左利き用のパレットは? [日々のデザイン]
スケッチのときに簡単に持ち運べる固形絵の具は、もちろん便利だ。しかしながら微妙な混色が難しいという問題もある。やっぱりパレットに絵の具を出して混ぜるほうが楽だし合理的だ。そんなわけで、ずっと眠っていたパレットも復活した。以前に使っていた時の絵の具の残りは完全には落ちないけれど、ま、シンプルな道具だから使い勝手に不都合はない。
しばらくぶりにそのパレットを見て、ふと気になったことがある。それは、パレットを持つ時に親指を通す穴の位置。
このパレット、私は右利きだから左手で持つ。親指を通して持つと、何となく絵を描く気分が盛り上がる。これは、ひとつのスイッチ?。
ところで、油彩用の木のパレットは楕円形にくり抜かれた穴の断面が斜めにカットされている。木の切り口の角が親指に当たらないための細工だ。このおかげで親指の付け根の表側、要するに手の甲の側が痛くならない。対して水彩用の金属製のパレットにはそういった細かい造作はない(最近のモノは知らないけれど)。そのかわり?に「角」にはわずかなRが付いているが、その「角」に親指が当たると、やはり少し痛いというか気になる。それでも、この指穴のおかげで右手に筆、左手にパレット、これが可能になる。
で、ふと気付いたのが、さて、このパレットを左利きの人はどういう風に使うのだろう?という疑問。試しに右手に持ってみると、絵の具を出す細かい仕切りが上下逆さまになり、これでは使えない。
気になってそのあたりを調べてみると、案の定というか左利きの人はパレットに苦労しているらしい。
左利き用のパレットというのも、もちろんあるらしい。別注だったり特注だったりするようだが、存在はしている。
そんなおり、左右どちらが利き手でも使えます、という製品があった。写真を見るとプラスティック製のパレットの真ん中に穴が開いている。なるほど理屈である、この位置ならば右手だろうが左手だろうが関係ない。ただ、しかし、この穴の位置はなんとも不思議だ。絵の具を出し、混ぜる道具というパレットの主たる働きがどこかへ行ってしまった感じである。要するに穴の位置・形状の主張が強すぎるのだ。
それとパレットを持つ場合、五本の指は予備の筆や、ティッシュペーパーを持ったり、といろいろと働く。それが、このど真ん中スタイルでは、たぶん難しいだろう。
商品としてはまだまだ工夫の余地ありと思う。ともかくいちど現物を見たいものだ。もし、使っている人がいたら、その使い心地も聞いてみたい。
*ネットで探し当てたものは、穴の位置がパレットのほぼ真ん中にあるものだったから、余計に「位置の不思議」を感じるのかもしれない。いろいろ見ていると、真ん中ではなく縁の方に寄せているものもあって、こちらの方は、違和感もやや少なくなっている。
ずいぶんと昔に、友人の左利きのデザイナーが「油彩のパレットは裏返して使うんだよ」と話していたことがある。仕切りのない油彩用のパレットは理屈の上では表でも裏でも使える。ただし、これは折り畳まない一枚ものでの話しで二つ折りのものはちょっと無理だろう。また、その友人が話していた「穴のカット面の斜めが逆になるため、指に当たって痛い」という点も弱点だろう。
手で持たなくても、脇に置いておけばパレットの用は足りる。私も、常に左手で持っているわけではない。ただ、だからといって見た目のアクセサリー状態のままにしておくのも芸がない。そもそも指穴が無ければ、その分絵の具を溶くスペースも広がるわけでもあるし。
ともかく、道具の利き手問題は、いたるところに存在するのだ、と今さらながら感じる。
2009-02-26 15:04
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コメント(26)
こんにちは^^
確かに最後の方に書かれている、道具の利き手問題は色々あるでしょうね~
この文を読ませていただきながらふっと思ったのですが、穴をやめてマグネットのようなもので輪を止める・・・つまり何処にでもつけられるわけですから左利き右利き関係なく使えると思うですがね~ どうでしょ^^
輪の部分は取り外しできるんですよ。Ωを逆さにしたような・・・
by mimimomo (2009-02-26 16:11)
世間一般的な右利きなので
あまり考えたことなかったですね。
たしかに専用の道具がないと苦労しそうです。
