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『ネコを撮る』を読む。 [ねこ と いぬ]

 岩合光昭著『ネコを撮る』(朝日新書)を読む。青梅で珍しくネコの写真を撮った二、三日あとに書店でたまたま見かけたもの。これも何かの縁、と購入。
 昨今はネコの写真を撮る人が増えているらしいが、私は被写体になりそうな彼らを捜してうろつくことはない。青梅でも偶然に出会ったから撮っただけである。もちろん、この不可思議な生き物はそうとうに面白く、撮り始めたらきっとハマルだろう、という予想はつく。



 本の方は、ホッとする写真が多く、また手短に述べられている文章も軽快に読める。

*少しだけ引用を:
<前略>
「だから、どうでしたか?」
「いや、すごかったですよ」
「どうすごかったんですか?」
「とにかくすごかったですよ」
なんて、言葉にできないヒトも多いが、自分が何を感じたかというのが写真になれば最高なのだ。
<中略>
ネコがどうこうしているから面白い、アフリカでライオンが寝ているから、走っているから面白いというだけでは、その写真を見てくれる人に対して、撮影者が何を感じて写真を撮ったかまでは伝えられない。
<中略>
撮影者が感じた何かを写真に出せれば一番いいけれど、そうなると旅はある意味で、生きることの極限ということにもなる。自分自身が試されているのです。

 と、このあたりが筆者のメッセージの核と思う。そして、そのとおりと思う。
 写真表現の巾は実に広い。が、その巾のどこに位置しようと、撮影者の眼が確実にそこにある、そういった写真が良い写真の最低条件であろう。見る側も、そこに共感したり疑問を持ったりしながら、撮影者の「眼」を意識するのだ。だから自分自身でも、きちっとした己の眼を意識して撮りたいが、これがなかなか難しい。線を引いて色を付けるとデザインしたように見えるのと同じように、ある程度のカメラである程度の被写体を撮ると「写真らしく」見えてしまう。ムズカシイ

 「ネコ」をテーマにしているが、本文中の「ネコ」はたとえば「こども」「花」「鳥」「自然」といった言葉に置き換えられる。要するにあたりは柔らかいが、きちっとした撮影指南書である。冒頭16頁のカラー写真のネコは、やはり可愛らしい。


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こんばんは!
写真はむずかしいですね。
題名だけで注釈をつけなくてはならないようだと自分でも納得できていない
何も書かない絵のような写真が撮りたいですね(・.・;)
by (2007-04-05 21:44) 

風

我が家の二匹の(=^・^=)を撮るだけでもう満足です(^^ゞ
写真には撮りませんが、朝、ホームから見ているとうらやましい景色があるんです。それはね、おばあちゃんがゴミ捨て場にごみを出しに来る時に3匹の若い猫たちがふざけっこしながら、前に行ったり後ろに下がったり、片目はおばあちゃんの様子を見守りながら、もう一方では仲間の猫の姿を見ながら、おばあちゃんが出し終わって家の方に向かうと・・・一匹が元気に付いて行き・・それにジャンプして邪魔をするようにふざけっこしながらも・・・おばあちゃんと一緒に家の方に戻っていく・・・そんな微笑ましい景色なんです。 いいなぁ♪って思いながら、昔は(=^・^=)大嫌いだった私が、心の中でニッコニコ(^^♪して見ている姿がそこにあるんです。 ほんの数分のドラマですが満ち足りて電車に乗れます。
by 風 (2007-04-05 22:41) 

mio

写真は難しいです
絵だと自分のイメージ通りに色もカタチも変えられますが、写真は色を出すのも構図もなかなか思い通りにはいきません
カメラのレンズが自分の目となるぐらい使いこなせればいいんですが・・・
by mio (2007-04-05 22:56) 

e-g-g

◎月光さん
・写真(あるいは絵)のみ
・写真+タイトル
・写真+タイトル+キャプションあるいは文章
だいたい、このようなスタイルがあると思います。そのうちどのスタイルを使うかは作者の判断ですね。勘所は、写真(絵)の説明で終わらないということでしょう。絵の補足説明ではなく、絵と言葉の掛け算。要するに意味と意味の掛け算になるわけですが、これもなかなか一筋縄ではいきませんね。
by e-g-g (2007-04-05 23:10) 

