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ジョージ・セル、没後40年。 [George Szell]

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ログインする際のIDを忘れてしまいそう、それほどサボっていたのだなぁ。
さて、今日、7月30日は指揮者ジョージ・セルの命日である。
亡くなったのは1970年の大阪万博、その5月の公演を終えたわずかふた月後。

当時の私はデザイン学校を卒業し、とある広告制作会社に勤めはじめたばかり。仕事を覚えることで目一杯の日々は、音楽をじっくりと聴く余裕などまったく持てなかった。(その割には、仕事帰り毎夜のように六本木で飲んでいたけれど)
もっとも、当時は学生時代から親しんでいたモダンジャズの世界が音楽関心の中心で、セルはおろかクラシック音楽そのものともほとんど無縁だった。

だから万博で公演があったことも、またその演奏が前評判の高かったカラヤンとベルリン・フィルよりも高い評価を受けたことなどは、もちろん知る由もなかった。没後5年経った1975年の春先にレコードで出会うまで、接点はまったく無かったのである。

最初に手にしたセルとクリーブランド管弦楽団の録音はドヴォルザークの『新世界より』。その一枚がなぜか鋭く私の耳、いや脳というか心というか、ともかく体に届いたのである。その前後に、ネームバリューだけを頼りに買ったバースタインやベームのレコードにはあまり反応しなかったから、これはやはり何かの縁というか出会うべき必然?があったのだろう。
それからは、ベートーヴェン、モーツァルト、ハイドン、ブルックナー、ブラームスと手当りしだいに聴き漁った。そのあげく、こんなに凄い演奏が聴けるなら、クリーブランドへ行かねばなるまい!と本気で思ったものだ。(当時はすでに亡くなっていたことを知らなかったので)

音楽の聴き方、とらえかた、はたまた西欧的なものづくりの根っこにある構成の原理、そういったものにまで関心の目を向けさせてくれた、その意味ではセルは私にとっての大恩人である。

セルにどっぷりと浸かり、あるときは離れ、そんな振幅を何度も繰り返しながら、35年が過ぎた。これだけ聴いて良くも飽きないもの、と我ながら感じ入ることも、ある。
が、 やはりこれからもずっと聴き続けるのだろうな、と思う。そうやって一生を終えるのか、、、まぁ、聴くたびになにかしらの発見(というとちょっと大袈裟ではあるが)、いやそれまでの私の耳の受信性能では気づかなかった姿形が、ひょっこり表れたりするのである。聴くことは面白い

最近はシューマン、ブラームスあたりのCDを時おり聴く程度、そもそもこの蒸し暑い季節、オーケストラ曲はつい敬遠してしまうが、今日は没後40年の命日でもある。久しぶりに「エロイカ」でも、いやモーツァルトのト短調。。。


セルの生演奏、またFM放送の中継を聴いた「世にも幸せな方々*」はもちろんいらっしゃる。そういった方々の「話し」を聴くたびに、ため息をつきつつ悔しい思いに駆られるのである。この来日公演の模様(東京公演)は、いまはCDになって手に入るからいつでも簡単に聴ける。それは救いではあるが、だが、しかし、、、

* 例えば、narkejpさんのブログ「電網郊外散歩道」
 またセルのことに詳しい方といえば、クラシカルな某さんの「随時休息。常時セル」などなど

*セルの『新世界より』の過去記事

*写真は1970年の東京公演のライブ盤、じつは3年前の記事の使い回し。


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コメント 7

narkejp

40年になりました。早いものです。いろいろ不満はあっても、様々な録音が残されたことに感謝したいと思います。それも、ステレオ初期の頃のものは公共の財産になっており、やがて1960年前後のものも、発表後50年でパブリックドメインになってくることでしょう。楽しみです。
でも、ジャケットやライナーノート、パッケージやチラシを含めて、LPやCDで、正規録音を集めたいものだと願っております。ウォルトンなど、あと少しなのですが、最近はCDショップがどこも縮小・撤退をしておりまして(^o^;)>poripori

by narkejp (2010-08-01 05:58) 

e-g-g

◎narkjeipさん
セルにはもっと長生きして欲しかったですね、
今年が没後20年といったことも、
可能性としてはあったわけですから。

ウォルトンは没後30年の記念リリースの際に求めました。
このときの記念盤からも、もう10年、
いやはやではあります。

東京でもHMV渋谷が、今月で閉まるそうです。
CDの衰退に加速度が増してきたようですね。

by e-g-g (2010-08-01 19:23) 