バイクも左利き用があったらいいと思うけど
普通の人が乗ったらパニックになりそうですね。
by 響 (2009-02-27 01:09)
学校教材が金属製だった世代です。
画像を見て・・・痛い! と思ったのです。何度か手を傷つけた記憶がよみがえりました。
by こぎん (2009-02-27 07:43)
私は左利きなのですが、パレットは持ちづらいので、いつもイスの上に置いて作業してます。ギターもレフティ用は少ないので、右用で覚えてしまいました^^
by ヨナタン (2009-02-27 15:23)
うんうん。。なるほど。。。
姉は左利きです。
姉が絵を描いてる姿は記憶なしです。小さい時から嫌いみたい。
道具からもコンプレックス感じてたのかもしれませんね。
左用作ってほしいですね
特に子供用は必要ですよね。
by masa (2009-02-27 22:23)
◎mimimomoさん
>穴をやめてマグネットのようなもので輪を止める・・・
可能性を感じる発想ですね、
何処にも付けられるというのがミソですね。
他のモノにも応用できそうです、
どうでしょう、実用化されてみては?
◎響さん
右利き人間は、のほほんと暮らしております~
バイク?えーっ自転車もそうですけど
左利き・右利きのモンダイってあるんでしょうかね~
以前から気にはなっているんですけど、、、
◎こぎんさん
痛さの記憶があるということは、
そうとうに真面目にきちんと使っていたのですね!
ちゃらんぽらんな私は「痛い」ところまで
いきませんでした。。。
◎ヨナタンさん
私も、ほとんどは置いて使ってます。
戸外ではときどき持ちますが、
これが慣れないとなかなか、、、
持つ姿が決まっている人は年季が入っているのでしょうね。
◎masaさん
使いにくい、いや使えない道具が、
その道の楽しさや肝心のところを遠ざける、
これは絶対にあるでしょうね。
>特に子供用は必要
たとえば、いまの教育現場ではどうなんでしょうね?
ひょっとしたら先割れスプーンみたいに変なものが、、、
by e-g-g (2009-02-27 23:05)
そういえば自分もパレットは持たなかったです。どこかに置いてましたね。パレットなら左右どちらでも使える製品って出来る気がするんですけどねえ。
自分は手は右利きですが、利き目が左です。これはこれでちょっと変・・。
by HEIJI (2009-02-28 01:47)
私のブログは、最初は息子達が「できるものなら、やってみな!」と勝手に私のブログを開設・・・それに「よ~し」と発奮して書き始めたものです。
時々建築関係の大事なことも書いています。
私は「絵」は全くの門外漢で、トンチンカンなコメントをするかも知れませんが、
時々お邪魔させてください。
by アキラ (2009-02-28 13:00)
◎HEIJIさん
よく出来た左右両用使いのパレット、
生活必需品ではない?からでしょうかね、
「感性を育てる」という意味では
けっこう大事なものと思うんですけどね。
ところで、私も手は右利き、効き目は左ですよ。
そういう人、多いと思ってましたけど、、、
◎アキラさん
いやぁ、なかなか充実したブログですよね、
大事なことは追々拝読させていただきます。
インターネットにはじめて触れたとき、
そうですね15年くらい前でしょうか、
いずれは個人でも発信できるのでは?と思いました。
ただ、ブログのような簡単な仕組みが出来るとは、
とても想像できませんでした。
進化?というのは凄いものですね。
絵のほうは、どうぞお気軽にご覧ください。
by e-g-g (2009-02-28 19:42)
◎kakasisannpoさん
◎今造ROWINGTEAMさん
◎KAZUYAさん
◎こぼんさん
◎よしあき・ギャラリーさん
◎miopapaさん
◎mitsuさん
◎一真さん
niceを、ありがとうございます。
by e-g-g (2009-02-28 19:47)
おはようございます
私は右利きですから、不便を感じていませんが
世の中のものは、右利き中心で設計されていますね
これからデザイナーは、十分考慮すべきですね
そこから面白いデザインができそう。
by ガマさん (2009-03-01 11:24)
◎ガマさん さん
たとえば、右利き用ハサミを、
刃を逆側から見て器用に使いこなす左利きの人もいますね。
