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小三治の落語 [聴く・クラシック以外]

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 久しぶりにサライを買いました。普段はほぼ、いやまった
くと言って良いほど買いません。温泉、酒、旨いもの、、、
と、まぁ記事を読まなくともおよその察しはつくし。
 そのサライに今回は「オリジナル落語CD」が付いている。
中味は柳家小三治の『千早振る』、『うどん屋』それと三遊
亭圓窓の『寿限無』。

11月15日に発売の「サライ」。
特集は“笑って泣いて、いのちの洗濯 続 「落語」入門”。

 落語は好きです。表現の形態としてもきわめて面白い。で
も詳しいわけではありません。そもそも寄席に足を運ぶこと
もありません。ごくたまにNHKのテレビで見るくらい。その
私が、このCDの「柳家小三治」を目当てに買いました。

 柳家小三治の古典落語もほとんど知りません。でも、あの
方は実に良い方です。な〜んて書くと、さも良く知っている
ふうですが、実は文庫本を三冊読んだだけの付き合いです。

 『バ・イ・ク』『ま・く・ら』『もひとつ ま・く・ら』。
最初に読んだのは『バ・イ・ク』。3年前に急にバイクに目
覚めてしまったときに出会いました。ちょうど人とバイクの
関わり方というか、そんなことをテーマにした本はないか?
と思っていたところだったのです。まぁ、バイク関連の分野
というのは、コーナーを上手く回るコツとか、正しいメンテ
ナンスの方法とか、そういったものはけっこうあるんですけ
どね、ソフト面からアプローチした本は意外に少ない。だか
ら、少し探せば、この『バ・イ・ク』には必然的に遭遇する、
そういう本なのですね。

 えっ!あの小三治ってバイクにも乗るんだと、意外に思い
ながら読んだこの本は、素直に面白かったですね。 40 才を
過ぎてから乗りはじめたバイクとの格闘、いや楽しみ方のあ
れこれ。何も知らずにはじめて買ったバイクのことや、仲間
を誘っての北海道詣での珍談奇談などなどバイクにまつわる
エピソードがてんこ盛り。
 バイクに乗らない、あるいは関心のない方にも、読み物と
して、これはたぶん面白い。まぁ、ここまでやれば納得とい
うところです。

 一人旅の途中、開田村近くの峠で出会った木曽御嶽山の夕
焼けに感動するくだり、

 うれしかったですねえ。
 一人で来るんじゃなかったと、つくづく思ったねえ。
 「おい、見ろこれを!」
 という友達がそばにいて欲しかった。あるいは、
 「この景色を大勢の人に見せてやりたい。東京へ帰ってか
 ら女房や友達に、あの景色をどういうふうに説明してやっ
 たら、あの素晴らしさ、大きさというものがわかるだろう
 か」
 と心の底から思ったのでした。

と、まぁ、ホロッ泣かせます。(「逆光の木曽御嶽山」)

 小三治という人の個性というか人となりに関心を持つよう
になったのは、『ま・く・ら』と『もひとつ ま・く・ら』。
これは優れた本と思います。
 落語の本題に入る前の文字通り「まくら」を集めたもので
すが、この人は落語家になっていなくとも、直木賞を取るよ
うな作家、あるいはエッセイストになっていただろうなぁ、
と思わせる内容です。ちょっと誉め過ぎかなぁ

 とある街のボーリング場で玉ころがしに耽っているときに、
つかつかと寄ってきた少女に“落語、やってください”と言
われる。以来、ずっと気になりながら、やがて一人前になっ
て、ようやく 20 年後(だったかな?)に、その少女の消息
を訪ねるんですね。“ちゃんと落語やってますよ”と。そし
て探し当てた少女はすでに亡くなっていた。(「笑子の墓」)
 この話など、映画にしても良いくらいの佳品です。他にも、
バイク用に借りている駐車場に居着いてしまったホームレス
の話(これは『ま・く・ら』のほうにある「駐車場物語」)
とか、あれやこれや。とにかく、笑いと涙のお話です。


