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VISIONS is our favorite memories. [聴く・クラシック音楽]

このCDに出会っから10年、家のセットで、クルマの中で、最近は i Podで、ともかくずいぶんと聴いてきた。優しく暖かいクラリネットの音色が気持ちを静めてくれる。

初めて聴いたのは、群馬県の玉原(たんばら)高原にあるペンション。
自然保護観察員でもあるオーナーからは、この土地のブナ林の生い立ちや近くの玉原湿原のことなどいろいろと教えてもらった。
それと、一本筋の通った理知的な話が魅力的な奥さんの、美味しくしかも知性を感じる料理。
冷凍食材を極力使わず使わず、地元で採れるものを取り入れた
大人の味のフレンチは、ペンション料金では悪いほど。

ある日の朝食時、どうにもこうにも感じのいい音楽が
ペンションの食堂に置かれたB & O のスピーカーから流れてきた。
プッチーニの「私のお父さん」が響いたかと思えば「黒いオルフェ」が流れたり。
それも、みなクラリネット。
美味しい自家製パンをほおばりながら、気づくとモーツァルトのクラリネット協奏曲の第二楽章。
えっ!?いったいこの選曲はナンなのだ!

オーナーに尋ねて教えてもらったのがこのCD。
上手くて、温かくて、押しつけがましいところのない、本当にセンスの良いCDだ。
以来、ストルツマンのCDは「見つけたらひとまず買う」演奏者のひとりになった。

ストルツマンは、元もとクラシックの世界で活躍するクラリネットの名手。このアルバムは、映画音楽の名曲を集めたもの。だからタイトルも“VISIONS”。

ちょっと長くなるけれど全曲を記しておく。

1・マイケル・ナイマン:果たされない約束の予感『ピアノ・レッスン』
2・プッチーニ:歌劇「ジャンニ・スキッキ」
  〜私のお父さん『眺めのいい部屋』
3・道
4・黒いオルフェ
5・恋におちた時『めぐり逢えたら』
6・雨に唄えば
7・愛に包まれて『最後の誘惑』
8・愛を感じて『ライオン・キング』
9・モーツァルト:クラリネット協奏曲イ長調K.622
  〜第2楽章『愛と哀しみの果て』
10・愛のテーマ〜冷酷な選択『ソフィーの選択』
11・サムホェア『ウェスト・サイド物語』
12・愛のテーマ『スパルタカス』
13・デボラのテーマ〜やぶにらみの歌
  『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』
14・コーリング・ユー『バグダッド・カフェ』
15・シンドラーのリストのテーマ
16・フィラデルフィア

RCA 09026-68072-2

とまぁ、いくらでも感情移入ができそうな曲ばかり。
でも、ストルツマンは涙ぽろぽろとは吹かない。
そこにあるのは大人の抑制(なんていうのがあるか)、
それでいて、その音色はものすごく温かい。
クラリネットっていいなぁ、と単純に思ってしまう。

VISIONS is your favorite movies.
VISIONS is my favorite melodies.
VISIONS is our favorite memories.
これはCDの解説に載っているストルツマンのコメント。


nice!(12)  コメント(18) 
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コメント 18

のすけの母

もともとの音源もすばらしいのでしょうけれど、きっと澄み切った高原の空気も、音楽をより美しくさせたのでしょうね。
美味しい自家製パンにも興味あります。
(興味の観点が違っててすみません。)
私は、美味しいパンは別腹なので。
で、
クラリネットで「シンドラーのリストのテーマ」だなんて、それも興味あります。
by のすけの母 (2007-08-21 21:32) 

e-g-g

◎のすけの母さん
美味しいバゲットと、そこそこの赤ワインがあれば、
あとは何もなくても良い、とまでは言いませんけど、
美味しいパンはほんとにオイシイのです、ね。

このCDの続編?で「DREAMS」と言う盤も出てます。
これも、なかなか良いです。
by e-g-g (2007-08-22 01:17) 

e-g-g

◎deacon_blue さん お立ち寄り、ありがとうございます。

◎Krause さん いつも、ありがとうございます。
by e-g-g (2007-08-22 01:18) 

ポッチ

eguchi さん、こんにちは。
曲目を見ると、いずれも名曲ばかり。このテのアルバムは、けっこう難しいですよね。涙ぽろぽろと吹いてないと聞いて安心(?)しました。ストルツマンのコメントもイカしていますね。
ちょうど今、気になっている映画の曲も入っているし、いざペンションへ!・・・と言いたいのですが、まずはレコード屋へ行ってみます♪
by ポッチ (2007-08-22 16:10) 

e-g-g

◎ポッチさん お暑うございます
VISIONSは、アレンジもなかなか良いですよ。
ピアノレッスンなんか、クラリネット用の曲に聞こえたりします。
発売から日が経っているので、ショップではほとんど見かけなくなりました。アマゾンでは扱っているようですけど。

涙ぽろぽろも、たまにはイイですよね。
by e-g-g (2007-08-22 18:00) 

mamire

クラリネットの音が草原にまた、よくマッチしたのでしょうね。
この暑い部屋で聞くにはもったいないかも。
クラリネットのソロアルバムは一つも持っていないの。
魅力ある音に触れたことがないのかも。

ぜひ、聞いてみたくなりました。
“VISIONS”というテーマもいいですね。
アマゾンで検索してみます。
by mamire (2007-08-23 12:32) 

HEIJI

観たことのない映画でも音楽だけは知っている、なんてことがあります。
聴いてみたいです。「大人の抑制」といのがコメントからも感じられますね。
by HEIJI (2007-08-23 12:53) 

