もっと手を使おう(自戒) [日々のデザイン]
秋は個展のシーズンでもある。今週、友人・知人ふたりの個展が開かれた。ものは手から生まれるのだ、としごく当然のことを思い知らされる。
まず3日。笠間に窯を構える陶芸家の作品展。もう、何十年来の友人だから、その作風は分かっている。それでも、個展のたびに微妙な変わり様もあるわけで、そのあたりをみるのも楽しみだ。くわえて今回は子ども(といっても、もう立派な大人だけれど)の作品も出品されている。友人曰く“同じ工房で作っていると、音楽の趣味が違うからコマル!”と、嬉しそうな話しぶりだった。
ギャラリーの閉まる間際に訪れたため、じっくりとは見られなかったが、ひところに比べると色彩が豊かになったような気がする。サーッと、見た後は同窓会の二次会のような飲み会へとなだれ込む。これもいつもと変わらぬ定番コース。
この友人には陶芸の手ほどきも受けている。もっと時間をつくって、もっとたくさん教えてもらおう。
私が一昨年の秋に挑戦した焼き物は↓
http://egg2006.blog.so-net.ne.jp/2006-11-08-1
そして、今日(5日)。もう30年近く付き合いが続いているインテリアデザイナーのドローイング展。
ドローイングのテーマは、ヴィクトリア朝時代の椅子達。ウィリアム・モリスが好んだものや、マッキントッシュのデザインしたものなど、様式もロココ的なものから、ジャポニズムの影響を受けた椅子たちまで巾が広い。
インテリアデザイナーは、注文主との折衝の過程でスケッチを描く。CG全盛の時代とはいえ、まだまだ手書きのスケッチやドローイングの持つ力は大きいそうだ。
今回は、その普段のクライアント説得のためのものではなく、純粋にドローイングとして丹念に描き込んだものが51点。ひとつひとつのドローイングを見ていると、時代の空気や様式の流行、あるいは椅子のデザインの進化の足取りが見えてくる。これは、面白い企画だ。知人だからということではなく、もういちどじっくりと見たいと思った。
つくる、描く、どちらの個展も素手の仕事。
今回に限らないけれど、こういった個展に接すると、手を使うことの大切さをしみじみと感じる。そうだ、描こう!いや描かなければイケナイ!とも思う。
考えてみれば、マウスとショートカットで何とかしてしまう時を過ごしすぎた。便利さと正確さとに頼りすぎてきた。その良さももちろんあるけれど、、、
その時間は、ある意味では、取り返しのつかない年月だったのかもしれない。
●Blowing From the Forest 東風舎須藤親子展
http://www.ga-kou.com/home_gallery.html
●卯野木憲二展『ヴィクトリア朝〜モダン前夜の小椅子達』
http://www.tokinowasuremono.com/artist-001-tenrankai/index.html
2008-09-05 19:25
nice!(18)
コメント(17)
賛成~(^v^)
手で色を塗る、パソコンで色を塗る。。
同じことだけど、頭の使ってる所が違う気がする。
たまに手作業もいいものです)^o^(
by masa (2008-09-05 22:59)
私の母はとにかく器用で、一通りの家事はいうまでもなく、
洋裁・人形作り・手芸などをやり、
今は陶芸にはまっています。
市展などにも出品して賞をもらうこともあり、
自分の母親ながらスゴイなぁと思います。
ひるがえって、私の手からは、ろくなものを生み出しておりません。
最近では楽器にさえさわっていませんし、
手を動かすのは、仕事と最低限の家事のみ。
なんか、自分の手でなにかを生み出したい!!と衝動的に思い始めました。
(といっても、不器用なのですぐ挫折しますが……)
by のすけの母 (2008-09-05 23:21)
椅子のデザインって、好きなのです。
by Nicoli♪ (2008-09-06 22:33)
自分も普段はマウスばかりで仕事をしてますが、たまに絵筆を持つとなんともいえない快感があります。
絵の具買おうと決めてたんですけど、忘れてました。今度こそ買いに行こう!!
