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葦毛塚・九品仏(鎌倉街道) [自転車]

 東京は晴れ、絶好のツーリング日和。しかし自転車である。なぜか最近、自転車がワタシを誘うのである。そして今日も、鎌倉街道の続き、目黒の蛇崩から世田谷の上野毛,玉川まで。

 まずは一週間前に訪れた蛇崩(じゃくずれ)までひとっ走り。祝日で交通量が少なく道は快適、ふだんこのくらいだと東京も住みやすい。蛇崩の交差点までは2キロ足らず、今日はここを左折して五本木方面へ向かう。すぐに葦毛塚(あしげづか)が表れる。その昔、源頼朝が葦毛の馬にのって、この地を通ったとき、その馬が何かに驚いて沢に落ちて死んだというのが、由来のひとつ。他にもいくつかの説はあるらしいが、とにかくこのあたりが当時の放牧場だったことは確からしい。
 この葦毛塚、家々に囲まれた風景の中のひとつのポイントになっていて心も和むが、これまでよく整理されないで残ったものである。馬との関わりがそれほどに強かった土地の記憶がそうさせたのか。
 ここから目と鼻の先にあるのが駒繁神社。とにかくこのあたりは馬、馬、馬なのである。地名も、このさき上馬、下馬、、、


サイカチの大木がある葦毛塚

 五本木を都立大学方向へ向かう。しかし、しばらくは鎌倉街道の痕跡は皆無。道筋もよく分からない。ナニかが匂うような微妙なカーブの道もない。自転車を降りて徒歩でこまめに探せば、なにか見つかるかもしれないが。こういうときは地名を調べるしかない、ということで「五本木」である。
 五本木は室町、鎌倉時代までさかのぼれるという。江戸時代には、そこそこの集落があり、そこに5本の大木があったことから付いた名前という。いずれにしても鎌倉街道が通っていたことは確かである。が、明治のはじめ頃までは、昼間でも薄暗く怖い場所だったという。この農村地帯が激変するのは東横線の開通(昭和2年)以降である。

 さてさて、この先もめぼしいポイントはほとんど無い。さっと、飛ばして目黒通りに出る。

 

 写真は、目黒通りと自由通りの交差点脇にあるスーパーマーケット。このマーケットのちょっと先に、時代を感じさせる一軒の古い商店があった。「タバコ」の看板は見えたが、何を生業にしているのか不明である。ともかく、モダンになってしまった目黒通りにも、まだこんなに古い家が残っていた、意外である。

 インテリアショップと外車ディーラーばかりの目黒通りを走り抜け、野毛通りへと入る。この道もたぶん鎌倉街道に違いないのだが、それらしきシルシを見つけるのは難しい。

 無駄な努力はせずに、野毛通りの沿道にある九品仏(くほんぶつ・正式には浄真寺、九品仏は通称)へ向かう。この九品仏は江戸時代の元禄期に完成したお寺さんである。たぶん、その頃の鎌倉街道は、いくさ道としてよりも、近郷近在の生活道路になっていただろう。大山詣でのルートにも使われたかもしれない。
 ちなみにこの九品仏は、お寺が開かれる以前は世田谷吉良氏系の奥澤城があったところとされている。都内でも比較的に古い歴史を持つところなのである。
 もうひとつちなみに、九品仏には九体の仏様がある。それぞれ上品上生、上品中生、上品下生、中品上生、中品中生、中品下生、下品上生、下品中生、下品下生を表し、あわせて九品となる。

 この野毛通りに並行して東急大井町線が走っている。この近所には自由が丘・九品仏・等々力・上野毛・二子玉川の駅がある。同じ東急の世田谷線ほどではないが、この区間も駅間が短い。九品仏に止まれば、次の等々力が見えている、という距離感である。また九品仏駅は五両編成の電車がはみ出してしまい、二子玉川寄りの一両はここでは開かない。ちいさな駅である。

