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玉原高原、ブナの森へ。 [山・里・田園]

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玉原高原は豪雪地帯である。
真冬、スキー場の発表を見ると3メートルを超える日もある。
位置は群馬県の武尊山と谷川岳の間。
冬、湿った重い雪は上越の山々にほんとんど降ってしまう。
そして直線距離にすれば谷川岳から十数キロの玉原に
乾いて軽くなった雪がたっぷりと積もる。

さほど大きくはないけれど、湿原もある。
その玉原湿原を取り囲むようにブナの林が広がる。
土曜日、秋のはじめのブナ林の様子を見に向かった。

玉原もこの夏は暑かったそうである。
この日も予想外の暑さだった。
もちろん標高は1200メートルほどはあるから、
東京に比べれば天国ではあるけれど。





森の中には森の住人もいる。
ペンションで熊よけのベルを借りる。良い音色だった。


玉原湿原を歩いてみる。
5年前の10月に訪れたときは、赤と黄色尽くしだったが、
今回は木道からときおり見える程度、紅葉も黄葉もこれから。
やっぱり、この夏は暑かったのだなぁ、としみじみ。


上は『シラネセンキュウ』、下の赤い実のように見えるのは『虫嬰』。
虫嬰は中味を知るとちょっと驚くが、見た目はとても美しい。
いずれも、ペンションのお母さんから教えてもらった。

玉原のペンションのこと:

このペンションには、もう10年近くお世話になっている。
冬にスキーでブナ林を歩き回る拠点として訪れることが多いが、
今回のように「外したシーズン」にもときどきお邪魔している。
ブナ林のこと、湿原のこと、野鳥のこと、
いつも教えてもらうことが多い。
音楽、映画、料理、ペンションについての諸々等々、
いつも謎を解き明かしていくような会話も楽しい。
世間話からでも、話がどんどん深まっていく。

そして、丁寧でいつもおいしいお母さんのフレンチ。
毎回、今夜のメニューは?と楽しみなのだ。
今回は、急な我が儘を言ってお昼を用意してもらった。


まだ緑色のブナの葉も、10月になれば急速に色づくだろう。
黄葉して葉が落ち始めると、森や林は急に明るくなる。
それまでの、どこかに何かが潜んでいそうな
そんな何かの気配を感じる鬱蒼とした森から、
明るく伸びやかな光景に変わる。
ちょっと寒いけれど、そんなブナ林が好きだ。
雪の降るまえにもういちど訪ねよう。


北八ヶ岳の歩きでソールの剥がれてしまったブーツは修理中。
今回は、造りのしっかりしたトレッキングシューズで出かけた。
ブナの森を歩き回るには快適だが、
バイクには、底の厚さがちょっと合わない。

野山を歩くためにバイクで出かける。
このパターンが、最近ようやく定着してきた。
今回はバイクの往復は340キロ。
歩き回った脚は、ちょっと疲れたけれど、
でも、良いバランスだった。
山の道が凍り始める前に、もう少し走って、そして歩こう。


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のすけの母

ご無沙汰しております。
名古屋は少しずつではありますが秋に向かっているようなのですが、それでも、夏の空気と秋の空気がせめぎ合っているようで、今日も一日どんより、時折蒸し暑い一日でした。
今、eguchiさんの写真を拝見させていただいて、透き通った秋の気配が感じられました。
玉原高原というのは、私は聞いたこともない土地ですが、それでも十分堪能させていただきました。
涼しげな空気をありがとうございます。
バイクはお気をつけて。
by のすけの母 (2007-09-24 20:05) 

micyu

この前は北八ヶ岳、今度は玉原と軽いフットワーク、見習いたいです。
こうでないと今年の紅葉は逃してしまうかも、気を引き締めな刈れば(^^;)
by micyu (2007-09-24 22:15) 

kita

eguchiさん  北八ヶ岳の白駒池といい、今回の玉原高原といい、素敵な場所
をご紹介いただき、ありがとうございます。今回の玉原高原は地図(平凡社の
世界大百科事典)にも載っていません。わずかに玉原ダムという場所が載って
いるのみです。どうやって行くのでしょう?バイクのフットワークに感心するばか
りです。

