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『月読』中川健二木版画展、浦賀にて。 [日々の記録]

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今回はちょっと辺鄙なところなんだ、
と、学生時代の友人から個展の話を聞いたのは10月のはじめ、
場所は浦賀、たしかに意外な場所だ。
この数年はもっぱら日本橋で開いていたのに何故?
いずれにしても以前に住んでいた目黒なら、覚悟を決めないと行けない場所。

たとえば都内から電車とバスを乗り継いで、
三浦半島のほぼ先端のこのギャラリーにたどり着く。
もう、それだけでちょっとした旅行だ。

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ギャラリーと道をはさんだ反対側には、
黒船の来航時に、吉田松陰と佐久間象山が会ったという旅館が残っていたり、
まわりを見回すと、十数階建てのマンションが無遠慮に空を狭めていたりするが、
それでも、この浦賀湾に面した一画には、
都市生活では味わえない非日常的な空気が漂っている。
良いところがまだまだ残されているではないか、
と、心も躍ろうというものだ。
ま、この感覚には個人差はあるとは思うけれど。

ギャラリーの真横にある「浦賀の渡し」の発着場に、
渡し船がときおり静かに行き来する。
その様子もギャラリーに一カ所ある窓から手に取るように見える。

20121201_nakagawa_2.jpg

とても静かなこの環境に、友人の木版画はとても似合っている。
(この「辺鄙な地」を展示場所として選んだ友人の読みに乗せられたか?)
いや、たぶんどんなマテリアルの作品でも、
ずっとそこにあるような錯覚を覚えてしまう、そんな不思議な力を持った空間だ。

初日(11月29日)、学生時代のほかの友人とも合流して訪れる。
そして今日(12月1日)、午後の陽差しに誘われて二度目の訪問。
作品をもっと味わうことが第一の目的、
普段の会話からだけでは窺えない“作家の内面”をとくと見る。
二番目はこの不思議な場所をもういちど体感するために。

ふと気がついた。
どうせなら、対岸から舟に揺られて来れば、
といってもほんの二三分で着いてしまうらしいけれど、
そこで会う木版画は、またひと味違う趣を醸し出すかもしれない。

20121201_nakagawa_3.jpg

月の光に誘われて
中川健二木版画展
『月読』<つくよみ>より
11/29〜12/11 11:00〜17:30(最終日は16:30まで)水曜休廊
ギャラリー時舟:神奈川県横須賀市東浦賀2-4-21 東岸・渡船場隣


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コメント 16

よしあき・ギャラリー

素敵なギャラリー!
by よしあき・ギャラリー (2012-12-02 06:21) 

mimimomo

おはようございます^^
浦賀は意識になかったけれど、最近確かお二方のブロガーさんのところで
見せていただいて、こちらが三人目・・・
そのうち出かけて見たいです。
今回の版画展にはちょっと時間が避けないですが。
by mimimomo (2012-12-02 08:14) 

rtfk

版画を見にゆく途中の道程も
作品を観る感覚に
少なくない波を与えるのですね^^)


by rtfk (2012-12-02 09:24) 

POP

こんにちは。
些細なところに歴史の一ページを、
感じ取る事ができる。
そんな環境も含めて、
作品を鑑賞して欲しい。
その心憎い配慮を楽しめるのは、
感性を持つ者だけの特権ですね(^-^)
by POP (2012-12-02 13:29) 

絵瑠

こんばんは。
このギャラリーは新しいのでしょうか・・・?
5月頃にこの渡船場の辺りに行きましたが
ギャラリーには気付かずに通り過ぎました。
会期中に是非伺わせて頂きたいと思って居ります。
by 絵瑠 (2012-12-02 19:21) 

e-g-g

◎よしあき・ギャラリーさん
ちょっと遠いですが、なかなか趣のあるギャラリーですよ。

◎mimimomoさん
私のアンテナもこのエリアには反応していませんでした。
でもこの界隈、時間軸も空間軸も多層的です、楽しみが増えました。

◎rtfkさん
同じ作品を東京のど真ん中で見たら、
また違った印象になったかもしれません。
作品展のロケーションの意味を考えました。

by e-g-g (2012-12-02 21:48) 

e-g-g

◎POPさん
ご無沙汰してます。
環境が変えると作品から受けるものも微妙に変わりそうです。
作品と環境との関係について考えるきっかけになりました。

◎絵瑠さん
このギャラリーはオープンからまだ二月ほど、
友人の木版画展も第三弾ということです。
ちょっと寒くなってきましたが、
五月とはまた違った趣も楽しめそうですね。
会期は11日までです、ご都合が付くようでしたら是非!
友人も喜ぶと思います。

by e-g-g (2012-12-02 21:58) 

engrid

出かけていく行程も、作品と向き合うまでの
心の高まりへの行程でしょうか、、
ロケーションもすばらしい、
それらの相乗効果、一が一でなくなる
渡し舟、のってみたいですね
by engrid (2012-12-03 01:18) 

KAZUYA

とっても素敵なギャラリーみたいですね(^-^)
展覧会出かけてゆく行程の楽しみもいい感じが

環境や場所によって作品が違った一面を見せ
てくれる事もあったりするので面白いですよね
by KAZUYA (2012-12-03 10:15) 

海を渡る

おはようございます。ご無沙汰しております。
ギャラリーのある場所もいいですが、
行くまでの行程もいいですね^^。
by 海を渡る (2012-12-04 06:59) 

つなみ

おめでとうございます!(*´∇`*)
by つなみ (2012-12-04 16:25) 

SILENT

ご無沙汰しています。素敵なギャラリーですね。
渡し舟の近くに小学校時代の友人がマンション住まいだったのを思い出しました。横須賀港から、浦賀近くの横須賀美術館まで観光船が出ていた夏もありました。海の気配を感じるギャラリーと作品いいですね。
白い壁の人影がおしゃれですね。
by SILENT (2012-12-10 02:40) 

e-g-g

◎engridさん
やはり街中のギャラリーとはひと味違いますね、
意外性がありました。

◎KAZUYAさん
作品とそれが置かれる環境、面白いですね。
ちょっと飛躍しますが、
広告やパッケージのデザインなど、
予想外の場所で出会うと、
自分の仕事の違う面を見せられるような気がします。

◎海を渡るさん
この場所へ行くのは、ちょっとした旅気分です。
作品も、たとえば東京の真ん中で見るのとは、
印象が違うでしょうね、きっと。

◎つなみさん
ありがとうございます。
友人に伝えます。

◎SILENTさん
わざわざのコメント、ありがとうございます。
このギャラリーも、その界隈も、
あきらかに独特な時間が流れているような気がします。
この方面、これからゆっくりと探訪したいですね。

by e-g-g (2012-12-12 18:46) 

九子

影法師が不思議ですね。最初人の影かとおもってしまいましたが、椅子の背の影でしょうか?でも椅子の姿が見えず・・。なんにせよ不思議な写真でした。( ^-^)
by 九子 (2012-12-13 20:37) 

e-g-g

◎九子さん
言われてみると不思議な影法師かもしれませんね、
で正体ですが、本物の人の影です。
手前にある(写真には写っていません)低めのテーブル、
そこに置かれた作品集を眺めているところです。
ちょっと面白いシーンなのでパチリ、です。
by e-g-g (2012-12-14 12:18) 

せつこ

ご訪問くださって ありがとうございました。
来年も宜しくお願いします。
佳い新年をお迎えください。
by せつこ (2012-12-30 06:11) 

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