群青の海、真名瀬漁港。 [水彩画とスケッチ]
50年前の『チリ地震津波』という名前は、
津波の恐ろしさと合わせて当時の小学生の頭に刻まれた。
ともかく、大津波警報の3メートルが現実のものとならず、
ひとまずは安堵だろうか。
日本の裏側で生まれた波が、ほぼ一日かけてやってくる、
地球の凄さ。
森戸海岸から南へ少し行くと真名瀬(しんなせ)漁港がある。
この真名瀬という地名、ずっと「まなせ」と読んでいた。
もともとの「名瀬」に「真」が付いたものだろうか、
あるいは「真名」の「瀬」ということか?
いずれにしても「まなせ」でもおかしくはないと思うけれど。
それはともかくとして、ここは『犬の散歩』の浜からは、
たぶん、七、八百メートルほどしか離れていない。
なのに、海に突き出た港の突堤を歩いていくと、
森戸海岸の明るいターコイズブルーはもう見えない。
浜辺から本当の海へ、突然放り出されたような濃い群青が広がっている。
今さらではあるけれど、海の色の変化はとても面白い。
そんなことはこれまでだって、ずいぶんと見てきた。
金魚すくいの盥のように、妙に明るいボラボラ島の浮き世離れした海、
茫洋としてほんの少し薄茶けたサンタモニカの海、
鈍色の海面に夕日の射す日本海、これは冬の弥彦山から見た。
世界中の海ともっと仲良しの人からすれば、
大した経験ではないけれど、やはり忘れ難い記憶だ。
陽のあたり加減で実に様々な顔つきになる海の、
その表情に出会えば写真も撮ってきた。
いろんな海を思い出しながら描いてみると、これがまた難しい。
描けば描くほど、目の前の印象が遠ざかる。
そう言いながら描く。
シャッターを押すと直ぐに「次ぎ」に目を移してしまう
私のような堪え性のない人間には、これも良いのだ。
描くことで見えてくるものがあるのだから、
まぁ、そう信じて。
2010年3月1日・葉山・真名瀬漁港
(現地を訪れたのは2月6日)
F6(39.5×31.5cm)ホワイトワトソン
北斎の富嶽三十六景を思い起こしました。
波の表現が巧みですね。参考にさせていただきます。
by よしあき・ギャラリー (2010-03-03 13:54)
私は絵を描くくのは苦手ですが、観賞するのは大好きです。「今さらではあるけれど、海の色の変化はとても面白い」、とありますが、納得です。
城ヶ島の先端の岩場に砕け散る波の様相を見ていると、海は時折、青ではなく、緑に見えます。モネは一日に25枚も睡蓮の絵を描いたと聞きます。
by mwainfo (2010-03-03 17:28)
波頭がパシャッと砕ける感じがいいですね。
海の色の描き分けもさすがだとおもいました。
それにしても、文章がいいですね。
by gwan3 (2010-03-03 17:55)
daland です。
深い青ですね。
これが”群青”の青なんですね。
波頭の白がまた青を引き立ててるんですね。
by daland (2010-03-03 22:33)
私、実は。
クールベの「波」が好きです。
荒涼として、寒々しい荒波!
「プルシャンブルー」に更に緑を加えて
「プルシャングリーン」色の海。
『群青の海、真名瀬漁港』
白波の彼方に見える「未来」
想像させていただきました。
by oira (2010-03-03 23:48)
漁船が帆をたたんでいるので、港に向かって走っているのが分ります。
比較的、海の傍に住んでて良かったと富岡沖を見て思う時があります。休日にはヨットが白い帆をアクセントに沖の方に沢山見えます。群青の青に近い表現をする時が、冬の晴天の風の強い日に散歩の途中、ちょっとした高台から見える事があります。残念ながら、東京湾なので相模湾のように富士山は見えませんが....。
by 鋭理庵 (2010-03-04 01:11)
こんにちは^^
群青色、とても素敵ですね!
私も帯揚げと帯締めに使っています。
最近地震が多くて恐ろしいです。
今日も台湾で地震が・・・
by いろは (2010-03-04 15:16)
気持ちがスカッとするブルーです。
私の記憶のふるさとの海はいつも灰色。
でも、石の浜は透明度があって、底が見えて・・・
そこにはウニなどの宝物が・・・(^w^)
結局、食い気かい? 海は宝物ですね~^^;
by こぎん (2010-03-04 18:42)
描くことで見えてくることがある、同感です。
何事もやってみることが大事・・・春が来ると同時に
気持ちも盛り上げて頑張ります。
by akipon (2010-03-04 23:39)
群青という呼び方を忘れていました、日本語は色の呼び方も素敵ですね。
私とっての海は、幼い頃にいつも見ていた唐津の海です。
by すずめ (2010-03-05 01:15)
◎よしあき・ギャラリーさん
神奈川沖浪裏ですね、
やっぱり北斎もこんな風景を見ていたのかなぁ、
と一瞬ですけど思いました。
で、あんな凄い絵のことはすぐに忘れました。
◎nwainfoさん
この二週間後に城が島に行きまして、
岩場からの波もすいぶんと眺めました。
中途半端な曇天のため、絵は描きませんでしたが、
また見たいですね。
抜けるような晴れの日、あるいは嵐の時なども。
◎gwan3さん
「海」ははまりそうです。
色、波のカタチ、どんどん変わるその様子を
もっと捉えたいものです。
◎dalandさん
この海の印象は、どちらかと言えば
もう少し濃くてくすんだ感じのシーブルー(藍色)の
ほうが近いかもしれません。
群青はウルトラマリンのことですから、
ちょっと派手ですね、色の名前は難しいです。
◎oiraさん
クールベの「波」はどれも情念がこもった印象ですが、
ああして何枚も描く気持ちがほんの少し
分るような気もします。
とにかく見飽きることがないですね。
◎鋭理庵さん
そうです、この船のすぐ前方が港です。
冬は見通しが効いて良いですね。
もう少し通えば良かったと思っています。
でも、これからの春霞の季節、
どんな表情を見せてくれるのか、それも楽しみです。
◎いろはさん
手のお具合の方は如何ですか?