しかし、ブナ林の写真を拝見すると、オネゲルの「夏の牧歌」を聴きたくなりまし
た。季節はずれですが、そんな気分にさせてくれる見事な写真です。
by kita (2007-09-24 22:43) 

POP

こんばんは。
ブナの森は永い年月をかけて、
育った自然の宝物。
伐採し、成長の早い杉を植えるなぞ、
言語道断!!(^^ゞ
by POP (2007-09-24 23:03) 

玉原は1度スキーに行ったことがあります。
案外近くて穴場な頃。
ブナも多くあるのですね、これは紅葉も楽しみです。
by (2007-09-24 23:45) 

ポッチ

e-g-g さん、おはようございます。

1枚目・・・絶妙な色合いとヒビ。人知を超えてますね。
4枚目・・・ブナの木がまるでCGみたい!
7枚目・・・綺麗な線香花火ですね♪
8枚目・・・何かの果実かと思って口にしてしまいそう。想像すると、、、(汗)。

自然は本当にいろいろな表情を見せてくれますね。それを感じられる心、いつも持っていたいものです。
by ポッチ (2007-09-25 07:10) 

umi_umi

>野山を歩くためにバイクで出かける。
いいですね~♪あたしは海を見るためにバイクでGO♪(笑

森って、海とはまた違う落ち着き感?がありますね。
ペンションも大好きです。
最近は行けてないけど、子供たちが小さい時はよく出かけました。
by umi_umi (2007-09-25 08:44) 

風

この林の存在は知っているのですが、なかなか足が動きません。
玉原はラベンダーの頃に一度行きましたが、大雨のために散歩は断念したままです。 リンゴ狩りに行く時に一緒に訪ねようかなぁ。
by 風 (2007-09-25 12:49) 

e-g-g

◎Qちゃんさん お立ち寄り、ありがとうございます。

◎のすけの母さん
いえいえこちらこそ。
透き通った秋の気配、感じていただけたら嬉しいです。
ただ、この日はさほど涼しくはなく、
ちょっと予想が外れました。
でも、アッという間に季節も変わるでしょう。

◎三浦半島の住人さん
フットワーク、重いですよ〜
その気になるまで、けっこう時間もかかります。
ただ、紅葉と新緑はいつも気になりますね、
もっとフットワークを使いたいのですが、、、

そろそろ戦場ヶ原の黄葉が、、、

◎kitaさん
不十分な情報で済みません。
こういった記事を載せるときに、
正確な場所とか地図を載せた方がよいかな?
と、いつも迷うのですが。

このブナ林は玉原ダムの周辺です。
そのダム湖の脇に、
「玉原スキーパーク」というスキー場がありまして、
その周辺から鹿俣山に至る一帯です。

玉原は関越道を沼田ICで降りて17キロほど、
30分少しのところです。
冬の雪のため路面はちょっと荒れていますが、
クルマでもバイクでもさほど苦労なく行けます。
雪の季節は、除雪されてはいますがチェーンは必携です。

オネゲルの「夏の牧歌」ですか、、、残念ながら未聴です。
たいへん、気になりますね。

◎POPさん
このブナ林の周辺にも、植林された林があります。
計画的に合理的に作られて、
結果として不成功に終わった林も多々あるとか。
そういったことは素人の私にはまったく分かりません。
地元の人の話を聞くうちに、
森や林の見方も徐々に変わっていきます。

◎こぎんさん
“練馬ICから2時間のパウダースノー”が
セールストークですね。
シーズン中、ずっとパウダーではありませんけど、
良い条件が重なると、たしかに良い雪です。
5年ほど前の新雪の降った翌日の早朝に、
このブナ林でダイヤモンドダストを見ました。
忘れられません。

