いちご [水彩画とスケッチ]
子どもの頃に食べたイチゴはずいぶんと小振りだった。
味も、甘みよりも酸味のほうが勝っていた。
その酸っぱくて小さなイチゴを専用のスプーンで一粒ずつつぶし、
牛乳かコンデンスミルクをかけ、砂糖もかけた。
イチゴの風味がかろうじて残るイチゴミルク。
近頃のイチゴは、もちろん昔風のサイズもあるけれど、
だいたいにおいて大きい。
それも、ちょっとグロテスクなほどに大きい。
こうなると粒の集まりというイチゴのイメージはもはや無い。
他の果物、たとえばリンゴや梨といったものと同じように、
ひとつの果物、一個のイチゴと呼びたくなる。
『いちご』 22×18cm・ホワイトワトソン・水彩