e-g-g

◎風さん
いい光景ですね〜、目に浮かぶようです。おばあちゃんと猫君も素敵ですけど、それを見ている風さんの眼差しもグッドですね。私のブログへのコメントだけにしておくのはもったいない、なんかこう絵本など、できませんかね〜
by e-g-g (2007-04-05 23:10) 

e-g-g

◎mioさん
写真も絵も文章も、こと「あるモノ」を伝えようとすると難しいです。これは他の誰かに伝えるということももちろんありますけど、まずは自分にどう伝えるかの問題。どの表現手段も、詰まるところ自分とどう向き合っているか?ということですよね。なんて、ちと大袈裟ですが、ファインダーを覗いて、やっぱり止めておこうという態度と、単語を書いては消し書いては消し、この躊躇との間には大きな差はないと思います。もちろん絵も。
by e-g-g (2007-04-05 23:10) 

Montego-Blue

こんばんは。
なるほどと思いました。
写真はその人の視点になるだけではなく、意識もあるのですね。
そこに共感できるものがあると素晴らしいと思います。
なかなか撮ることができませんので、観て感じるように出来るようになりたいです。
by Montego-Blue (2007-04-05 23:34) 

e-g-g

◎Montego-Blueさん
なんだかムズカシイ話になってきましたね。他人に訴えかけるナニかが撮れるのも、結局、素直に見るということ、これが大前提ですよね。ああしてやろう!こうしてやろう!と山っ気を起こすと、だいたい失敗しますね。でも、そういう邪心を棄てるのタイヘンです。
by e-g-g (2007-04-05 23:47) 

ポッチ

ふむふむ・・・どこかブログ指南書のような気もしてきました。表現手段は違っても、メッセージを伝えるものには共通するところがありますよね。
写真にタイトルをつけるときは、タイトルってとても大きな意味を持ってきますよね。見る人のイマジネーションを制約したくないから、タイトルを付けないというパターンもあるとは思いますが、私はけっこうタイトルが楽しみです。写真のセンスとはまた違ったセンスがタイトルに出るようで。その点、eguchi さんの作品のタイトルはいつも私のツボを刺激して、ニンマリさせてもらっています。
by ポッチ (2007-04-06 14:53) 

e-g-g

◎ポッチさん ニンマリをありがとうございます。
メッセージを伝える技術の基本は、表現手段の如何を問わず変わらないでしょう。
ただ、ブログは、そもそもメッセージを伝えるものなのかどうか?という、そのあたりも考えてしまいますね。不思議なツールです。
日本には「見立て」という古式ゆかしい伝統があると思うんですよ。写真に付けるタイトルは「見立て」だけではないですけど、そういった洒落の感覚も忘れたくないですね。
by e-g-g (2007-04-06 19:44) 

mamire

ネコは本当に魅惑的です。
私も、ムーにゃんを預かるまでむしろ苦手だったのだけど、毎日同じようで同じでない彼の生き様に憧れさえ持ってしまいました。
私は、人に見せると言うより、自分の楽しみだけでカメラに撮っているのだけど、その多くは偶然で、構えて撮ると言うことはまずありません。

ネコを撮ろうとして撮っている写真には興味がわかないの。
ネコの可愛らしさはともに暮らさないと分からないものです。
さまよう猫を被写体にするならその一匹でも家に連れ帰って御覧なさいな、と言いたいな。
by mamire (2007-04-10 10:33) 

e-g-g

◎mamire さん
ワタシもネコは苦手でした。なにしろ不気味で。それが、現在は二匹(家)+4匹(玄関前)。一匹の犬と合わせてぜ〜んぶ捨て犬、はぐれネコです。
ネコは飽きませんね。人のことを知ってか知らずか、頭がいいと思えば間の抜けたところもあり、とにかく不思議な生き物ですね。
写真は、構えず気張らず自然に、これがイチバンかと思います。
by e-g-g (2007-04-10 14:03) 

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