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宿山(鎌倉街道) [歩く]

 今日の鎌倉街道探訪は先週の目切り坂から蛇崩(じゃくずれ *住所は目黒区上目黒5丁目)まで。その先は、また気の向いたときに。ちなみに今日の移動手段は自転車。

 目切り坂を下ると、ほどなく目黒川に出る。今は三方をコンクリートで囲まれた都市河川。春の桜は見事だが、それ以外の季節はなんとも情緒の乏しい川である。その目黒川にかかる宿山橋を渡ると直ぐに山手通り(環状6号線)にぶつかる。
 この山手通りから小川坂という名の坂道が始まる。区画整理された一帯とは違って、なにやら微妙なカーブを描き、いかにも古くからの道という感じである。

 街中で古い道を探すには、まずこのカーブが決め手になる。かつての街道だったかもしれないし、あるいは農村のあぜ道がそのまま残ったものかもしれない。都内でも、ちょっと注意してみるとそんな道はいくらでもある。ただ、如何せん昔の道だから細く曲がりくねったり、突然行き止まりということもある。ほとんどは、その先も人が通れるほどの道も続いているが、クルマでこんなところに迷い込んだらアウトである。世田谷、杉並など、かつての農村地帯には多い。でも、今日は自転車である。どんな細い道でも入って行ける。自転車はエライ!

 その小川坂を登り切ると、東山の方から来た道に合流する。ここが宿山である。その昔の鎌倉街道の宿駅のひとつという意味らしい。
→マイタウン目黒 http://meguroku-net.com/meguro/timei-saka/saka2/F9-ogawazaka.htm

 この交差点は五差路になっているが、五本目の道はよほど注意しないと見つからない。よくよく探してみると、なんと巾1メートルにも満たないような路地が民家の玄関先を通っている。ためしにその路地を進むと、じきに烏森稲荷神社がある。この界隈の鎮守である。

 この宿山を西方向(池尻方面からの道を世田谷方向へ)に向かってほんの2分も歩くと、1615年に開かれたという寿福寺がある。(今日は郷土史的なのである)で、その目の前にあるのが Max Fritz の本店。先週も書いたが、鎌倉街道にあるオートバイウェアショップである。ちょっと覗こうかとも思ったが、今日は鎌倉街道探訪である。ウィンドウ越しに少しだけチェック。トラディショナルなデザインの品の良い革ジャケットがあった、、、。

 Max Fritz を過ぎると下り坂になり蛇崩の交差点に向かう。この蛇崩を流れるのが蛇崩川だが、その昔は蛇のように曲がりくねっていたとか。今は暗渠になって遊歩道になっている。
 鎌倉街道はここから南西方向へ向きを変えて、五本木から目黒通りへ向かう。ただ今日は反対方向の三軒茶屋を目指した。鎌倉街道・中の道のもうひとつのサブルート(どちらがサブかは分からないが)もさほど遠くはない地点を通っていて、きっと「つなぐ道」があっただろうという推測である。
 また、曲がりくねった昔風の道を探す。ま、なんの下調べもしない思いつき探訪だから、それらしき道が現れれば良し、見つからなくても、それも良し、である。

 と、そんな矢先に都内ではあまり見かけなくなった一軒の酒屋を見つけた。看板の傷みようからすると、すでに店仕舞いしたものと思われるが、店の前にずらっと並ぶ自動販売機をフィルタリングすると、一見して戦前から続くであろう伝統的な様式の建物と分かる。最近のように、次から次へとマンションやビルが建ってしまうと、昔風の様式はきれいさっぱり消えてしまう。そんななかで、こうやって一軒家が昔のスタイルのまま残っていると、いろいろなものを教えてくれる(ような気がする)。

 江戸時代の宿場町などでは、その景観を保存しようというところもあるが、街中ではそんなことは無理である。仮に、持ち主が貴重な建築だから残そうなどと考えても、なんの補助もないし、また一軒だけ手をかけても街並みにはならない。アッという間にマンション街になってしまう。
 そう考えると、この酒店のような佇まいが東京の真ん中に残っているのはほとんど奇跡に近いと思う。もっともの話し、これは同じ東京でも場所にもよるので、たとえば深川とか、谷中、根津といったように、昔の面影が残っているところは、話は別である。ともかく三軒茶屋界隈というのは、昔の風情などとっくの昔に消えてしまったところである。そういった地域で、こんな建物を見つけると、何はともあれ嬉しくもなる。たんなる日曜ウォーカーとしては、そんな建物には残ってもらいたいと思うが、きっと無理なのだろう。

