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21年目の『アマデウス』 [聴く・クラシック音楽]

昨夜(12月4日)、NHK-BS放送で『アマデウス』を観た。相変わらず面白いといえば面白いが、ちょっとうるさかった。うるさいと感じた原因のひとつにも気づいた。

そこで、原因追及。
 『アマデウス』の日本公開は1985年。バブル景気がそろそろ始まる頃。当時のヒステリックに華やかで、憑かれたような賑わい、そんな時代の空気に映画『アマデウス』のテンポ、スピード感が合っていたのだろうか?当時、この映画を観た自分も浮かれていた?

 いやそれよりも自分の年齢のせい?1985年といえばワタシもまだ三十代。前へ前へと進みたがる若者のココロザシは十分にあったわけで、そういった身の程に映画のテンポが合ったものとも思える。でも、二十年も経てばニンゲンも変わる、そろそろ静けさも欲しいのである。この要因が大きいかもしれない。

 曲の多さ、これも「うるささ」の原因のひとつに十分考えられる。映画の中で流れる曲は約30曲、そのうちモーツァルトの曲が27。160分の映画で30曲ということは5分に一回は違った曲が流れる計算。これは忙しい。(厳密には繰り返し流れる曲もあるので頻度はもっと高い)*突然だが、ビートルズの“Help !”だって、あんなに曲は多くなかった。それにぶつ切りでもなかった。

 さて、今回気づいた『アマデウス』のうるささの原因は“英語のセリフ”。映画の始めから終わりまで、劇中の英語のセリフが気になってしようがない。うるさいといっても流れる音楽のほとんどはモーツァルト、これはやはり何とも言えず耳に心地よい。ところがそこに漂っている「18世紀の時代の空気」に“英語のセリフ”が唐突に入り込んでくる印象を受けてしまう。
 イギリス人のシナリオだから(P.シェーファー)仕方のないことではあるが、イタリア語、ドイツ語、そしてフランス語も少し、と「より原語」で語られたなら、もっと音楽とセリフが一体化したのではないか?と思う。
 英語は話せない。しかし他の原語に比べ、何十年もその響きに大なり小なり接していれば、比較的に耳に入ってきてしまう。『アマデウス』は易しいセリフが多い。だから字幕を見なくてもだいたいのところは分かる。これが映画の流れを邪魔しているのではないか?だから音楽とセリフがブツブツと切れてしまうのではないか??? さらに、あの英語の響きとモーツァルトの音楽は、そもそも根本的に合わないのではないか、とも思う。
 イタリア語、ドイツ語、フランス語で、あの映画が語られていたら、全体がもっと音楽的?に響いて、気持ちの良いものになったかもしれない。もっとも、これはほんの少しの英語を除けば、外国語が音楽に聞こえてしまう人間固有の問題。伊・独・仏語の得意な人にはあまり関係ない話ではある。

 と、そんなことまで考えたわけだが、こんな素人の思いつきのような感想は、その道のプロ(何のプロだろう)からすれば、とるに足らないことかもしれない。そもそもモーツァルトはうるさかったのだ!そのうるさい男がとてつもなく優しかったり、時にはものすごく深い音楽を作った。それ自体がひとつの事件であり、奇跡なのだ!『アマデウス』は多少の誇張はあるが、それをストレートに表現したのだ!と、言われそうではある。

 いずれにしても、昨夜見た『アマデウス』は、騒々しく落ち着きのない印象の映画だった。歳をとったのかな、、、
 流れていた音楽のいくつかを、ゆっくりと落ち着いて聴きたいと思う。


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(SWR)

アマデウス一瞬みました。画像が以外と綺麗
だなと思いつつ民放の「のだめカンタービレ」
を見ました。録画したアマデウスはのちほど
ゆっくり鑑賞予定。ゆえに本文は未読です。
by (SWR) (2006-12-06 00:58) 

e-g-g

「のだめカンタービレ」、ずいぶんと話題になってる様子。でも、見ていないので「のだめ」の意味も最近やっと分かった次第。アマデウス本文は後でごゆっくりと。
by e-g-g (2006-12-06 01:06) 

kokudoh

いまは、すごいクラシックのブームなのだそう
ですね。のだめカンタービレも、1000万部を
超える大ヒットだとか。
アマデウスは、私も見ましたけど、映画そのものは
つまんない作品ですよねー。低俗だし。
eggさんがうるさく感じられたというのもわかりますよ。
by kokudoh (2006-12-06 21:34) 

e-g-g

takさん こんばんは
エッ!?1000万部って何部ですか?リアリティのない数字ですが、きっと凄い数字なんでしょうね。
クラシックブームは印象派美術展に似てると思います。心地よくてホンワカしたもの好きなんですよ、みなさま。ま、デパートの定番催事の印象派の絵画展は、どっと押し寄せる人混みでそれどころじゃないですけどね。
クラシックブームも、癒し系みたいなところが受けてるのでしょう。ホントは、それは一面なんですけど、目くじらを立てるほどのことでもないですね。気分が良くなればそれはそれで。
なんだかヒガミっぽいなぁ、今夜は。
by e-g-g (2006-12-06 23:01) 

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