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吉田秀和氏のこと [聴く・クラシック音楽]

 私の音楽の師匠(と勝手に思っている)である吉田秀和氏の音楽批評が久しぶりに新聞に掲載された。(2006年11月1日付け・朝日新聞夕刊「音楽展望」)

 今回のタイトルは『モーツァルトってだれ?』。いつもながら読みやすい文章である。
記事の冒頭を少し、
 『長らくお待たせしました。やっとまた身体に暖かいものが流れ出し、
  音楽がきこえてきた感じ。でも、これまでとちょっと違う。
  今日はそんなことからぼつぼつ書いてみましょう。』
 (以下は新聞本紙で)

 私は二十代半ばのころ、猛烈な勢いでクラシックを聴き始めた。小学生の頃に聞いた懐かしいメロディーをちゃんと聴きたい。そのころ興味を持っていたキリスト教や、そもそもヨーロッパそのものをもっと知りたい。そんなことがきっかけで、ある日突然と聴き始めた。

 初めのうちは、右も左もわからず、とりあえず題名を知っている「田園」や「英雄」といった名曲や、当時一般的にもスターだったバーンスタインの指揮したもの。そんなレコードをともかく聴いていた。が、とにかく知識がゼロ、大きくて高い山の麓でいったいどのルートから登っていけばよいのやら、と思う日々。
 そんな時期に出会ったのが吉田秀和氏の書いた音楽批評。はったりがなく、読みやすく分かりやすい文章にぐんぐん引き込まれた。吉田氏の著作との出会いは、音楽の聴き方だけでなく、ものや現象を見たり、考える際の私のひとつの基準になったと思う。とくに、細部をしっかり見ながら全体を把握するといった作法は、仕事の上でも大きな指針になった。

 その吉田秀和氏といちどだけ接近遭遇したことがある。1976年か77年頃だったと記憶しているが、勤めていたデザイン会社で、あるオーディオメーカーのイベント企画と広告制作に参加した際の話である。銀座にあるそのメーカーのショールームで音楽セミナーを開催し、それをポスターなどで告知するという仕事だった。そのメインのプロデューサー役が吉田氏だった。制作過程で吉田氏に取材をすることになり、鎌倉のご自宅へ出かけることになったが、私自身は他の仕事で都合が付かず行けずじまい。いろいろとお話を伺ってきた編集スタッフから様子を聞くだけだった。いまさらながら、すごく残念なことをしたと思う。

吉田氏は1913年生まれ、今年で93歳になられる。いつまでもお元気でいて欲しいと切に思います。


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