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道路交通法・自転車の通行区分の改正について [自転車]

 道路交通法改正の準備が進んでいる。そのなかに「自転車利用者対策の推進(1)通行区分の明確化」がある。無秩序になる一方の自転車歩道通行についての改正試案である。このテーマ、昨年、ニュースを読んで気になりながら迂闊にも忘れていた。作家の斎藤純さんのブログ記事でやっと気づいた次第。あぁ

 そもそも、自転車の歩道通行可(指定された場所)は、1978年の改正で一種の緊急避難措置として導入されたものである。ところが昨今は、そんな指定の有無に関わらず、自転車は歩道を走っている。そしてその危険性も増えている。

今回の改正で、
 自転車は
1. 子どもや高齢者、買い物目的などでの利用の場合
2. 交通量が多く、車道が特に危険な場合
 の二つの場合に限り、歩道での通行を認める。

 とある。これは一見、正しい措置に見える。しかし、この改正試案の前提として「自転車の安全利用の促進に関する提言」があり、そこに以下の一項がある。
『第4、2(4)「自転車が車道を通行することが特に危険な場合は、当該道路の自転車通行を禁止することなどの措置を講ずること」』

 「特に危険」と判断された場合、自転車は車道通行を禁止されるのです。これはサッと読んだところでは、もっともなことだ、と思えてしまう。ようするに自転車の安全走行にとって必要な措置と勘違いされやすい。ただ、ここで問題なのは、その「危険」の判断を誰が行い、また「特に危険」の解釈はどうなるのかという点である。その点についての細かい規定は無い。
 当然、その解釈を拡げていくと、車道は自転車通行禁止になることもあり得る。都内ではバイク便と並んで、自転車便も活躍している。交通事情や環境負荷を考えると、優れたトランスポーテーションと思う。その自転車便も走れなくなる道が生まれる可能性がある。いったい、道路は誰のためのモノなのか、今回の改正試案にはこの視点が欠けている。

 これは問題が大きい。そもそも、車道を走るべき自転車の安全を考慮して1978年の改正があったわけだが、その結果として歩行者と自転車の事故は常態化している。今回の改正がそのまま通り、歩道を走る自転車が増えれば事態はもっと深刻化する。その根本的な解決への抜本的な取り組みをしないままの改正、これは交通行政の怠慢の表れである。
 本来は、緊急避難的に生まれてしまった「歩道の自転車通行可」。この妙な「決まり」を解消するための専用レーンの設置や整備、また危険な違法駐車対策など、やるべきことは山ほどある。もちろん違法駐車の取締りなどは進んでいるが、自転車がより安全に走ることの出来る道路造りは遅々として進まない。そのツケを棚上げにして、現状追認、いや現状をさらに悪化させるおそれのある改正試案である。コマッタものだ、私はこの改正には反対である。
 
 私も自転車で車道を走る場合は、命懸けという感覚がフッと頭をよぎる。違法駐車の車を避けて右側に膨らむときに、後ろから来るクルマがちゃんと気づいてくれるかどうか、ほんとうに不安になる。(そのためにバックミラーは、必需品である)パワーのあるオートバイの場合は、いざというときにクルマよりも先に行ったり、とにかく危機回避の余力を持っている。が、自転車の場合は自分の脚力だけが頼りである。う〜ん、あのキケンを回避するためには、相当踏み込まないといけないな!さて、行けるかな?と思うことしばしばである。
 それでも、原則として自転車は車道を走る権利を持っている、というかそれが当然であると思っている。実際には、あまりにもコワイので歩道を走ることも多い。うっかり、指定外のところでも走ってしまうこともある。ただ、繰り返しになるが“道路は誰のためのモノなのか”この大前提の議論を置き去りにするのは本末転倒である。

 パブリックコメントについては、どのくらいの有効性があるのか不明である。参考資料のほんの1頁として都合良く使われてしまうのかもしれない。それでも、何も言わないのはもっと悪い。何もせず、ブツブツ文句を言っても、それでは世の中は動かないのだから。

 私のこの記事だけでは、その全容も分からず理解しにくいとも思います。感心のある方は、より詳しい情報をネットなどでお探しください。
参考までに
■斎藤純氏のブログは私のブログのサイドバーにある“流れる雲を友に”から行けます。
 http://rainyman.cocolog-nifty.com/kumo/
 *斎藤氏のパブリックコメントが掲載されています。そのコメントをコピーしてパブリックコメントへ送ることもオーケーとされています。
■「自転車の安全利用の促進に関する提言」については
 http://www.npa.go.jp/koutsuu/
■警察庁のパブリックコメント募集については
 http://www.npa.go.jp/comment/kouki2/20061229.pdf

この他にも「道路交通法改正  自転車」で検索すれば相当数の情報にアクセスできますので、感心のある方は是非調べてみてください。


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コメント 6

(SWR)

歩道を走る自転車は謙虚に。そうじゃない事
が7割くらいだという実感。トウトウと歩け
ばほぼ確実に自転車の横暴にゲンナリする現
実。ウー。
by (SWR) (2007-01-15 17:27) 

e-g-g

自転車が歩道を走れるようになった事情など、そんなものはお構いなし、そこのけそこのけが多すぎる。こんど、ほんとうに車道を走れなくなる道が出来たら自転車の横暴が増えるのは必定。道路行政の貧困。
by e-g-g (2007-01-15 17:44) 

mio

自転車の歩道走行は歩行者にとっては危険、以前自転車がお年寄りをひいて、死亡事故が起きたことがありました
自転車が車道を走るのは自転車が危険、夜間車を運転していて、車道を走る自転車に驚くことがあります
歩道を走る自転車は歩行者に優しくなければなりませんね
by mio (2007-01-15 22:33) 

e-g-g

◎mioさん
これだけ自転車人口が多いのに、不当に放っておかれてると思いますね。「美しい国」を目指すなら、せめて自転車くらい快適に乗れなければ。
オートバイのマフラー問題では頭を悩ましていますが、こちらの方は、ワタシの態度は明快です。
by e-g-g (2007-01-15 23:54) 

kokudoh

私も、かつては自転車で旅行をしていました。
その時の経験から、お話しさせていただきます。

自転車は原則として、歩道を通ってはいけません。
通っていいのは、「通ってもいい」という標識のある
ところだけです。それは、私の経験では、
都市部のごくわずかなところだけです。
「通ってもいい」という標識がないのに、
自転車が走るのは、明確な道路交通法違反です。
取締りを強化すれば、それですむ話でしょう。

それでは、車道は自転車にとって安全かというと、
そうではありません。日本の国道、とりわけ幹線国道
の多くは、自転車が走るようには設計されていません。
したがって、非常に危険です。
私も、かつては怖いもの知らずで、国道のトンネルを
単独で通ったりしていました。今、思い出すと
身の毛もよだちます。

じゃあ、どうしたらいいかって?

...わかりませんね、正直いって。
ただ、幹線国道において、自転車の通行を
禁止することは、安全対策上、きわめて有効だと
思います。
by kokudoh (2007-01-21 22:41) 

e-g-g

◎takさん
 この改正案は、自転車交通行政の混乱のシンボルのような感じがします。「歩道通行可」この窮余の一策が、恒常化して、ますます危険な場面が増えるのではないかと思います。「自転車の歩道通行可」が無い地域の方々には、ちょっと分かりにくい話ですね。
by e-g-g (2007-01-22 00:00) 

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