ブルックナーに引き込まれて。 [聴く・クラシック音楽]
ブルックナーの第7交響曲を繰り返し聴いている。
外出時はスマートフォンのファイルを聴き、
クルマに乗ればCDをセットして、
デスクに座ればパソコンの貧弱なスピーカーを通し、
そしてたまにはタンノイを鳴らして、とにかく四月はブルックナー漬け。
(いまも、Youtubeからショルティとシカゴシンフォニーのライブ録音が流れている)
4月になってから時計の針が逆戻りしたような寒さが続いている。
雲は切れ目なく空を覆い、
ときおり現れるわずかな明るさもさらに広がることは無く、
そのまま厚い雲に呑み込まれる。
そんな空模様とブルックナーにどんな関係があるか分からない。
いや関係などまったくない。
でもしかし、あの雲の向こうにはきっと明るい光があるはず、
というごく平凡な感想と、ブルックナーの旋律や音色が
何とはなしに結びついてしまう。
パウル・ベッカーは(*)
“ 芸術(音楽)体験において、人はあらかじめ自分の
中にあるものを再認識しているだけなのだ” としている。
さらに、
“ ・・・一見新しく見えるものも、実はこれまで意識して
こなかったものが突如として意識されるようになっただ
け、以前から暗がりの中でまどろんでいた内面の領域に
突如として光が当たっただけなのだ・・・”と。
さてさて私のどこにブルックナーの7番に反応する因子があったのだろう。
などと考えながら、またスケルツォの響きとリズムに呑み込まれる。
(*)岡田暁生『音楽の聴き方』より引用
実はこの本、けっこう難しくて確かに読んだものの、
頭に残っているものは極めて少ない。要再読である。
Youtubeに比較的に音質の良い演奏があります。関心のある方はどうぞ
ブルックナー 交響曲第7番 ホ長調
カラヤン/ウィーンフィル 録音:1989年
第1楽章 アレグロ・モデラート(19分40秒)
第2楽章 アダージョ(23分15秒)
第3楽章 スケルツォ(10分11秒)
第4楽章 フィナーレ(13分00秒)
*写真は4月7日の横浜・赤レンガ倉庫 冷たい雨と強い風、ほとんど真冬の天候。