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色々 [日々のデザイン]

とある食品のパッケージ。
今日は、その印刷の立会い。場所は群馬県の大泉、暑かった、、、

印刷立会いは、コンディションが良くないとキツイ。
立会いの大半は待ち時間だが、
いざ、刷り見本が出れば正確な色の見極めが求められる。
それも、けっこう短時間のうちに。
これは、やはり少しは集中力もいる。
たとえば、徹夜明けなどにぶつかると最悪である。
とくに眼が疲れていると悲劇。
視力、体調、そのあたりを考えて、
立会いのある前夜は睡眠もできるだけとりたい。

デザインは様々な紆余曲折を経て決まるが、
そのあいだ、ずっと確認しつつ育ててきた商品の顔付き。
印刷立ち会いは、
その商品の顔が世に出る直前のひとつの節目、
その仕上げなのである。

で、今朝6時過ぎ、一路、東北道は館林へ。
アイテムは2点、材質はフィルム。
工場に着くと、早くも第一弾が出ている。
たぶん、早朝からの作業で調子を見ながら、刷ったもの。
いや、この印刷工場は24時間操業。
前夜からの作業かもしれない。

この第一弾の出来の善し悪しで、
その日の立ち会いが、スムースに運ぶかどうか、
だいたい決まる。
今日の第一弾は、かなり高得点で80点くらいか?

ともかく、最初からイメージ通りのものが出ることはまず無い。
指定した色との微妙な差はどうしてもある。
ただ、デザイナーの色指定がすべてではないということもあって、
ここが難しいところ。
色指定は、通常紙に刷られたインキの色見本帳を使う。
素材がフィルムの場合、まず発色そのものが違う。
さらには、小さなカラーチップの色と、
大きな印刷面の印象の違い。
それと、もちろん組み合わせた他の色とのバランス、、、

まぁ、そんなこんなを考慮しながら、
的確に指示を出すことになるが、
この「的確」が肝心なところで、
“何となく違うんですよね〜”では指示にならない。
もちろん、究極的な場面(どんな場面?)では、
“とにかく、違う!!!”とダメを出すこともあるが、
初めからこれでは、現場の技術者に相手にされない。

色相、明度、彩度のどこをどう塩梅すればよいのか?
あるいは、色そのものの濃度などなど、
現場の技術者に伝わる言葉にしなければならない。
そういった具体的なことから、
あるときは商品の性格も話したりする。
“この商品、ユーザーは若い女性なんですよ、
 だから、鋭くキツイ印象よりも、
 柔らかく品のあるトーンに”などと。
(これは、あくまでも一例)

一方で、印刷工場側の都合もある。
そのへんも、しっかり聞く。
ただし、聞きすぎることの弊害もあるので、これは要注意。

そんなこんなを短い言葉を介して、
相手に要領よく伝えることが、立ち会いをスムースに進める。

そう、目の前にいる人にきちんと説明できなくてどうする!
その説明を納得してもらわなくてどうする!
まぁ、モノゴトを伝えるのがデザインの大切な仕事のひとつだから、
こういったコミュニケーションも良いトレーニングなのだ。

今日は、現場の技術レベルも高く、
比較的にスムースに運んだ立ち会いだった。
朝九時から始まって、最終オーケーのサインを書いたらオナカがグ〜。
お昼をしっかりといただいて、
焦らずノンビリと、東北道に乗って帰ってきた。
それにしても、暑かった。

*写真は印刷工場近くに広がる田園風景


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コメント 6

coco

鮮やかな田園風景の色。
やっぱりeguchiさんのお写真の色彩は凄く心に迫ってくるものがあります!(又生意気すみません<m(__)m>)
色って凄く大切ですね!それはいつも思います。
でもその『色』を出すまでに大変なプロセスがあるのですね!
本当に奥深い世界ですね。
by coco (2007-08-08 19:48) 

mamire

大泉ですか。お疲れ様です。
この広がり、見慣れた風景だなぁ。

群馬は夏は暑くて冬は寒い。
どうしてここがいいのか知りませんが、兄は太田に行ったっきり帰ってきません。

主人は昔、児童書専門の印刷会社の製版をしていました。
デジタルの世の中で、印刷の技術はどう変化したのだろうって、先日はなしたばかりです。
写真と違って、絵を印刷するときは、きめの細やかさばかり問題にするとかえって本質を失うことにもなるかなぁなんて。
期限のある印刷のときは、だめだしが出ると徹夜作業でした。
by mamire (2007-08-08 21:42) 

eguchiさんの仕事ぶりが伝わってきます。やはりどんな仕事でも大切なのはコミュニケーションですね。ただ、デザインができれば合格、とならないのが難しい。充実したお仕事をされているようで、羨ましいです。
by (2007-08-09 01:18) 

narkejp

私がふだん使うプリンターと違い、巨大なカラー印刷機が回る迫力は、まさしく「機械」だなぁと感心します。わずか4色からフルカラーが刷り上がる過程は、インクの色の混ぜ具合なのですね。魔法を見ているようでした(^o^)/
by narkejp (2007-08-09 06:24) 

ポッチ

eguchi さん、こんにちは。
緑の絨毯、いいですねー。自転車で走ったら・・・暑いだけかな(笑)。でも、同じ暑さでも東京のものとは違うのでしょうね。
“オナカがグ〜”の eguchi さんがお昼に何を食べたのか、ちょっと気になったのでした(笑)。
by ポッチ (2007-08-09 17:33) 

e-g-g

印刷立ち会いの次は、撮影の立ち会いが二日間、
返事が遅くなりました。

◎cocoさん
え〜っ、そんなに凄い色ですか〜
それはきっとcocoさんのパソコンの画面が良い色調なのでしょう。
印刷の世界は、もちろん専門的なこともありますけれど、
基本は絵の具の混ぜ合わせ、お絵描きの延長です。
(なんて書くと、専門家から怒られそうですが)

◎mamireさん
いまの季節、熊谷あたりは都心より3〜4度は高いですよね。
そして冬は空っ風! ホント、タイヘンそーです。
私は、製版の世界の本当に詳しい事情は良く分かりませんが、
とにかくデジタル全盛になって、様変わりしていることは確かですね。
私も若い頃は、優秀な製版担当者からいろんなことを
教えてもらいました。そして助けられたことも多々。
いまは、そういった環境は極めて少なくなっていると感じます。
ダメだし、、、私も何度も、、、みなさんにご迷惑かけました、、、

◎akiponさん
やっぱりコミュニケーションが上手くいけば、
出来上がりも良くなりますね。(って、それが普通か、、、)
でも、ずっとコミュニケーションに関係する仕事をしていながら、
つくづくと、上手く正確に分かりやすく伝えるのは難しい、
これが実感です。

◎narkejpさん
印刷機も、その方式の違いや新旧によって様々ですね。
最新の機械は、ほとんどコンピューター制御ですから、
人肌的な温かさを感じることはなくなりました。
黄版、赤版、アイ版、それとスミ版が重なって、最後は総天然色。
何度見ても飽きません。

◎ポッチさん
暑かったですよ〜
絶対に都心より暑いです。
自転車なんか漕いだら、死んじゃいますよ。
でも、地元の子ども達は走ってたなぁ

お昼ですか?
いちおうお客様ですから、それなりのお昼ですヨ
(ま、でも私の立場は発注企業のオマケみたいなものですけどね)
by e-g-g (2007-08-10 21:24) 

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