by HEIJI (2008-09-07 22:33)
手で生み出される作品が大好きです。
機械で作られる画一した完璧さはないし、不具合もあるのですが。涼しくなってきたし、パッチワークもがんばらないと(笑)
by barbie (2008-09-08 12:55)
◎masaさん
手とパソコンでは、使っている頭の部分は
絶対に違うと思いますよ。
予想の範囲のなかで納めがちになるのがパソコンですね。
手の運動→眼で確認→脳へフィードバック→そしてまた手へ
この循環はパソコンでは無理です。
◎のすけの母さん
突き上げるものがないとモノは生まれません。
衝動がすべての始まりです。
なんてなんだか分かったような書き方ですけど、
やっぱり表現の根源は衝動と思いますよ。
◎Nicoli ♪さん
その時代を映した椅子の歴史をひもとくのも面白いですね。
ともかく、人間の知恵の結晶です。
◎HEIJIさん
買いましょう!描きましょう!絵の具。
マウス以外に持つモノは箸とボールペンだけというのは
ちょっと寂しいですよね。
◎barbieさんはパッチワークでしたね。
古いアーミッシュのパッチワークを集めた
画集を持っていますが、
その精緻さと、何とも言えない温もりに
いつも感動します。
手の仕事、大事にしたいですね。
by e-g-g (2008-09-09 20:10)
◎POPさん
nice、ありがとうございます。
by e-g-g (2008-09-09 20:13)
僕、実は、椅子が好きなんですよね。この絵はちょっと興味あるな・・・。最近特に芸術に興味津々なんですよね。以前のblogの黒い陶器も凄く格好良くて僕は好きです。お金があれば、椅子を買いそろえたいのですが、なかなかです。
by 井上酒店 (2008-09-09 23:16)
◎井上酒店さん
人に人格があるように、家具にも格がありますよね。
椅子には、その格が強く現れると思います。
値段とか人気といったことでなく、
そんな「椅子格」を持った椅子と付き合いたいものです。
by e-g-g (2008-09-11 14:33)
◎きぃ*さん
nice、ありがとうございます。
by e-g-g (2008-09-17 11:39)
e-g-g様、こんにちは。
もっと手を使おうに、同感です。
手というか、指ももっと使わないとね。
今は、トイレの水だって勝手に流れる。
蛇口はたたくものだし、掃除はスイッチを押して動かすだけ。
これでは、脳の神経を刺激するまでに至らないのでは?と思ってしまいます。
進化と同時に失うものも多いのではないかしら。
時代をさかのぼる必要なないけれど、大切なことを忘れていると、人間の時代も長くない気がしますね。
手書きの絵には本当にぬくもりがあります。
時間をかけて丹念に作り上げるもの大切にしたいです。
by mamire (2008-09-19 15:51)
忘れてました。
e-g-g様の、陶芸作品も拝見しました。
色合い、形も立派な作品ですね。
by mamire (2008-09-19 15:52)
◎mamireさん
>進化と同時に失うものも多い
まったくそのとおりですね、
それも、ほんのこの数十年のことです。
いったん忘れてしまうと、取り戻すこともままならない、、、
そんなことが増えているような気がします。
え~、、、
陶芸作品などと、お恥ずかしい限りです。
なんの気負いも無くろくろを回した結果です。
「次」はいろいろ考えてしまって、きっと失敗すると思いますよ。
by e-g-g (2008-09-19 19:46)
◎dalandさん
たくさんのniceを押していただきまして、
まことにありがとうございます。
dalandさんのところへも、もう少しお邪魔しなくては、、、
by e-g-g (2008-09-19 19:52)
◎cheeさん
◎スカピオサさん
◎masugiさん
ナイス、ありがとうございます。
by e-g-g (2008-09-21 15:56)
◎甘党大王さん
nice、ありがとうございます。
by e-g-g (2008-09-22 06:59)
◎わかさん
nice、ありがとうございます。
by e-g-g (2008-09-24 19:11)