わざわざのコメント、ありがとうございます。
群青色は洋名でウルトラマリンなのですが、
そう言ってしまうと、何か違うなぁ、とも思います。
和装の群青、素敵でしょうね。
◎こぎんさん
ハイ、気持ちをスカッとさせて描きました。
でも、ちょっと丁寧さに欠けますね。
ウニなんかが見えたりしたら、
ワタシも絵なんか描っきませ〜ん
そりゃ食い気ですよ!
◎akiponさん
描くのはほとんど考えることと同じです、
なんとなく良いと感じたイメージを、
少しづつ頭の中に定着する、そんな感じです。
ま、いろいろやってみましょう。
◎すずめさん
子どもの頃の記憶では「ぐんじょういろ」です。
独特の響きのある名前ですね。
唐津の海、どんな色あいなのでしょう?
by e-g-g (2010-03-05 15:29)
こんにちは。
「群青」という言葉、そしてその色合い、好きです。
今回の海は とても男性的、に思えました。
「海シリーズ」楽しみにしています。
by 東雲 (2010-03-05 15:54)
深い青を群青色って呼んでいましたね。
黒潮らしい深い色の海が印象的です。
by 響 (2010-03-05 18:40)
こんばんは
波の青さが良いですねー
荒い波の感じが素晴らしいですね。
by ガマさん (2010-03-05 20:23)
◎東雲さん
海を描いてみると、つくづくと海を知らないな、と思います。
もっといろいろな海を見て、たくさん感じたいものです。
群青色だけでなく様々な青も知りたいですね。
◎響さん
「ぐんじょういろ」、妙に懐かしいんですよね~
ほんとうはその色に近いのかどうか、、、
ですけどやっぱりイメージとしては群青の海です。
◎ガマさん さん
めまぐるしく変わる海の表情を、
もっとしっかりと捉えたいですね、
もっともっと描かないと、です。
by e-g-g (2010-03-07 22:35)
津波は南海地震で経験しました。ブルーがキレイですね。
by SilverMac (2010-03-07 23:18)
おはようございます^^
昨年でしたか、静岡県の日本平の辺りを歩きました。
そのときの海の色、波の様子を思い出します。
場所は違いますが、東京湾の稲毛海岸とは違った海の風景が
思い起こされます。
by mimimomo (2010-03-08 09:15)
色を覚え始めた子供のころから、
群青色に強い関心がありました・・
深い海の色がとてもきれいで
憂いのような感じが惹きつけるのかも知れません。
by ももこ (2010-03-08 11:10)
◎SilverMacさん
四方を海で囲まれた日本は、津波の国でもありますね。
私は、南海地震のときはまだこの世におらず、
1960年のチリ地震が津波を知った最初です。
◎mimimomoさん
季節、時間帯によって様々な表情を見せる海、
もっといろんな海を見たいものです。
稲毛海岸も、たとえば早朝などにいちどは訪れて見たいです。
◎ももこさん
ぐんじょういろ、はだいろ、だいだいいろ、
クレヨンに印刷された平仮名の名前を思い出します。
私も「ぐんじょういろ」は強い響きと一緒に
けっこう記憶に残っています。
by e-g-g (2010-03-10 10:37)
◎niceを頂いた皆様、ありがとうございます。
by e-g-g (2010-03-10 10:37)
素晴らしい波の色
一昔前、陶磁器の転写の印刷をしたことが・・・
色指定に四苦八苦しました。海碧に黒を混ぜたり、グリーンを混ぜたり
by 侘び助 (2010-03-10 15:27)
素晴らしい
by be-sun (2010-03-10 19:03)
なんだか「風」を感じる海面の絵ですね。
海の色は深さによって違うのでしょうか。
岬を回るとそれまでと全く違う色だった、なんて経験が自分にもあります。
そういうふうに海を見て回るのはとても好きです。
by HEIJI (2010-03-10 22:02)
空と山は穏やかな表情のように見えます。
それが、荒々しい波をいっそう引き立てているように感じました。
優しさも厳しさも、自然にはあるんですね。
by いそしぎ (2010-03-11 00:18)
e・g・gさん、
素晴らしい風景画の数々、勉強になります。
これからも拝見させていただきます。
by 茶菓子 (2010-03-11 21:47)
◎侘び助さん
以前に瀬戸と九谷で転写の工程を見学しましたが、
色について初めて知ることも多かったです。
考えてみれば転写も色指定が肝心ですよね、
私はもっぱら紙媒体が中心ですが、
青系統に深みが欲しいときは、
僅かに赤味をさしてもらいました。
ともかく海の色は一様ではありませんね、、、
◎be-sunさん
ありがとうございます。
実際にはもっと豊かな海の色の階調、
見返すと、ちょっと単調だったかな?とも思います。
◎HEIJIさん
>岬を回るとそれまでと全く違う色、
その驚き、たしかにありますね。
この日は歩きなので大した移動じゃないのに、
その突然の変わりかたに驚き!でした。
近い内に、また行きたい!
◎いそしぎさん
遠景は仰るとおり、けっこう長閑なんです。
で、目の前の海は風が吹き荒れて!
そのギャップも面白かったです。
◎茶菓子さん
コメント、ありがとうございます。
これからもぼちぼちと描いていくつもりです。
またご笑覧ください。
by e-g-g (2010-03-16 12:52)