スキー場の周りに、良いところが隠れていますよ。

◎ポッチさん
もう何度も行っているので、
この一枚目と4枚目の木は覚えてしまいました。
とくに一枚目のは、真冬に雪に埋もれて立つ姿が、
また何とも言えず良いのですよ。

線香花火、見た瞬間ワタシもそう感じました。
肉眼だともっと神秘的で美しいんですけどね。
それをカメラで写し取るのは難しいです。
虫嬰も、実は「美味しそう!」というのが実感、
食べなくて良かったですよ。

年齢とともに、自然の表情の見方も変わる。
なんだか爺臭い言い方ですけどね、
ま、楽しいことは楽しいので、
また、どこかをウロウロと歩きます。

◎海さん
もちろん、海も良いですよ〜
でも、ワタシの場合はなんだか山派なんですね。
パソコンから目を離して窓を見ると、
そこに雪を被った山が見える!
これが、ワタシのリソーなのであります。
要するにペンションにパソコン持っていって
仕事すれば、とりあえずは実現???

◎風さん
この玉原から藤原湖の方へ抜ける道があればいいんですけどね。
いまのところはとんぼ返り。
でも、それだからこそ人出もさほどは多くなく、
静かな環境が保たれているのでしょうね。

リンゴ狩りへ行かれたら、
玉原湿原へ脚を伸ばしてみては?
さほど広くはないですけど、
湿原の真ん中で休んでリンゴを囓ったら旨いですよ、きっと。

ラベンダーは7月ごろですよね。
今回、この畑も見ましたが、
もちろん花は無く、静かなものでした。
by e-g-g (2007-09-25 15:31) 

anan

まめですねぇ。「虫嬰」って何ですか?初めて見ます。

父方の出身は長野と新潟の堺です。そこに今も山と宅地(家はない)とお墓があります。

もう何年も行っていませんが、その風景を思い出しました。ただここは良く整備されています。我が田舎は、60年も手を入れてなかったのです。

15年くらい前、手入れをしてないこの山で、無謀にもキャンプをしようと思いつき、友人とその家族、都会モン総勢7名が乗り込みました。

チェーンソーを持っていったのですが、ブナ林が昼なお暗く、素人の手に負えません。結局、道端の草むらにテントを張りました。本当は山で採集したもので夕食を用意する予定だったのですが、荒れた山では到底不可能。スーパーで買った食材で準備しました。

夜中に大雨が降って水浸しになり、冷たくて目が覚めました。どうやら水の通り道に、テントを張ったようです。

そんなこんなで、今思えば笑い話ですが、たき火だけが頼りの、真っ暗な夜は楽しかったです。

寝ようとしたとき、物の怪の気配が!ゴミをあさりにきた狸が大勢。沢山の目が光ってました。
by anan (2007-09-25 20:37) 

HEIJI

なんとなくブナの森はあこがれというか、深い森のイメージというかがあります。まじまじと見たことのない木です。(じつはそれと知らずに実を拾ってきて蒔いたことがあります・笑)
ブナの森へ行ってみたいです。奥多摩あたりとかなら日帰りできるかも。
by HEIJI (2007-09-25 22:53) 

e-g-g

◎ananさん
まずは、虫嬰の講義。
虫(昆虫ですね)が植物の葉や枝などに卵を産みます。
刺激を受けた植物の組織が異常に発達してコブができる。
と、これはペンションのお母さんの説明、
その受け売りです。
でも、そう言われてもね〜
あの見事な赤い球は見とれてしまいますよ。

水の通り道のキャンプ、これはムボーです。
くれぐれも、お命を大切に。
まぁ、自然の緊張感というのは良いものですけどね。
by e-g-g (2007-09-26 10:34) 

e-g-g

◎HEIJI☆さん
ブナの林は優しく柔らかいです。
いつ訪れても、ホッとします。

たくさんあった(であろう)ブナ林も、
人の生活範囲から少し離れたところの林が
かろうじて残ったのでしょう。
役に立たない木と言われ続けたブナ、
いまでは貴重な存在と思います。

私もブナ林の分布は正確には分かりません。
丹沢の堂平付近に少し残っているそうですが、
奥多摩はどうでしょう?

