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ジョージ・セル、ザルツブルク音楽祭のライブ盤。 [George Szell]

もう30年以上も聴き続けているジョージ・セルの録音に、
また、新しいものが出てきた。
今回のは、1958年から1968年にかけての
ザルツブルク音楽祭のライブ録音。
CD7枚組のセットである。



1970年に亡くなってからしばらくのあいだは、
それまでに出ていたレコードの再発売が中心。
私は、この時期にほとんどのLPを集めた。
CD時代になって、それらがデジタル化されると、また求めた。
この数年は、メイン契約のレコード会社以外からの
CDがぽつぽつと出ていた。
グルダと共演したベートーヴェンの5番の協奏曲など、
音質は良くないけれど、オマケに付いていたDVDのおかげで
思いがけずにセルの指揮姿を見ることができた。

で、今回のザルツブルク盤。
こういう企画モノは、ちょっと悩ましいものでもある。

まず、初めて聴く曲が少ない。
全部で16曲のうち、この指揮者で初めて聴く曲は4曲。
(指揮者問わずでは3曲)
まだ見ぬ、いやまだ聴かずにいる音楽をもっと聴こう!
という趣旨に反するのである。

つぎに、ほとんどがモノラル録音ということ。
(ステレオ録音は、ベートーヴェンの第5番のピアノ協奏曲と
 ブルックナーの交響曲第7番のみ)
ステレオどころか、サラウンドも日常的な昨今、
テレビのコマーシャルだって“BS 日本の歌”だって、
ぜ〜んぶ“臨場感溢れる音”である。
実際にモノラル録音を聴いたあとに
ステレオのCDなどを聴くと、その音の拡がりや
厚みにハッとすることもしばしば。
いくら名演といっても、やはりモノラルは苦しい。

そして、これまで聴いてきたセルの録音の中で、
ベストといえるものが含まれているかどうか。
実は、これがいちばん悩ましい問題でもあるわけで、
前16曲のなかに「私にとってのベスト」が一曲でもあれば、
それはそれでたいへんハッピーではあるし、
買った甲斐があるというもの。
まぁ、このへんのことは聴き手の趣味志向理解力によっても
変わってくるから一概にはいえない。
それに私も年齢を重ねて、音楽自体の聴き方も当然変わった。
かつての名盤が普通盤になってしまうことも多々ある。
そのうえでの話だが、
今回のこのセットで、驚くような演奏に出会える可能性は、
まぁ低い。

ひとつの楽しみは、
ザルツブルク音楽祭への客演だから、
オーケストラはいつものクリーブランド管弦楽団とは違う。
アムステルダムコンセルトヘボウ管弦楽団、
チェコ・フィルハーモニー、ベルリン・フィル
それにウィーン・フィル。
こういったオーケストラと、どんな音楽をつくっていたのか?
それは聴く楽しみのひとつである
聴いたことのない共演者とのコンチェルトもある。
だから新鮮さは、それなりにあることはある。
それに、16曲のうちの10曲が初出音源ということでもあるし。


ちょっと忙しい時期だったので、
まだ、ちゃんとしたオーディオでは聴いていない。
そろそろ仕事も一段落した(つもり)。
一枚目から順に聴くか?
感心のある盤からにするか?
ともかく、時間がかかりそうな予感だけはする。


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既に亡くなった音楽家の作品の再リリース、購入するのは
e-g-gさんのような昔からのファンが大半だと思いますが、
実際はそういった人たちのニーズに合致していないんでしょうね。
にも関わらず購入してしまうファン心理、よく分かります。
僕も本当に欲しい物は一生懸命探してしまいます。

こういった商売はお金儲けのためだけでなく、良い作品を
後世に残すという意味で、続いたらいいなと思います。
by (2007-10-04 23:36) 

ポッチ

e-g-g さん、お邪魔しています。
セルの7枚組ですか。ORFEOというレーベルは、なんだか気になるライヴ盤を出すレーベルですね。

>まだ見ぬ、いやまだ聴かずにいる音楽をもっと聴こう!
>モノラル録音ということ

その悩ましさ、同感です。私もBの棚ばかりを行ったり来たりしちゃうし、CDを裏返してモノラルだったりすると「いや、まだ早い!」なんて言い聞かせて(笑)、棚に戻しています。あと私の場合、値段も大きな要素なんですけどね。

>こういったオーケストラと、どんな音楽をつくっていたのか?

