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1Q84は未読だけれど。 [聴く・クラシック音楽]

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ジョージ・セル指揮クリ−ブランド管弦楽団、ヤナーチェク、そしてシンフォニエッタ。この三つの言葉の並びを見てピンと来る人が、このひと月くらいで、いったいどのくらい増えたのだろう。たぶん数十万人は目にしているはず。

  『1Q84』を店頭で手に取って最初の頁を開いたときに、このヤナーチェクとシンフォニエッタの二つの単語が目に飛び込んできた。こんな音楽から入るあたり、村上春樹も渋いなぁ、それがあの人らしさなのかしら、そんなことを思いながら本を閉じた。

 小説の主人公が買うこのLP、いまはもちろんCD化されている。6月23日の朝日新聞によると、これまで年に2,000枚程度しか売れなかった(それでも2,000枚も売れている!)このCDを三週間で12,000枚も出荷したという。

 私がこのLPを買ったのは1980年、そもそもは一緒に収録されているバルト−クの「オーケストラのための協奏曲」、このほうが目当てだった。実際にLPではA面にバルトーク、ヤナ−チェクはB面である。
 その後、2000年に発売されたCDも持っている。このCDはジョージ・セルの没後30年記念企画で一挙に数十枚が発売されたうちの一枚。まぁ、LPとCDの両方を持つのも無駄といえば無駄ではあるけれど、たとえば海外まで情報の網を拡げ「貴重な音源」を探し求める熱心なセル・ファンに比べれば、私の二重買いなど、ごくごく平均的な姿である(と思っている)。
 ともかくそんな塩梅で増えるセルのCD、結果としてCDラックの肥やし状態になっているものもたしかにある。バルトークはともかくとして、このヤナ−チェクはそれに近いものだった。なにしろこのCDを聴いたのは一度かニ度くらいなのだから。

 今回、引っぱりだしてあらためて聴いてみた(もちろんCDの方)。耳に馴染みやすいメロディーが続くわけではなが、盛大に鳴る金管が華やいだ気分にさせてくれる。ときおり現れる牧歌的な旋律は、うん!これはボヘミアだ!と、つい思ってしまう。(行ったこともないのに、、、)

 立ち読みだけで、結局本そのものは買わなかった。村上春樹は『カフカの海』を除いては、ほぼ全作品を読んでいる。三十代の頃は、それこそ嵌って読んだ。いまでも、期待を裏切らない出来であることは間違いないと思う。ひとまず手元に置いてそのうちに読むか、とも思ったけれど、結局買わなかった。いまは村上春樹の世界に入るための潮が満ちていないから。いずれ、そのときが来たら読もうとは思うが、さて、いつになるか?。

*同じ朝日の記事に、この「シンフォニエッタ」を携帯電話の着うたに配信しているという記述もあった。あの威勢の良い金管の響きが携帯から流れる?ちょっと想像しにくい、のではある。
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扶侶夢舎

「1Q84」は今日的な重要なテーマを含んでいるみたいです。私たちはいずれ世界のリアルとバーチャルの問題に直面せねばならないように思います。
by 扶侶夢舎 (2009-06-30 17:33) 

mio

クラッシックも村上春樹のベストセラーもあまり知らないのですが、ジャケットのデザインが素敵ですね。
by mio (2009-06-30 21:17) 

masa

まだ読んでないです。
恐るべし村上春樹、着うたですか。。。
若い子がこぞって手軽にアクセスしそうな感が。。

ヤナーチェク、最近人気ですね。
オペラでも行ってみようかな。。。
by masa (2009-06-30 23:42) 

Krause

年代的にもこの本に興味があります。
by Krause (2009-07-01 03:59) 

よしあき・ギャラリー

レコードジャケットが気にいりました。 ^^)v
by よしあき・ギャラリー (2009-07-01 06:31) 

いろは

こんにちは^^
久し振りに拝見したLPが、何かとても懐かしい感じがしました。
ジャケットもシンプルで素敵ですね!
村上春樹の本は読んでいませんが、主人公が買ったというLP(CD)
が売れているというのも面白いですね〜
by いろは (2009-07-01 14:43) 

はじ坊

「1Q84」をただ、今読んでおります。ちょうどBook1が終わって、Book2に移った所です。とにかく、かなりのボリュームですね。Book1,2合計で1000ページ以上あります。村上春樹は、20年ほど前から、新刊が出ると、ほぼリアルタイムで読んでいます。
e-g-gさんは、クラシック音楽にもお詳しいですね。私も興味があるのですが、どこからどう手を付けて聴いていったらよいのやら、手が出せないでいます。
by はじ坊 (2009-07-02 20:18) 

e-g-g

◎扶侶夢舎さん
今日的かつ普遍的、村上作品の魅力でしょうね、
この作品も、いずれ読むことになるでしょう。

◎mioさん
LPのジャケットは、とにかく大きいですからね、
デザインものびのびしたものが多かったですね、
ある意味、ひとつの世界遺産とも思います。

◎masaさん
おぉっ!ヤナーチェクのオペラ!
たしかテレビで一度だけ見た記憶がありますが、
なにも覚えてません。
というよりヤナーチェクのほかの作品もあまり馴染みが無くて、、、
でも、シンフォニエッタはそれなりに楽しめました。

◎Krauseさん
1984年からすでに25年、
少し落ちついて振り返るべき?時間ですね。

◎よしあき・ギャラリーさん
レコードしかなかった時代には、ごく当然のように思ってましたが、
CD時代になってみると、あのサイズの人間味が妙に懐かしいです。

◎いろはさん
LPのサイズだからこそ出来るデザインでしょうね、
CDはやはり小さいです。
小説のほうはまだ読んでませんので、この音楽が
どんなふうに扱われているのか分かりません。
が、読めばやはり気になるでしょうね。

