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彼岸花、季節外れの。 [水彩画とスケッチ]

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飼い猫のナナが亡くなったころに描いていた一枚。
真っ赤な花を、さてどう描けば良いのか、
思案している真っ最中に息を引き取った。

それから、もうふた月が過ぎた。
ネコの死がショックで描けなかった、というわけではない。
ただ、その後いろいろあって、なんとなく遠ざかってしまったのだ。
不思議なもので、いちど絵から離れてしまうと、
スケッチ一枚を描くのも億劫になる。
要するにさぼり癖というヤツだ。イケナイ イケナイ

この彼岸花を見つけたのは、鎌倉の若宮大路をほんの少し入った住宅地。
そのとき撮ったスナップ写真には9月28日とある。
庭の片隅は、まだ夏の名残の強い陽差しを受けて明暗のコントラストが強い。
花は、その少し暗い背景に、まるで赤い絵の具を流し込んだように浮かび上がっていた。

それにしても、時間を空けすぎてしまった。
そもそも、この光景を目にしたときの高揚感が何だったのか?
その原初の感覚が薄れてしまう。

もちろん、なんでもかんでも一気に描けばよい、というわけでもない。
ときには少し間を置き、醒めた目で自分の絵を見ることも大切と思う。
が、あまり間を開けすぎると良いことはない、今回の反省。

花を描くのは難しいが、
この花にこんなに手こずるとは、まだまだ修行が足りぬ。

『彼岸花』
F4(24.2×34cm)ホワイトワトソン

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