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『月読』中川健二木版画展、浦賀にて。 [日々の記録]

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今回はちょっと辺鄙なところなんだ、
と、学生時代の友人から個展の話を聞いたのは10月のはじめ、
場所は浦賀、たしかに意外な場所だ。
この数年はもっぱら日本橋で開いていたのに何故?
いずれにしても以前に住んでいた目黒なら、覚悟を決めないと行けない場所。

たとえば都内から電車とバスを乗り継いで、
三浦半島のほぼ先端のこのギャラリーにたどり着く。
もう、それだけでちょっとした旅行だ。

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ギャラリーと道をはさんだ反対側には、
黒船の来航時に、吉田松陰と佐久間象山が会ったという旅館が残っていたり、
まわりを見回すと、十数階建てのマンションが無遠慮に空を狭めていたりするが、
それでも、この浦賀湾に面した一画には、
都市生活では味わえない非日常的な空気が漂っている。
良いところがまだまだ残されているではないか、
と、心も躍ろうというものだ。
ま、この感覚には個人差はあるとは思うけれど。

ギャラリーの真横にある「浦賀の渡し」の発着場に、
渡し船がときおり静かに行き来する。
その様子もギャラリーに一カ所ある窓から手に取るように見える。

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とても静かなこの環境に、友人の木版画はとても似合っている。
(この「辺鄙な地」を展示場所として選んだ友人の読みに乗せられたか?)
いや、たぶんどんなマテリアルの作品でも、
ずっとそこにあるような錯覚を覚えてしまう、そんな不思議な力を持った空間だ。

初日(11月29日)、学生時代のほかの友人とも合流して訪れる。
そして今日(12月1日)、午後の陽差しに誘われて二度目の訪問。
作品をもっと味わうことが第一の目的、
普段の会話からだけでは窺えない“作家の内面”をとくと見る。
二番目はこの不思議な場所をもういちど体感するために。

ふと気がついた。
どうせなら、対岸から舟に揺られて来れば、
といってもほんの二三分で着いてしまうらしいけれど、
そこで会う木版画は、またひと味違う趣を醸し出すかもしれない。

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月の光に誘われて
中川健二木版画展
『月読』<つくよみ>より
11/29〜12/11 11:00〜17:30(最終日は16:30まで)水曜休廊
ギャラリー時舟:神奈川県横須賀市東浦賀2-4-21 東岸・渡船場隣


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