これも同感です。同じ指揮者であっても、オケが違うとどうなるのか・・・クラシック音楽の楽しみのひとつですよね。

16曲のうち、ひとつでも多くの名演に出会えるといいですね。チェコ・フィルなんて興味があります。
by ポッチ (2007-10-05 02:50) 

micyu

所有する理由があるので手に入れる。しかし音の悪さはいかんともしがたい。初めて聞いた細切れの小品に、どのように反応したらよいかも判らず、そのトラックは2度と聞く気が起きない、と言うような悩ましいアルバムを私も持っています。

持っていないとまずい、二度と手に入れられないかもしれない、これは重要なディスコグラフィーだ等々・・・私の場合はクララ・ハスキル・・・亡くなってしまった人にまみえるには、もう録音しかないですものね。どんな不調な演奏でも、ひどい録音でも、いずれ耳を傾ける日がそして愛でる日が来るのではと思っています。
by micyu (2007-10-05 12:46) 

kita

セル崇拝者のeguchiさんならずとも気になるアルバムです。
オケもオルケストル・ナショナルやシュターツカペレ・ドレスデンなどの珍しい組み合わせ
もありますし、クリフォード・カーゾンとのモーツァルトやベートーヴェンなど興味津々です。
チェコ・フィルとは戦前のカザルス独奏のドヴォルザーク以来と思いますし、コンセルトヘボウ
とは、シベリウスの名演がありました。

録音状態も気になりますが、じっくりお聴きになったご感想を聞かせて頂ければ幸甚です。
ORFの録音なので、モノとはいってもそれなりに聴きやすいのでは。
by kita (2007-10-05 14:19) 

daland

こんばんは。
最近HMVやtowerのHPに出ています。
これは絶対e-g-gさんが購入されると思っていました。
初出だし、ザルツブルクのライヴだし、クリーブラント管じゃないし。
もうe-g-gさんは、我慢できないと....。

いずれエントリーされるのを読んでから考えようと思っていました。
早い!いろいろ書かれていますが、ニャッとしているe-g-gさんのうれしそうな顔が目に浮かびます。
エントリーを拝見してこりゃ売れるぞっと思い、今日会社の帰りにtowerへ走って行きました。興奮してしまいますね。
あって良かった。

これからじっくり聴こうと思います。
まず、ブルツクナー/ウィーン・フィル/ステレオ録音ですね。
by daland (2007-10-05 23:23) 

e-g-g

○少し遅い返信になってしまいました。

◎akiponさん
たとえば、リマスタリングで格段に音質向上とか、
SACD化されたりすると、少しは気になりますが、
それでも、再発売ものは普段はあまり気に止めません。
今回は、初めて世に出る音源がかなりありまして、
その点で興味を惹かれたということですね。
それにしても、50年、60年を経て日の目を見る、
記録って何だろう?と思います。

◎ポッチさん
ORFEOを意識しだしたのはクライバーのベートーヴェン「第4」からでしょうか?
その後、気が付いたらなにやかやと増えてしまうレーベルです。

>同じ指揮者であっても、オケが違うとどうなるのか・・・
それとセルにとっては、ザルツブルクやウィーンは
やはり故郷のようなところでしょうから、
たぶん開放感も高揚感も違うでしょう。

CDの価格、安いに越したことはありませんね。

◎三浦半島の住人さん
ハスキルも懐かしいですね。
といっても、私は数枚しか持っていませんが
でも、ときどきモーツァルトのコンチェルトなどを聴いてます。

いわゆるヴィンテージ録音は、ときどきアッと驚くようなのもありますね。
このORFEOは、他の盤も含めて古いわりには良い方かと思います。

◎kitaさん
そうそうオルケストル・ナショナルやドレスデンを書き忘れていました。
カーゾンとセルはブラームスの協奏曲の録音を持っていましたが、これも良かったです。
こんどのモーツアルトは楽しみな一曲です。
いずれにしましても、まだちゃんと聴いていません。
音質も含めて、じっくりと味わいたいと思います。
まぁ、モノラルも慣れればさほど気にならなくなりますから。

◎dalandさん
いや、発売直後は今回は遠慮しよう、と思っていたのですよ。
ポツポツと買っている程度でもじわじわと増え続けるCD、
しっかりと聴き込む盤も少なくなって、、、
だから少し節制しようかな?と。

まだ、ちゃんと聴いていないので「買いました」だけになってしまいました。
今日あたり、良い日和。
ブルックナーは、私もいちばん最初に聴いてみたい一曲です。
by e-g-g (2007-10-06 13:51) 

mamire

CD7枚組みとは聞き応えがありそうですね。
ステレオの音に聞きなれてしまうと、モノラルって本当につらいです。
義母様のラジオがモノラルなんですが、この音が聞こえてくると我慢ができません。
聞いた後の感想を楽しみにしています。
by mamire (2007-10-09 17:51) 

e-g-g

◎カフェオランジュさん いつもありがとうございます。
by e-g-g (2007-10-10 10:41) 

e-g-g

◎mamireさん
えぇ、ボチボチと聴いて、いま半分くらいまで来ました。
音質の方は思ったりより良かったです。
再生装置のボリュームも少し上げて、ともかく音楽全体を聴くようにしています。
まぁ、放送局の録音が音源ですから、モノラルも致し方なし、ですね。
by e-g-g (2007-10-10 10:48) 

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