そんな人に聞くと「今さら左利き用が出てきても、、、」
という意見もあったり、
ともかく、なかなか一筋縄ではいかないようです。
いずれにしても、より注意深く配慮されたデザインが
求められると思います。
by e-g-g (2009-03-03 12:52)
◎くらいふさん
◎信州のりんごほっぺさん
◎カフェオランジュさん
◎クララさん
◎デザイン屋さん
◎ちかさん
nice、ありがとうございます。
by e-g-g (2009-03-03 12:53)
たかがパレットにあいた穴・・・ですが、考えてみるとおもしろいですね。個性を尊重したいですが、左利きはやっぱり不便な事の方が多そうですね(^_^;
by barbie (2009-03-03 22:12)
◎barbieさん
これは推測ですけど、
たとえば右利きでも、100パーセント右かというと
そうでもないような気もします。
長年の経験と勘で使いこなしているのだとは思いますけど。
by e-g-g (2009-03-04 11:03)
なんでもそうですが、基本的には右利き用が基本に出来ている世の中ですからね。僕自身も右利きですし、その辺の不自由さを感じたことはありませんが、きっと左利きに方は大変な思いをしているんでしょうね。でも随分改善はされてきているようですけどね。
by 井上酒店 (2009-03-06 12:05)
◎井上酒店さん
不便さは、その立場でないと分からないことが多いですね。
利き手に限らず、ほかの諸々の条件の違いもそうだと思います。
たとえば若い頃は老眼の不便さなど考えもしなかった、、、
こういったことは想像力も必要ですけど、
まずは知ろうとする意識を持てるかどうか?でもありますね。
by e-g-g (2009-03-07 16:23)
◎pikatyu-さん
nice、ありがとうございます。
by e-g-g (2009-03-07 16:33)
なるほど・・・。
確かに、はさみは左利きのを使ったことがありますが、使い辛かったですねぇ・・・。
それでもはさみは利用者が多くて需要もそこそこありますが、パレットは難しいのでしょうか・・・。
で、実は35mmシステム・カメラも右利きが前提ではと言われた時もあります。
加えて右目でファインダーを覗く様になっています。(理由があるのですがね・・・)
しかし、八セルブラッドは左でのレリーズになるので、まぁこの辺りは左右と言うよりは、どちらかの手に役割を与えていると言う理解になるでしょうけどね。(35mmシステムでは、右手にグリップとレリーズ。左手で支えとレンズの操作。八セルだと左手がカメラの支えとレリーズ。右手がレンズの操作と巻き上げです。)
で、なぜ右目でファインダーを見るようになったかと言うと、あれは両目を開けているのです。
右目でファインダー。左目で実像です。
35mmはミラーアップがあり、一瞬画像が見えなくなります。その瞬間を補うべく、左目で実像を見続ける。特に、ストロボ発光が安定していない等、不発を起こす時もありますので、それを見届けるのもあります。
単純に役割なのか、利き手がやらなければならないかで、利き手側用の道具が必要になってくるのでしょうね。
実は私は、トランプカードのシャッフルだけが逆手です・・・。
by テレマーカー (2009-03-08 00:51)
こんなパレットは懐かしいというか、もらった大叔母様のがそうだったくらいで。
油絵のパレットは、シロウトなので、裏返して使えばいいのかと思っていました。
by 春分 (2009-03-08 10:52)
◎テレマーカーさん
コメントをいただき、ありがとうございます。
左利き用のパレットは、たしかに需要あってのものですから、
ハサミなどに比べると状況は厳しいかもしれません、
ただ「不便さ」が存在する限りは、何らかの工夫も必要と思います。
私も本文では「商品としてはまだまだ工夫の余地云々」と書きましたが、
それでも、そういったメーカーが存在するのは喜ばしいことと思います。
ところで、カメラは操作の権化のような道具ですから、
問題もたくさんありそうですね。
ハッセルブラッドのシャッターボタンの位置、、、
以前にカメラマンからほんの少しだけ借りて使ってみたときは
たしか右手でシャッターを押した記憶がありますけれど、
これはモデルによって違うのでしょうか、、、
それともワタシの記憶違い、、、?