ももこ

昨夜この記事を拝見して何とコメントしようか考え
とりあえずセルのcd探そうとした、
今日開いたらいきなりみょうがでびっくりしました。
1970年の東京公演聴いてるかも知れない(笑)
このジャケットの写真に覚えがあるような気がする
その年も音響会社の宣伝部に居り
コンサートのチケット欲しいだけ手に入り、そんな話があったような気がする。
まあ、豚に真珠そんな程度でしたが、
私の場合は心地よく聴ける音楽はクラシックかなーーとそんな程度なので。
by ももこ (2010-08-03 01:23) 

のすけの母

e-g-gさんに触発されて、このCDを買いました。
シベリウス……この暑い時だからこそ、心の中の清涼剤になりそうです!
by のすけの母 (2010-08-05 22:24) 

e-g-g

◎ももこさん
>1970年の東京公演聴いているかも知れない
えっ!ほんとですか!
それは素晴らしい、というか悔しい!!!

私も、クラシックばかりを聴いているわけでは、
もちろんありません。
じつに雑多にいろいろ聴きます。
この数年は非ヨーロッパ系といいますか、
文化的には辺境とされる地域の音楽に魅力を感じます。
いずれにしても、心に響く音楽に、
もっともっと出会いたいですね。

◎のすけの母さん
おや、CDを買われたのですか、
ちょっと責任感じます。
でも、シベリウス、良いでしょう!
ほんとうに貴重なライブ録音が残っていたものです。
それにしても、
これほどあっという間に全曲が終わってしまう演奏も珍しい、
緊張感が凄いですね。
フィナーレの高揚感も、、、あっ長くなりそうな。

by e-g-g (2010-08-06 17:07) 

LIN

初めまして
LIN(りん)と申します
anan様のご紹介を受け此方にお邪魔いたしました
古い日記にコメントを残すことをお許し下さい

偶々私もブログに書いていますように、セルの新世界が切っ掛けの1枚です
同じ様な感想を持たれた方がいらっしゃるのを拝見してとても嬉しく思っております
諸事情有って暫くクラシックから遠ざかっていましたが、最近とある”事件”を切っ掛けにまた狂ったように聴く日々を送っております
些か手前勝手でヲタの戯れ言の様な記事ばかりですが、宜しければブログまでお越し下さいませ
お待ち申し上げております
「椿な猫は紅の瞳に魅せられたのだよ」
http://bajyeto.cocolog-nifty.com/tubakiquon/

有難う御座いました
by LIN (2012-09-10 05:09) 

e-g-g

◎LINさん
「椿な猫は・・・」をじっくりと拝見してから、
と思っていましたら、あっという間に日が過ぎてしまいました。
せっかくお越しいただきましたのに、
遅くなりまして申し訳ありません。

セルに出会って音楽の楽しさ深さを知り、
気がついてみると、もう三十数年が経ちました。
どっぷりと浸かったり、少し距離を置いてみたり、
なんどもそんなことを繰り返しながら、
それでも、セルの音楽からは離れられそうにありません。

最近、とくにこの夏は暑さに負けて
じっくりと聴く機会も少なくなりましたが、
LINさんの記事を拝見しながら、
またその世界に入ってみようかと思っています。
ひょっとしたら、若い頃には届かなかった何かが
耳に響くかもしれませんし。

どうぞ、これからもよろしくお願いいたします。

by e-g-g (2012-09-20 19:41) 

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