夏の終わりの南風 [逗子とその周辺]
海抜約100メートル、逗子のはずれの小高い丘に登る。
西の彼方の箱根連山から伊豆半島には、
まだ衰えを知らぬ入道雲が連なる。
それでも、見上げれば8月とは明らかに違う高い雲。
今朝も南からの風が吹きわたる。
まだ温かな海からの湿り気を帯び、爽やかさはもうひとつだ。
八月の重さにくらべれば、
ほんの少しだけ秋の前触れを届けてくれるけれど。
その南風が関東平野の真ん中で、
北からの勢いとぶつかり竜巻を起こすらしい。
地球規模でみれば小さな小さな大気の波動が、
想像を超えるエネルギーを作りだす。
ひとはちいさい。
シューベルトのD894、その冒頭をなぞりながら、
そろそろ秋よ来い、と呟いてみる。