ファインダーを覗く目ですが、
動きのあるものを追い掛けるときに左目も明けておかないと
逃がしてしまうぞ!と言われたことがあります。
そんなものかな、とトライしてみましたが、
慣れないとなかなか上手くいきませんね。
*
これは推測ですが、カメラの操作部の位置関係は、
使い勝手の問題よりも機構上の制約・条件で
決められたものも多いのかな、と思います。
その例になるかどうかは「?」ですけれど、
たとえば大昔のニコンFのシャッターボタンの位置は、
今の常識からすると考えられないようなところにありました。
ところが不思議なもので、この変則的な位置も、
使ってみるとさほど気にならないんですね、、、
この違和感の少なさを考えると、
たぶんモノの操作には、ある程度融通の利くケースと
そう簡単なことではない、この両方があるのだと思います。
これはテレマーカーさんの仰る、
“「単純な役割」と「利き手がやるべきこと」を前提にした
利き手用の道具の必要性”に通じる問題ですね。
by e-g-g (2009-03-08 12:59)
◎春分さん
私のパレットも、もう何十年も昔、記憶にないくらい古いものです。
まぁ、シンプルな道具ですから、壊れることもなく現在に至っています。
いま画材店に並んでいるのを見ると、
カタチはほとんど変わっていませんね。
素材がアルミになったもの、それとプラスティック製のものが
増えてはいるようです。
by e-g-g (2009-03-08 12:59)
ハッセルの本体自体が真四角の箱で、シャッターは正面から見て左下に位置します。
単純に左手でカメラ本体を支えると、自然とシャッターに指が来ます。
私の時は"そういうもの"と教わったのですが、ウエストレベルで覗いた時、上から見ると右にシャッターが来ているので、左でカメラを支えて(三脚使用時は左でピントリングや露出)、右でシャッター&巻上げでも全く違和感がありません。
実に融通無碍に出来ています。
望遠系レンズで手持ちだと、どうしても右手でもレンズを支えないと無理なので、左指シャッターか、右手小指シャッターとかになります。
まぁ、レリーズケーブル使うと左も何もないですが・・・(^^;
ついでに、35mmでもシャッターを人差し指だけで切る訳ではなく、縦位置での撮影時、グリップが下にならざるを得ないときは親指でシャッターを切る時もありますね。
また反れますが、釣りのリールもハンドルの位置がありますが、あれもどっちを優先させるかで付け替えます。利き腕で竿を操作するか、単純に巻き上げの力がほしい場合は利き腕で巻き上げる。
これは役割の持たせ方ですね。
どれに左右が必要なのか、考えると結構奥が深いですね。
by テレマーカー (2009-03-08 23:02)
◎テレマーカーさん
詳しいお話、ありがとうございます。
ハッセルブラッドはやはり良く出来ているようですね。
釣りのリールのことは初めてしりました。
言われてみれば、なるほど、です。
カメラもリールもハサミもパレットも、
もちろん他の道具もそうですけれど、
まずはじめにヒトありきのデザインであって欲しいものです。
by e-g-g (2009-03-09 19:19)
daland です。
こんにちは。
そういえばパレット、左利き用がないと不便ですね。
私、左利きなんですが、パレットは気がつかなかった。
学生の頃どうしてたんだろう ?
美術の時間はサボってたんですね。きっと
by daland (2009-04-15 13:11)
◎dalandさん
左利きの人は、たぶん、あの穴を使わずに
右手の手のひらに乗せたり、端を掴んだり、
あるいは置いたまま、とか、
ともかく、いろいろ工夫してたんでしょうね。
でも、右利きでもあの穴をちゃんと使っていたかというと、
ちょっと疑問ですね。
美術の時間は、楽しい息抜きの時間でした。
(他の時間も、息抜きばかりだった、、、自戒)
by e-g-g (2009-04-16 14:24)