 かろうじて昔を感じさせてくれる久品仏を過ぎると、上野毛まで住宅と商店の並ぶごくごく普通の道である。そして、目の前を環状8号線の走る東急上野毛駅となる。今日の予定ルートはここまで、と考えていたが、もうひとつもの足りない。というわけで、環状8号線を突っ切って、多摩川の河岸段丘を一気に下る。ひょっとするとこの下り道のどこかに鎌倉街道の痕跡でもないものか?とも思ったが、爽快な自転車のスピードに負けた。あっという間に多摩川縁に着いてしまった。

 さて、ここから先は、川を渡りいよいよ相模の国である。が、川を渡るのはタイヘンなのである。この先、体力と気合いが充実しているときに、チャレンジしようとも思うが、さて、、、


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Montego-Blue

こんばんは。
この辺は坂が多いですよね。以前よく通りました。今は第三京浜くらいしか利用しないので、久しぶりにバイクですがぶらっと行ってみたくなりました。
by Montego-Blue (2006-12-23 21:05) 

目黒に住んでいた時(目黒本町ですが)同じように自転車でフラッと走ったことがあります(*^_^*)
九品仏そういう意味とは知りませんでした。

東急大井町線なつかしいですね。二子玉から乗り継いで浜松町まで通いました。
by (2006-12-23 21:05) 

e-g-g

◎Montego-Blueさん こんばんは
クルマ、オートバイだとあまり気になりませんが、自転車は、やはり坂は気になりますね。でも、今日は自転車の宿敵の風がほとんどありませんでしたから、いい運動にもなります。

◎月光14thさん こんばんは
目黒本町ですか、目黒郵便局がありますよね、近いですね。二子玉から浜松町、偶然ですがワタシも社会人2年目の年、このルートで田園都市線の鷺沼から貿易センタービルまで通いました。たぶん1970年頃!だったと思います。
by e-g-g (2006-12-23 23:41) 

響

最高のチャリ日和ですね、
散策、楽しそうです。
久品仏ってあるのですね
下品下生ってなんか気の毒な呼び名ですね。
by (2006-12-24 00:33) 

mio

やはりサドルはハンドルより高くなくてはいけません
たとえ首が痛くても、コシに悪くても、私もこれだけは譲れません(笑)
街道散策の楽しさが伝わってきます
私もそろそろ自転車整備しなければ・・・
by mio (2006-12-24 06:10) 

鷺沼ですか!宮崎台にいたことありますが、1970年代は・・・です。
勤務はウォータフロント側でした。
by (2006-12-24 14:51) 

e-g-g

◎響さん こんにちは
休日の長閑なポタリング、なかなかイイものです。
たしかに下品下生というのはちょっと、、、せめて中品中生くらいで、と思いますが、この久品、とここまで書いて、何か変?、、、あっ、九品仏が久品仏に、、、いやぁ、お恥ずかしい。本文もすぐに直さねば。

◎mioさん こんにちは
サドルが低いと、チカラがちゃんと入りませんよね。膝がキチッと伸びきらないと気持ち悪いです。
自転車整備、楽しんでおやりください。

◎月光14thさん こんにちは
二子玉、大井町線、浜松町、時代は違えど、いろいろと重なっていますね。ほかのみなさまには、ローカルな話題ですが、ま、お許しを。
by e-g-g (2006-12-24 19:31) 

kokudoh

いちばん上の葦毛塚は、
いまではあまり見かけなくなった
ロータリー式の交差点になっている
でしょうか。
九品仏って、そういう意味だったんですか!
知らなかったです。
身近なところにも、知らないことって
たくさんあるし、いいところもたくさん
あります。
これって、旅ですよねー。
by kokudoh (2006-12-24 20:13) 

e-g-g

◎takさん こんばんは
ここは交差点ではありません。たんに塚をよけて道が左右に分かれているだけです。なんか、道の真ん中にできた動脈瘤のような感じ、、、でも、よく残ったもんです。
身近でも、旅ですね〜 若い頃は気づかなかったこともあるときふと目に入ってきたり、いやぁ、キョロキョロしてると楽しいものです。
by e-g-g (2006-12-24 20:35) 

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