いろは

こんにちは^^
私も一応プロフィールに趣味は音楽と書いてあるのですが、
それほどのクラシック通でもないのですが、大好きなんです。
ストルツマンは知りませんでした。
ちょっと聞いてみたくなりました〜。
ハンガリーに旅をした時に、ジプシーの音楽団の演奏を聞きながらお食事をしました。
CDもしっかり買わされましたけど・・・(^_^;)
でもとても楽しかったのです。リクエストをすると演奏をしてくれましが、あまりリクエストをし過ぎて、持っていた小銭がなくなってしまいました・・・(^_^;)
by いろは (2007-08-23 15:23) 

e-g-g

◎mamire さん こんばんは
スミマセン、気が利かなくて。
アマゾンで2,293円で出ています。
(最近、廉価版ばかり買ってるからタッカイなぁ)

◎HEIJIさん こんにちは
そうですね、私もこのリストの半分くらいしか観てません。
大人の抑制なんて変な書き方しましたね。
慌てず騒がず、落ち着いたテンポと音色、といった演奏です。

◎いろはさん こんばんは
ハンガリーは東西の出会うところですよね。
作曲家ではコダーイ、バルトーク、
指揮者もピアニストもたくさん出ていますが、
みんなリズム感が鋭い、という感じがします。
嗚呼、ブダペストへ行きたし!

ストルツマンは、VISIONSのようなクロスオーバー、
それからクラシックのCDもいろいろ出しています。
つい最近は、モーツァルトのクラリネット協奏曲のCDを
なんと590円で買いました。
これは良かったです。
by e-g-g (2007-08-23 20:09) 

SWR

ジャケットの写真が素敵。
by SWR (2007-08-23 21:19) 

e-g-g

◎SWRさん 久しぶり
ジャケット、いいでしょ。
中味もなかなか素敵ですよ。
by e-g-g (2007-08-23 22:06) 

berry

こんばんは〜♪
クラリネットはどこか哀愁がありますよね。
iTunes で探してみます。
そうそう、わたしもジャケットがステキだと思いました。
by berry (2007-08-24 23:05) 

POP

おはようございます。

静かなクラッシックは、心を穏やかにしてくれますね。
私は、少し、心に波風が立つときは、
ラフマニノフなどを、そっと、思い出しています。
by POP (2007-08-25 10:07) 

e-g-g

◎響(きょう)さん お立ち寄り、ありがとうございます。

◎berryさん
クラリネットは音が出た瞬間に、物語るものが多いです。
それだけ、演奏者はコントロールに苦労するのでは?と
これは素人の想像です。
私のクラリネットの音の原点は、
子どもの頃に耳にしたチンドン屋の音ですね。

◎小父蔵さん お立ち寄り、ありがとうございます。

◎POPさん ひさしぶりです
静かさ、激しさ、軽妙さ、深さ、、、
クラシックに限らずですが、
音楽の巾は広いな、と。
ラフマニノフを聴きたくなる秋ももうすぐ(と思いたいです)。
by e-g-g (2007-08-25 11:55) 

響

僕みたいなシロートには誰かに勧められないと
こういった分野のCDって出会う機会がないです。
聴いて見たくなりました。
by (2007-08-25 15:58) 

e-g-g

◎響さん
みんな、みんな、シロート。
だから、ときどき面白いものにも出会う、
その出会いの勘を大事にしたいですね。
by e-g-g (2007-08-25 20:15) 

kita

ストルツマンには思い出が多いので、過去のDiskや演奏会の記録等を探して
いたら、時間がかかり、今頃コメントで申し訳ありません。

私は、ピーター・ゼルキンが好きなもので、彼が「タッシ」を結成し、メシアンの
「世の終わりのための四重奏曲」を出したとき、早速聴いて見ました。ご存知
のとおり、ゼルキン(ピアノ)、アイダ・カヴァフィアン(ヴァイオリン)、フレッド・シ
ェリー(チェロ)及びストルツマンの4人組ですが、クラリネットの長いソロでの
ストルツマンのうまさには驚嘆したものです。その他モーツァルトのクラリネット
五重奏曲もよかった(以上はLP時代。それにしてもフレッド・シェリーはどうし
ているのだろう。センスのよいチェリストだったのに)。

実演では、東京クワルテットとのブラームスの五重奏曲を聴いたはずですが、
日時が判らず。

クロスオーバーでは、このコラムでご紹介いただいている「VISIONS」は聴い
たことはありませんが、「WorldBeat Bach」というCDは持っています。久し
ぶりに聞きなおして見ます。こういうCDを思いださせていただき、ありがとうご
ざいます。
by kita (2007-09-01 15:09) 

e-g-g

◎kitaさん わざわざのコメントをありがとうございます。
アンサンブル・タッシ、懐かしいですね。
といっても私はさほど熱心には聴いていませんでしたので、記憶に残る曲もほとんどありません。
活動期間も、長くはなかったですよね?

実演も聴かれているのですね。
この東京クワルテットとの演奏は、つい最近、CDを求めました。モーツァルトの協奏曲と五重奏曲の盤です。

実はストルツマンは、もっぱらクロスオーバーばかり集まってしまいました。
“World Beat Bach”をはじめ、
「ドリームス」「ラメント」「アリア」その他諸々、
たぶん6種類くらいがあるはずです。
(どうも、クラシックのほうは、ある程度の整理はするのですが、クロスオーバー、ジャズ、ポップス系は買いっ放し状態なのです)

ストルツマンも発売CDは多いですね、
クラシック分野のものも、少しずつ聴いていきたいと思います。

そういえば、ピーター・ゼルキンはどうしているのでしょう?
by e-g-g (2007-09-01 20:44) 

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