◎はじ坊さん
おぉ、読まれてますか!
ワタシもたぶん、読むとは思いますが、、、

クラシックは詳しいというほどではありません。
ただ、私にとって生きていくための必需品です。(ちと大げさですね)
でも、きっかけは小学校の終礼の「家路」をちゃんと聴きたい、
といったものです。
気になるメロディを少し腰をすえて聴いてみる、
といった付き合い方もあると思いますよ。

by e-g-g (2009-07-02 22:58) 

berry

携帯電話の着うた? . . . ここから入門しようかな。(笑)
わたしの携帯は、Bon Jovi- Never Say Good Bye
威勢の良い金管の響きって . . . やっぱり目立ちます?(笑)
レコードジャケット、素敵です。
by berry (2009-07-04 17:12) 

のすけの母

村上春樹さんは、実は全然読んでません、恥ずかしながら。
それが、エルサレム賞のスピーチが話題になって、じゃあ一度読んでみようかと思ったら、このブームです。
ブームがおさまったら読んでみようかと思いますが、
まずは、他の村上作品からにしようかとも思っています。
by のすけの母 (2009-07-05 08:23) 

こぎん

すごく思うのは、やっぱりインテリでないとあの小説のメッセージは解らないんですね~。
凡人なんで・・・誰かに解説してもらいたいです( ̄ω ̄;)

by こぎん (2009-07-06 06:51) 

スカビオサ

1Q84は読みましたです。
アマゾンとかで、本とCDを合わせて買う方が多いみたいですね。
by スカビオサ (2009-07-06 17:09) 

haru

この小説を読めば読むほど、曲も聴いてみたくなるんですよね~
おはるも自分の持ってるクラシックアルバムの中から探さず
CD買ってしまおうかな?と思っていたところでしたっ^^;

by haru (2009-07-06 19:06) 

daland

daland です。
こんばんは。
小説にヤナーチェクが出てるるなんて...
シンフォニエッタって、今でもやたら金管が出てくるなぁ、というイメージです。
やはりバルトークがA面でしょうね。
そしてセル、名演です。
by daland (2009-07-08 00:03) 

e-g-g

◎berryさん
着うたがどんな編曲なのか分りませんが、
仮に金管だとすると、かなり目立つでしょうね~
ちなみに私の着うたはワーグナーのタンホイザー序曲、
これも相当に目立ちます、、、

◎のすけの母さん
村上春樹は、好みがはっきり別れると思いますよ。
私はかなり読みましたが、
無人島に持っていく一冊にはならない、
結局そうなります。

◎こぎんさん
味読ですのでなんとも言えませんが、
これまでの流れから考えると、
「内に向かう個人と社会」がたぶんテーマなのでしょう。
(ちと大雑把すぎますね~
 こんなふうに書いたら、どんな小説でもそうなってしまう)
20~30年前には、世の中とは一歩もニ歩も離れたところを
歩いていた村上春樹が、いまその真ん中にいる、
そういった時代の変化は感じます。

◎スカピオサさん
そうですか、本とCDをセットで、、、
CDを聴いた人の感想を聞いてみたいですね。

◎haruさん
haruさんも読まれたのですか?
さすがに200万部ですね~
CD、聴かれたらぜひご感想を。

◎dalandさん
シンフォニエッタが暗示するもの、
それはたしかに気になりますね。
関係の暗示ということからすれば、
バルトークのほうが分かりやすい気もしますし、
あっ、でもちょっと単純になりますかね。

by e-g-g (2009-07-08 17:46) 

e-g-g

◎xml_xslさん

◎frutistさん

◎POPさん

◎カフェオランジュさん

◎のりさん

◎若頭さん

◎mitsuさん

◎HEIJIさん

◎アマデウスさん

◎わかさん

◎ミモザさん

◎匁さん

◎一真さん

niceを、ありがとうございます。

by e-g-g (2009-07-08 17:46) 

井上酒店

あまり本を読まない僕でも知ってる「1Q84」と、その中で紹介された曲が売れている事も・・・。でも僕もLPとCD両方買いますね。とは言っても最近LPを見つけるの大変だし、あまり発売されてませんが。個人的にLPのあの大きさが好きです。ある種「絵」のような感覚でジャケットを眺めていますね。
by 井上酒店 (2009-07-10 23:09) 

e-g-g

◎井上酒店さん
LPからCDへ、そしてメモリーやら何やらへ、
それにつれて音楽の実体も変わっているのでしょうね。
LPのジャケットのサイズは、
人の眼に素直に入ってくる大きさかもしれません。

by e-g-g (2009-07-12 21:09) 

Mickey

e-g-gさん、はじめまして。
ヤナーチェクのシンフォニエッタは私もセル盤でLPからCDへとお世話になりました。
この曲は一見(一聴?)軍楽隊の音楽のように聴こえますが、実は結構シュールなムードがあって、他のどこかの惑星で開催された運動会の音楽のように聴こえます。
「1Q84」は読んでいませんが、いったいどういう文脈でこの曲が登場するのか興味がもたれます。
by Mickey (2011-12-27 21:17) 

e-g-g

◎Mickeyさん
>他のどこかの惑星で開催された運動会の音楽のよう
これは感じが出ていますね。
弾むようなリズム、
どこか東洋的な匂いのする、そして意外に叙情的な旋律、
などなど、ちゃんと聴いてみると、
なかなか面白いものを見せてくれる音楽なんですよね。
きびきびとしたセルの指揮もこの曲に合っていますね。

by e-g-g (2011-12-30 19:18) 

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