付録のCDで『千早振る』を聴いていると、DVD全集も覗
いてみたくなる、これは人情というものであります。
 


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コメント 11

いろは

こんばんは^^
落語は好きです♪
昔ラジオを聴いていた時代は良く聴きました。
詳しくはありませんが・・・(^_^;)
小三治さんは確か同じ高校です。
彼が褒められると何か嬉しくなってしまいます。
by いろは (2007-11-26 21:45) 

カズ−

最近ちょっとだけ落語に興味があります。
NHKの朝ドラが小浜から大阪に出てきて落語家を
目指す娘さんの話なので、、、。
by カズ− (2007-11-27 07:49) 

e-g-g

◎いろはさん こんにちは
そうですか師匠と同窓ですか。
師匠は、たしか郡山さんという名前でしたね。
テレビに良く出ていたころは、
天然的なイメージで売ってましたが、
しっかりと古典をやっていたんですね。
これから、ちゃんと聴こうと思います。

◎カズーさん こんにちは
NHKの朝ドラ、私も見てますよ。
なかなか面白いですね。
役者もみな、上手いですし。
それと、落語の面白いところが
ドラマにいろいろと埋め込まれているようで、
そのあたりの発見も素人にとっては楽しいです。
 
by e-g-g (2007-11-27 15:13) 

mio

落語に興味がある訳ではありませんが、この3話知ってます
有名なんですね
落語家さんのお話だから、バイクの話も楽しいんでしょうね
久しぶりに「雑誌」というものを買ってみようかなあ・・・
by mio (2007-11-27 21:22) 

e-g-g

◎mioさん
付録CDに入れるくらいですから、
やはり馴染みのある「だしもの」になるんでしょうね。
雑誌本体はほとんど読まず
もっぱら落語ばかり聴いてます。

『バ・イ・ク』のほう、これも面白いですよ〜
 
by e-g-g (2007-11-28 18:08) 

東雲

e-g-gさん こんにちは。
これまで 全くと言っていいほど 落語には興味がありませんでした。
でも 私も NHKの朝ドラを見始めてから 
「落語って意外と面白いかも・・・」と 思うようになり始めています。
『瀬を早やみ・・・』とか『ちはやぶる・・・』 等
好きな百人一首が取り入れられていると言う事も 興味をそそる一つです。
「ま・く・ら」、探してみようかな・・・
by 東雲 (2007-11-30 16:22) 

e-g-g

◎東雲さん こんばんは
“ちりとてちん”、けっこう面白いですよね。
和久井映見さん、サイコー!
あっ、落語の話でしたね。

私もたいして聴いていません。
たまにテレビで見るくらいです。
きっと面白い世界だろうな、と思いながら、
時間とか「その気」とかがなかなか、、、
でも、日本や日本語を知る上で、
やはり欠かせない芸のひとつなのでしょうね。
上方と江戸でも、ずいぶんと違うようですし、
落ち着いて寄席にでも行ってみたいものです。
 
by e-g-g (2007-12-01 21:16) 

HEIJI

一人旅の楽しさって、旅先でいろいろな人に出会えることですね。話し相手がいないから自然と地元の人としゃべる機会が増えるし。
でも、となりに感動を共感できる人がいてくれるのもいいです。
ちょっと「人情」みたいなものを想像しました。
朝ドラ、いつのまにか見るのが週間になってます。
by HEIJI (2007-12-01 23:29) 

gillman

小三次の「まくら」は、いつも面白いですよね
by gillman (2007-12-02 14:44) 

e-g-g

◎HEIJI☆さん
一人旅が好きですけどね、
やっぱりね、良い光景に出会ったりすると、
隣に誰か居れば、、、と思いますね。
天の邪鬼なものです、ワタシの場合。

◎gillmanさん
ご訪問、ありがとうございます。
小三治の落語自体、テレビで数回聴いた程度です。
活字だけでもけっこう面白いですから、
そこに語りが加われば、きっともっと面白いはず。
いちど、寄席にも出かけてみたいものです。
 
by e-g-g (2007-12-05 11:52) 

e-g-g

◎dalandさん

◎三浦半島の住人さん

◎ハイマンさん

◎JFさん

nice ! 、ありがとうございます。
 
by e-g-g (2007-12-05 11:55) 

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