 というわけで、今日は鎌倉街道をちょっとそれたら、良いものを見させてもらいました。

 こんな、古い道のことなどを書いているとキリもなく、また丹念に調べる熱意も時間もさほどなく、というわけで次回は未定です。


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コメント 13

カズ−

Max Fritz 、一度見てみたいと思っているお店です。
そして、写真右手に私が一度所有してみたいと思っている
バイクが、、、(涎)。
私も娘が使っていない自転車、たまに乗ろうかなんて考え
るんですが、横浜は山坂多いですからねぇ。
それにしても、雰囲気のある酒屋さんですね。
by カズ− (2006-12-17 19:48) 

e-g-g

◎カズーさん こんばんは
ええ、きれいに手入れされたBMWでした。なんというか風格が漂ってましたね。
私は横浜で育ちましたので、山坂を越える記憶はけっこう鮮明です。とにかくどこに行っても坂道が、、、横浜に住む人は脚力が強くなるのでしょうか?
酒屋さんの周りには、どことなく昭和の空気が流れているような感じでした。
by e-g-g (2006-12-17 20:24) 

mio

BMWもいいですが、酒屋さんもいいですね
私の実家の近くには、まだまだ同じような風景が見られます
懐かしさを覚えました
マックス・フリッツも気になるショップですね
でもまだ私は服に着られてしまいそうな感じがして・・・
by mio (2006-12-17 22:05) 

kokudoh

酒屋さんもいいですけど、eggさんの
自転車もいいですね。クロスバイクで
前輪と後輪をかえていらっしゃいますね。
by kokudoh (2006-12-17 22:14) 

e-g-g

◎mioさん
酒屋さんもマックスフリッツも、今日はみんなヨカッタです。
マックスフリッツは、ときどき行って、真冬はナニを着ればいいの?とかいろいろ聞いてきます、でもまだ一度も買ってません。

◎takさん
経年劣化のため駄目になった前輪のみスリックタイヤに変えただけですヨ〜。でも、そのアンバランスさもいいかななんて思ったり。若かりし頃は(40才ちょっと過ぎまで)この自転車で一日に100キロ異常も、もとい以上も走ったんですけどね〜
by e-g-g (2006-12-17 22:46) 

Montego-Blue

こんばんは。
春の桜は見に行ったことがありますよ。夜桜がきれいですよね。
酒屋さんもこんな都会にも懐かしい感じのするお店があるのですね。
by Montego-Blue (2006-12-18 00:37) 

響

チャリ探索は僕も大好きです。
eggさんのチャリはロードタイプなのでMTBより距離がかせげそうですね。
僕のMTBは体力的な問題が一番ですが45kmくらいが一日の
限界です。
車では行けない路地の風景なんていいですよねー。
by (2006-12-18 01:00) 

e-g-g

◎Montego-Blueさん
目黒川の桜はこの数年はものすごい人出で、ちょっと面食らいますが、花の季節の賑わいも良いものです。
この酒屋さんですけど、一週間後に消えてしまっても不思議はないというくらい周りは開発されています。見るだけで何もできませんけど、少し注意していたいと思っています。
by e-g-g (2006-12-18 01:00) 

e-g-g

◎響さん
私もMTBですよ。だいぶ昔のものでフレームはロードっぽいですけど。この自転車での一日の最長距離は120キロですが、さすがに自転車屋のオヤジに、そりゃロードだよ!と言われ、じゃ、格好良いのを組んでよ!と、そこまでいったのですが、なんとなくそのままになってしまいました。たぶん本格的なロードにすると、走ることだけにのめり込みそうな予感があったんでしょうね。どこでも気軽にひょいひょい行けるMTBはやっぱりいいですよ。
by e-g-g (2006-12-18 10:16) 

風

eggさんのような自転車だと本当に軽くて早くて楽しそうですねー。
自転車は「人」が通れそうな隙間があればどこにでも入っていけるので良いですね。 進入禁止の道も無関係だし、私も意識して自転車を転がそうと思います。 見える景色・・というより、「目と気持ちに留まる景色」が他の乗り物とは違うのでしょうねー。歩きだとまた見える景色が一味違う事でしょうし。
by 風 (2006-12-18 12:23) 

e-g-g

◎風さん こんにちは
「目と気持ちに留まる、、、」のは、歩きがベスト、次が自転車でしょうね。バイクは周りとの関わりをかろうじて保てるギリギリと思います。でも、これは乗り方次第でしょう。メタボリックシンドロームの予防にもなりますし、自転車はやっぱりエライです。
by e-g-g (2006-12-18 13:32) 

自転車、バイク、車便利になると、目に留まる景色が変わってきますね。
便利か便利じゃないかは個人ですけど・・・(・.・;)
by (2006-12-18 19:58) 

e-g-g

◎月光14thさん こんばんは
道具は使いようといいますけど、バイクとかクルマというのは、ほんとうに使い方に個性が表れますね。便利さを最優先する人もいれば、少しくらい不便でも貪欲に楽しさを求める人もいて、でも、みんな同じ道を走ってるんですけどね。
by e-g-g (2006-12-18 21:48) 

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