖が始まってしまうのですよ。
シベリウスとか、ブラームスとか、聴いてみたいな、と。
by e-g-g (2008-02-24 11:13) 

井上酒店

僕もスピーカーにはこだわりたい派なんですよね。でも今は音響にお金かけれないんで、残念です。良いスピーカーから流れる音は、グッとハートに響きますよね。特にクラシックなどを好んで聞くわけでは無いですが、チェロの音色は大好きです。
by 井上酒店 (2008-02-29 20:59) 

e-g-g

◎井上酒店さん
最新のハイエンドのものは不案内ですが、
ごく一般的には、オーディオ装置の中でも
スピーカーは人間的というか感覚に訴えるものが分かりやすいですね。
自分に合ったスピーカーを見つけるのは
自分の中の音楽と向き合うことでもあると思います。
by e-g-g (2008-02-29 22:21) 

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