ただ、ブナ林は林床に笹が密生しますね。
踏み跡がないと、とても林の中へ入れません。
笹が雪の下に埋まってしまう冬が、
ブナ林へ入るには、いちばん良い時期かもしれません。
なにしろ笹に邪魔されず、自由気儘に歩き回れますから。
by e-g-g (2007-09-26 11:00) 

barbie

画面からマイナスイオンがあふれ出そうですね。休日、海やこういう自然がいっぱいのところで過ごすと月曜日の目覚めが違います。
今年の秋は新しい自転車を手に入れたことだし、ちょっと山の方にも行ってみたいと思っています。
by barbie (2007-09-26 18:48) 

e-g-g

◎barbieさん
海も山も、自然はやっぱり貴重なビタミン剤でしょう。
街暮らしの人間にとっては必須栄養素ですね。

Bianchiを電車に乗せて山方面へも是非!
日本の季節の移り変わりは、しみじみと、宝物ですからね。
by e-g-g (2007-09-26 20:15) 

mamire

こういう話を聞くとライダーはいいナァって思う。
何も、速く走るばかりがバイク乗りではないです。
フットワークの軽さがうらやましい。
武尊山は、はじめてスキーを始めたところです。
サラサラの雪に、言うことの聞かない足がつらく思うこともあったかな。
この白い花がシラネセンキュウですか。
私の家にやってきた花に、やっぱり似ていると思うけれど。
植物は難しいです。
by mamire (2007-09-26 21:09) 

e-g-g

◎mamireさん
バイク、気分的なフットワークは軽いですね。
でも、積雪3メートルでもTシャツ一枚で
現地まで行けるクルマの方が融通は効くなぁ、
とも思います。

スキーはアルペンですか?
歩くスキー、こちらも楽しいですよ。
スキー場のゲレンデを一歩踏み出すと別世界。
スピーカーからのユーミンも聞こえませんし。

mamireさんのお宅の花は、
たぶんシラネセンキュウと思います。
でも、花音痴のワタシの言うことだから、、、
by e-g-g (2007-09-26 23:09) 

tak

玉原、以前、話題になったところですね。
ブナの葉が色づいたころ、行ってみたいなー
と漠然と思っていました。

虫嬰は、虫の幼虫が入っているのでは
ないのですか?
by tak (2007-09-26 23:15) 

e-g-g

◎takさん
そーです、何とかのひとつ覚えの玉原です。
ブナの黄葉は、10月の半ば頃でしょうか。
でも、今年は例年どおりに色づくかどうか、、、

虫嬰、ピンポーンです。
それも、けっこう可愛気のない虫君達ですよね。
by e-g-g (2007-09-26 23:54) 

東雲

昔、まだ小学生か中学生の初め頃だったと思うのですが
父と一緒にブナの林をよく歩きました。
山歩きは 意外と得意だったのに 
いつのまにか すっかり遠ざかってしまいました・・・。
シラネセンキュウ、まるで 花火のようですね☆ミ

馴染みのペンションがあるなんて いいですね~!
チョット羨ましいかも^^
by 東雲 (2007-09-27 10:59) 

e-g-g

◎東雲さん

小さかった頃のブナの林、
いま歩くと、また違った趣がありますよ、きっと。
歩きましょう

シラネセンキュウは、
見た瞬間、ほんとうに花火に見えました。
360°、規則的に伸びた茎のカタチをジーッと見ていたら、
道行く人が怪訝な顔をしていました。

思い立ったら気軽に行ける、
馴染みの宿がいくつかあると、
フットワークも軽くなりますね。


中学生のはじめ頃までは、
私の娘も、山にはよく着いてきてくれました。
絵に描いたように子どもと遊べるのは、
ほんの一時ですね。
by e-g-g (2007-09-29 15:43) 

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